ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

◎鬼が勝つ 自民党、記名投票を選択し、小沢一郎を仕分け 一体改革法案の衆院表決【追記あり】

2012年06月25日 21時36分02秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

 鬼が勝つ。

 社会保障と税の一体改革関連3領域8法案は2012年6月26日火曜日午前中の衆院特別委員会でしめくくり質疑、討論のうえ採決。民主党、自民党、公明党らの賛成で可決し、本会議に緊急上程します。

 衆議院本会議は定刻通り午後1時から開議できる見通しで、所要2時間20分。

 中野寛成委員長が報告し、討論。民主党が15分、自民党が15分、公明党が15分、日本共産党が7分、新党きづな7分、社民党5分、みんなの党5分。

 この後、一体改革関連法案は3つに分けて採決します。

【追記 2012年6月26日朝7時】

 社会保障制度改革基本法案(180衆法24号、長妻昭さんほか民自公提出)と認定こども園法改正案(就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律案、180衆法25号、田村憲久さんほか民自公提出)。そして「社会保障の安定財源を確保するための税制抜本改革のための消費税法等の改正法案」(180閣法72号)で、政府原案は採決せず、議員修正案のみ採決するようです。ただし本会議の朝になっても、議員修正案が衆議院ホームページに載っておらず、衆議院事務局には猛省を促したいです。【追記おわり】

 ここで、自民党・無所属クラブ(120人)は衆議院規則第131条にもとづき、記名投票(堂々巡り)にするよう要望しました。堂々巡りは衆議院では20分かかるとされ、3回の記名投票表決は極めて稀。 自民党から造反者が出る可能性があるにもかかわらず、谷垣禎一総裁(シャドウ首相)が鬼となり、不退転の決意でのぞむ姿勢を示しました。一刻のリーダー候補にふさわしい勇気です。

 この政局はまさに遠心分離器にかけられるような猛烈な遠心力がかかります。なぜでしょうか。例えば郵政民営化法案はストックで300兆円が政府から公社を経て株式会社(100%国保有)になり徐々に株式を売却していくものです。これに対して消費増税法案は消費税を2015年10月には10%にするなどした法案です。すなわちフローで単年度で13兆円ものお金が民間消費支出から政府支出にうつす法案です。すなわち、日本のGDPの3%のお金を動かす法案です。

 ところで、民主党が4年前、野党時代の第169回通常国会で1ヶ月間廃止に追い込んだ「ガソリン税法案」は、1年間で2・6兆円です。さらにこれは時限立法です。10年間で26兆円を動かす法案です。時限立法だから、野党の抵抗で1ヶ月間失効できたわけです。そして、その時限立法である「暫定税率」を半世紀続けた自民党そのものが否定されたのが第45回衆院選です。

 これに対して明日衆院で採決される消費税法案は1年間で13兆円を無期限で動かし続ける法案です。だから、この採決は、すさまじいばかりの遠心分離器にかけられることになります。ここで与党議員がおかしなことをすると、遠心分離器からはその議員が弾かれるか、ないしは野田佳彦総理・岡田克也副総理らが弾かれるかいずれかになります。2月25日までに定数是正ができていなかったことから、会期末政局で総理の求心力が衰えてしまったのは残念ですが、延長国会でなんとかここまで来ました。与党議員は総理らにしがみつけば、弾かれることはありません。しがみつくとは、「雑事に帰れ」で、自分の持ち場の仕事をていねいにやり、泰然自若としていることです。ところが、意外なことにこういうことが難しい人も多いのが世の習わしですが、民主党には多い傾向があります。

 自民党が記名投票を選んでくれました。記名投票表決はクリーンでオープンなしめつけ。究極の議員仕分け。私たち有権者は心を鬼にしなければいけません。仕分け結果を反映しようとしたときに、土下座されたり、子どもの顔を見せられても、鬼となって、第46回衆院選で仕分けを反映しなければいけません。

 消費税増税の前にやるべきことがある。それは小沢一郎さんの息の根を止めることです。1997年12月、テレビ中継もインターネット中継もない、新進党両院議員総会で突如解党を発表したのは小沢一郎さんです。このときの日本の赤字国債発行高は230兆円でした。この前月には山一證券・北海道拓殖銀行が相次いで破綻したのですから、2000年までにあった第42回衆院選で政権交代ある政治が実現したはずです。

 究極の経済音痴であり、赤字国債発行の最大の戦犯である、小沢一郎さんの息の根を止めなければなりません。私はこのブログで「息の根を止める」という表現を繰り返してきました。どういう意味かご存じでしょうか。広辞苑によると、息の根を止めるとは「①殺す②相手を完全に打ちのめす」という意味です。小沢一郎さんの政治力を完全にゼロにしなければ、震災後日本は前に進めません。政治家としての小沢一郎さんの息の根を止める。その政治力の根源である小沢グループを仕分ける。それが2012年6月26日です。

 すべからく有権者は心を鬼にして仕分けする材料を集める。その日が来ました。

 この政局は鬼が勝つ。

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[お知らせおわり]

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