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宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。

国会きょうから空転「衆院造反者に厳正な処分を」岡田副総理最側近の芝博一参院議員 フジ報道

2012年06月27日 16時58分48秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[写真]記者団の取材で「造反者への厳正な処分」を訴える民主党参院議員の芝博一さん、2012年6月26日放送のフジテレビ「ニュースJAPAN」から。

 延長国会5日目のきのう、最重要法案の「社会保障と税の一体改革関連8法案」が衆院を通過しましたが、与党から大量の造反が出る不正常採決でした。このため、参議院での同法案の審議入りをめぐって国会はしばらく空転する見通しです。

 すでに当初会期内に衆院から参院に送付した議案は参院で可決・成立していますが、最重要法案の一体改革法案の参院での審議と、最優先法案である平成24年度特例公債法案の衆院での修正協議を考えると、7月上旬の審議入りは必須です。

 政局のときは、取材が衆院に集中して、参院の動きが手薄になりがちですが、その点、フジテレビのニュースJAPANはさすがで、昨日夜の番組冒頭から参院与党の動きを報じました。


[写真]2012年6月26日放送のフジテレビニュースJAPAN放送画面から。


[写真]2012年6月26日放送のフジテレビニュースJAPAN放送画面から。

  
[写真]2012年6月26日放送のフジテレビニュースJAPAN放送画面から。

 このように、同日夜、野田佳彦総理最側近の花斉会の蓮舫さん、前原誠司政調会長最側近の凌雲会の林久美子さん、岡田克也副総理最側近の芝博一さんのほか、小川勝也さん、足立信也さんら政権に近く責任感の強い民主党参院議員が会合をもち、意見交換したようです。番組では、「政務三役経験者の会合」という表現をしました。

 そして、元首相補佐官で岡田副総理の最側近である芝さんが「どこから見ても厳正な形で処分をするのが、議会政治の基本だ」とインタビューに答えました。芝さんの発言は、政権に近い参院議員は、同僚参院議員である輿石東民主党幹事長に対して、衆院の造反者に対して厳しい処分をすることで、参院の空転を防ぐ必要があるとの認識を共有していると示唆したと考えられます。

 またこのニュース映像には、衆院側での採決場面に、三宅雪子議員が青票を投じる場面を使いました。同議員はフジテレビ出身ですが、その配偶者はフジテレビの現役社員です。フジテレビはバラエティ番組のイメージから、おちゃらけた印象を広く持たれていますが、実際にはちがいます。大手民報各局がほとんど同じ条件でやっているなかで、フジテレビジョンの売上高(広告収入とイベント収入)は四半世紀にわたり首位を独走してきました。このため単価が高い優良スポンサーが多く、社内の規律は保たれていて、給料は高いが民放の中でもきつい会社です。このように同局出身議員の造反場面を放送することで同局の規律の高さを(視聴者ではなくスポンサーに)アピールする意識が、現場の意識にあるのでしょう。とはいえ、別段、社長や報道局長がそうするようし向けているのではなく、現場が自然にそういう意識を共有できているのだと考えます。

 このフジテレビ「ニュースJAPAN」のキャスターを務める秋元優里アナウンサーは2010年12月20日の民主党の岡田克也幹事長の記者会見で次のように質問していました。

[引用はじめ]

【記者】小沢元代表は政倫審の議決があっても出席しないと。つまり国会の方針に従わないとしている議員がいる民主党のガバナンスはどうなっているのか。

【幹事長】政倫審でお話をするということは、これはかなりのことですから、いろいろな議論はあり得るのだと思います。ただ、大変残念なことであると思います。これは代表も「ぜひ出てください」と言われたわけで、それを拒否されたことは非常に残念なことです。しかし、それが最終的なものなのかどうかということについて、私はまだ諦めてはおりません。

[引用おわり]

 この質疑の部分は、同日夕放送の「NHKニュース7」の冒頭に使われ、フジテレビアナウンサーの声がNHKで流れるという異例の展開となりました。

 90年代後半には、小沢一郎さんが民放女子アナだけを招いたパーティを側近議員と開くなどしてひんしゅくを買ったこともありました。まさに英雄色を好むという感がしましたが、もはや時代は大きく変わりました。ガバナンスは、紙に書いてある物による支配だけではなかなかうまくいかないと感じます。

 造反劇の主謀者である、小沢一郎さんは民主党から除籍すべきです。 

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一体改革衆院可決も民主党分裂、政権深刻な事態に 総理は倒れるような低姿勢で前に進め

2012年06月27日 02時33分11秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[写真]衆院本会議の2時間半後に記者会見した野田佳彦首相、民主党ホームページから。

【衆議院本会議 2012年6月26日(火)】

 社会保障と税の一体改革法案(年金の最低保障機能強化と被用者年金一元化、子ども・子育て新システムによる幼保一体化に向けた幼保連携強化、消費税の国税・地方税の税率アップ)は、閣法、閣法の衆院修正、新規衆法の合計8法案が衆院で圧倒的多数で可決し、参院に送付されました。

 しかし、衆院採決時の小沢グループの大量造反があり、民主党の政権基盤は大きく揺らぎ、政権担当能力が大きく落ちました。このため、自民党と公明党の最終的な協力が得られる一体改革法案の参院での可決・成立後、特例公債法案や補正予算の成立に前後して、政権が新規課題に取り組めない可能性が出てきました。造反者が欠席者1人(中川秀直さん)にとどまった自民党が9月の総裁選に向けて求心力を高めるとともに、民主党は9月の代表選に向けて遠心力を内包してしまいました。また一体改革の成立までは自民党と公明党が内閣不信任案に同意しない可能性があるため、一体改革の参院審議を引き延ばそうとする意思を一部政治家が持つ可能性があり、今国会会期末(9月8日)に向けて、重大な局面を迎える可能性が極めて高くなりました。野田佳彦総理は、より腰を屈めた低姿勢で前に進み、例え倒れるにしても前に向かって倒れるように猪突猛進していただきたいです。

 中野寛成委員長率いる衆議院社会保障と税の一体改革に関する特別委員会(45人)は、政治家同士の審議(公聴会など除く)だけでも129時間の徹底審議をしました。3党合意後の審議が3日間は少なかったかもしれません。これは憲政史上、第34回通常国会の日米安全保障条約等特別委員会(1960年昭和35年2月11日設置、45人)の約160時間以来。この委員長は小澤左重喜さん。政権の命運をかけた特別委員会の審査をめぐる与党議員として小澤左重喜、小沢一郎親子(岩手県水沢市など選出)は違った面から大きく歴史を動かしたことになります。

 ちなみに、小澤左重喜・衆院日米安全保障条約等特別委員長の議事録は、「○小澤委員長 休憩前に……(発言する者、離席する者多く、議場騒然、聴取不能)……。」で終わっています(昭和35年05月19日)。

 審議ストップゼロで、委員会修正を成立させた中野委員長の名裁きに関しては、事前にエントリーを用意していたのですが、審議入り当日は「大丈夫だよ、座っているだけだから」、採決し委員長報告した本会議の後には、「別に当たり前のことを当たり前にやっただけ」とのことなので、後日に譲ります。

 法案の修正協議のうえで、自民党と公明党が記名投票(出席議員の5分の1、96議員の要求が必要)になり、3回の堂々巡りの間に与党議員による青票が増え、ついには消費税増税国税法案にいたっては、鳩山グループも加わり、反対が57人、棄権・欠席が16人となっています。このうち欠席した羽田孜さんは先週の本会議には出席していたので、記名投票に配慮して欠席した可能性があります。ただし、記名投票も参事に木札を預けることは衆議院規則で認められています。ですから、造反者は72人ということになるととらえると、政権運営上極めて深刻な数字です。一方で、小沢グループも新党構想は持ち送りし、民主党内で痛み分けして、民主党政権の求心力が急速に衰える事態となりました。小沢一郎さんは「自分は動きたくないけど、若い議員が動いてくれと言うのでしかたなくやっている」とかつての自由党の同僚議員に話しているとされ、また全日空ホテルで1期生と個人面接して離党届を提出した議員には現金を渡したとの情報が、幹部級議員の間でも共有されています。もう一つ、今回の政局で非難されるべきは、鹿野道彦会長率いる「素香会」(鹿野グループ)ら自称「中間派」の振る舞いです。党内を分裂させておいてある一定のところで修復をはかって自らの存在感を高めようとしてかえって民主党を分裂させました。自民党と同じ感覚での予定調和は現在の未熟な民主党議員には難しい。足元の仲間も、おなじく「中間派」と他称される民社協会(田中慶秋会長)のような老練さ、結束、まとまりがないにもかかわらず、鹿野グループは民主党内で大火事を引き起こしました。自民党40日抗争にも参加した鹿野さんの振る舞いは大いに非難されるべきです。

 今回、当初会期内の21日の採決がずれ込んだ上で、さらにこれだけ大きな痛みを政府・与党が背負い込んだ背景に、私は、第45回衆院選を「違憲状態」とした最高裁大法廷判決が昨年3月に出たにもかかわらず、区割り審(衆議院選挙区画画定審議会、村松岐夫会長)の勧告期限が2月25日を迎えた以降も、定数是正(0増5減案が有力)をしてこなかった樽床違法状態が関係していると思います。伝家の宝刀である解散権が総理にない状態で、会期末前後を迎えたために、小沢グループに足元を見られたのでしょう。岡田克也副総理は、採決から1時間40分後に定刻通り開いた定例記者会見で、このことについて「どのくらい影響があったかは分からない」と語り、影響があったことは認めました。さらに民主党執行部には「それは重視しようとしていてやろうとしていた人はいた」と述べ、執行部内に温度差があったことを明かしました。おそらく、城島光力国対委員長は定数是正を重視していたのだと考えますが、解散により今の地位を失いたくない輿石東幹事長、樽床伸二幹事長代行が先送りしたのでしょう。仮にそうならば、輿石さん、樽床さんは切腹物だと言っていいでしょう。

 岡田さんは記者会見の最後、朝日新聞の南記者から「きょうは野田政権にとって節目の日になると思うがきょうの出来事をどう思うか」とたずねられ、「一つの次元では判断できない問題だ」と話しました。これは、次期衆院選での有権者の判断にゆだねるという意味合いととらえられ、事実上、民主党の分裂を認めるとともに、党内の完全融和は不可能だとの認識を示したと考えられます。

 その一方で、岡田さんは「法案を通すためには、我々と自民党と公明党の協力がないと(衆参で)通りませんので、それしか道がありません」とし、これからも3党協議体制を続けることを明言しました。そのうえで、「来年度当初予算編成については、先の話で、現時点で踏み込んだことは言いません」と語りました。

 いずれにしろ、政府提出法案の衆議院議員による修正という当たり前のようで当たり前でなかったことができました。憲法73条5項で、予算は政府が作成しますが、衆議院に限れば過去に一度もない、政府提出予算(案)の衆議院議員による修正も見てみたい気がします。国会においては大きな歴史的な一日となりました。

 ◇
 
 衆院社会保障と税の一体改革に関する特別委員会は2012年6月26日(火)のしめくくり質疑の後、午前11時37分から採決。閣法6本とその議員修正案、議員提出の新法2本について、合計13回の起立採決のうえ、可決しました。この13回の起立採決(このほかに附帯決議も)は異例で、私は傍聴席から、「一体改革委員45人に名を連ねない本会議議員(480人)が理解できるのかな」との懸念をもちました。午後の本会議で、鷲尾英一郎・議院運営委員(民主党)による動議で緊急上程されました。そして採決の結果、予想を上回る最悪の事態となってしまいました。

 本会議で消費増税国税法案の堂々巡りが終わり、参事(衆院事務局部長ら)が集計する間、3党協議に参加し、「認定こども園法改正案」(180衆法25号)の発議者に名を連ねた田村憲久さん(自民党)が手元の集計をもとに、「(民主党の造反は)61人だよ、解散、カイサーン」と何度も叫びました。自民党(120議席)、公明党(21議席)が内閣不信任案を提出すれば、民主党から造反者が出れば可決する可能性が出てきてしまいました。田村憲久さんは一体改革特別委員会で委員を務め、子ども・子育て新システムの質問者、3党合意後は答弁者を務めました。

 その近くで、同じく一体改革特別委員として地方税などの質問をした自民党の谷公一さん。谷さんは兵庫県庁財政課員として10年以上予算編成に携わり、阪神大震災では被災地に急行。衆院では災害対策特別委員会理事を長く務めていいます。その谷さんは、かけひきと関係なく叫びました。

 「それでも与党議員か、けじめをつけろ!政治家を辞めろ!恥ずかしいとは思わないのか!!!」

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6月26日(火)のつぶやき

2012年06月27日 01時12分05秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革
05:16 RT from web  [ 1 RT ]
産経新聞 - 【主張】きょう衆院採決 首相は「処分」で覚悟示せ dlvr.it/1mML9r #政治ニュース24
政治ニュース24さんのツイート

06:56 from gooBlog production
総合こども園法案は政府による撤回要求ではなく、採決せず今国会会期末に審議未了廃案にする処理をすることが分かりましたので、タイトルと内容を一部修正しました。改正認定こども園法が8月までに成立する見... goo.gl/mJR06

07:01 from gooBlog production  [ 2 RT ]
採決日程について一部追記しました。 「◎鬼が勝つ 自民党、記名投票を選択し、小沢一郎を仕分け 一体改革法案の衆院表決【追記あり】」 goo.gl/UlNgs

07:22 from gooBlog production  [ 1 RT ]
今後の政治日程を更新しました。 goo.gl/RvwXQ

07:27 RT from web  [ 38 RT ]
おはようございます。他党の話ですが、大量造反、処分なし、離党少数。民主党ならば、こういう茶番劇もあり得ます。結末をしっかり見定めて、次の手を考えましょう。
礒崎陽輔さんのツイート

07:30 RT from web  [ 2 RT ]
日本経済新聞 - 消費増税など3法案、記名投票に 自公要求、造反あぶり出し dlvr.it/1mLs9k #政治ニュース24
政治ニュース24さんのツイート

07:30 RT from web  [ 2 RT ]
日本経済新聞 - 一体改革法案、衆院審議時間が歴代2位に dlvr.it/1mLsBz #政治ニュース24
政治ニュース24さんのツイート

07:46 from web (Re: @ichiroaisawa
RT @ichiroaisawa さて、いよいよ今日は採決。どんな結果になるか。民主党が分裂することは確実です。衆議院本会議では記名採決です。

08:08 RT from Keitai Web  [ 6 RT ]
大切なことは与野党で合意をしたことであって「小沢氏らが大量造反」することではない。“@47news: 小沢氏ら大量造反の構え 増税法案、衆院通過へ bit.ly/Omwm58
村越祐民さんのツイート

08:49 from gooBlog production
岡田・小沢“天命”の最終戦、決着のとき 新進党解党から15年 blog.goo.ne.jp/kokkai-blog/e/…

08:51 RT from web  [ 21 RT ]
9時から特別委員会 締めくくり総括質疑。私が自民党を代表して。9時20分から。パソコンで見て下さい。
あいさわ一郎さんのツイート

by kokkai_blog on Twitter
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