[写真]記者団の取材で「造反者への厳正な処分」を訴える民主党参院議員の芝博一さん、2012年6月26日放送のフジテレビ「ニュースJAPAN」から。
延長国会5日目のきのう、最重要法案の「社会保障と税の一体改革関連8法案」が衆院を通過しましたが、与党から大量の造反が出る不正常採決でした。このため、参議院での同法案の審議入りをめぐって国会はしばらく空転する見通しです。
すでに当初会期内に衆院から参院に送付した議案は参院で可決・成立していますが、最重要法案の一体改革法案の参院での審議と、最優先法案である平成24年度特例公債法案の衆院での修正協議を考えると、7月上旬の審議入りは必須です。
政局のときは、取材が衆院に集中して、参院の動きが手薄になりがちですが、その点、フジテレビのニュースJAPANはさすがで、昨日夜の番組冒頭から参院与党の動きを報じました。
[写真]2012年6月26日放送のフジテレビニュースJAPAN放送画面から。
[写真]2012年6月26日放送のフジテレビニュースJAPAN放送画面から。
[写真]2012年6月26日放送のフジテレビニュースJAPAN放送画面から。
このように、同日夜、野田佳彦総理最側近の花斉会の蓮舫さん、前原誠司政調会長最側近の凌雲会の林久美子さん、岡田克也副総理最側近の芝博一さんのほか、小川勝也さん、足立信也さんら政権に近く責任感の強い民主党参院議員が会合をもち、意見交換したようです。番組では、「政務三役経験者の会合」という表現をしました。
そして、元首相補佐官で岡田副総理の最側近である芝さんが「どこから見ても厳正な形で処分をするのが、議会政治の基本だ」とインタビューに答えました。芝さんの発言は、政権に近い参院議員は、同僚参院議員である輿石東民主党幹事長に対して、衆院の造反者に対して厳しい処分をすることで、参院の空転を防ぐ必要があるとの認識を共有していると示唆したと考えられます。
またこのニュース映像には、衆院側での採決場面に、三宅雪子議員が青票を投じる場面を使いました。同議員はフジテレビ出身ですが、その配偶者はフジテレビの現役社員です。フジテレビはバラエティ番組のイメージから、おちゃらけた印象を広く持たれていますが、実際にはちがいます。大手民報各局がほとんど同じ条件でやっているなかで、フジテレビジョンの売上高(広告収入とイベント収入)は四半世紀にわたり首位を独走してきました。このため単価が高い優良スポンサーが多く、社内の規律は保たれていて、給料は高いが民放の中でもきつい会社です。このように同局出身議員の造反場面を放送することで同局の規律の高さを(視聴者ではなくスポンサーに)アピールする意識が、現場の意識にあるのでしょう。とはいえ、別段、社長や報道局長がそうするようし向けているのではなく、現場が自然にそういう意識を共有できているのだと考えます。
このフジテレビ「ニュースJAPAN」のキャスターを務める秋元優里アナウンサーは2010年12月20日の民主党の岡田克也幹事長の記者会見で次のように質問していました。
[引用はじめ]
【記者】小沢元代表は政倫審の議決があっても出席しないと。つまり国会の方針に従わないとしている議員がいる民主党のガバナンスはどうなっているのか。
【幹事長】政倫審でお話をするということは、これはかなりのことですから、いろいろな議論はあり得るのだと思います。ただ、大変残念なことであると思います。これは代表も「ぜひ出てください」と言われたわけで、それを拒否されたことは非常に残念なことです。しかし、それが最終的なものなのかどうかということについて、私はまだ諦めてはおりません。
[引用おわり]
この質疑の部分は、同日夕放送の「NHKニュース7」の冒頭に使われ、フジテレビアナウンサーの声がNHKで流れるという異例の展開となりました。
90年代後半には、小沢一郎さんが民放女子アナだけを招いたパーティを側近議員と開くなどしてひんしゅくを買ったこともありました。まさに英雄色を好むという感がしましたが、もはや時代は大きく変わりました。ガバナンスは、紙に書いてある物による支配だけではなかなかうまくいかないと感じます。
造反劇の主謀者である、小沢一郎さんは民主党から除籍すべきです。
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