宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。

人をつなぐ、心をつなぐ政治へ 田中慶秋法相(拉致相)誕生 野田さんの優しさ感じる第3次改造内閣

2012年10月01日 13時23分29秒 | 第181臨時国会(2012年10~11月)友情解散

[写真]田中法相。

 野田佳彦首相は、第180通常国会の閉幕と代表再選をふまえて、内閣改造を断行。2012年(平成24年)10月1日(月)、(第1次)野田第3次改造内閣が発足しました。ひと言で言うと、心をつなぐ、心をくだく民主党が実現したかな。野田さんの優しさを感じる布陣です。政権交代ある政治のために長年苦労した人の労に報いる内閣。これは野田さんはよく分かっているなというメンバーです。

 野田総理は内閣改造の理由を「内閣の機能強化のため」としていますが、野党党首は「年内の(早期の)解散に追い込む」と一致したとの報道があります。野党党首もいい加減分かってほしいところです。

 ところで、2012年10月1日、米軍岩国基地から米海兵隊普天間飛行場に軍用輸送機(戦闘機ではない)「MV-22 オスプレイ」が移動しましたが、これは「ボーイング・ヘリコプター社」の製品で、このことがカギだし、ある意味すべてです。この件は別の機会に。

 それはさておき、民社協会から田中慶秋法相が入閣しました。民社協会会長として長年取り組んできた拉致問題担当相も兼ねます。連続当選7回で牧場主・世襲議員の小平忠正・国家公安委員長、城島光力・財務相が誕生し、古典的5省(法外財内防)のうち、3省(法財内)の大臣が民社協会となりました。「わが党は綱領をつくれ。その節は俺たちにやらせろ」の民社協会が、「2009年マニフェストの約束を守るために離党する」小沢グループとの仕分けられた結果です。頻繁な内閣改造に関しては、国民のみなさんに申し訳ない気がしますが、わが党がこれからも与党であれ、野党であれ政権担当可能な責任政党として日本を担っていくためには必要な改造であると同時に、国民を裏切った政治家を歴史の階段から転げ落とし、決められる政治で、歴史を前に進めるためには必要な改造でした。どうかご理解いただきたい。

 玄葉光一郎外相が続投し、日本からJAPANへと政府のあるべき姿を見せました。内閣官房長官には藤村修さんが続投し、大阪7区に帰って日本維新の会(大阪維新の会)に備えるよりも、野田さんを支えきり心中する道を選択しました。小沢グループとの仕分けで貢献し、政権交代後一貫して衆院常任委員長(文科、外務)を務めた田中眞紀子さんが文科相として民主党員として入閣。衆院財務金融委員が長い中塚一宏(なかつか・いっこう)さんが当選3回47歳で金融相や、内閣府男女共同参画局の担当大臣に抜擢されました。田中秘書軍団の伝統を受け継ぐ新生党秘書会青年部出身者では初めての閣僚になります。羽田グループ政権戦略研究会からは三井辨雄(みつい・わきお)厚労相が就任しました。ただ、三井さんって製薬会社社長だったと思うんですが、その辺はていねいに整理しているのか気になるところです。郵政改革担当大臣には、下地幹郎さんが就きました。内閣府の防災相も兼ねます。悪く言う人もいますが、政局センスにすぐれ、行動力のある素晴らしい方だと私は認識しています。延長国会以降、沖縄県選出でただ一人の与党議員となりました。下地さんは初当選後、2回連続で落選し5年間浪人した経験がありますが、国会議員資産等報告書で「自動販売機貸し出し業」の所得を計上しているおそらく唯一の国会議員で、根っから政治にのめり込める議会の子だと感じます。防災担当も兼ねるようで、下地防災相は頼りがいがあります。

 第46回衆議院議員総選挙の事務を扱う総務相には樽床伸二さん、環境相には日本新党代表室長出身の松下政経塾2期生で岡田克也幹事長の下、民主党財務委員長を担った長浜博行さんが入閣。長浜さんは政権交代後に厚労副大臣として、たばこ税の増税で国民の健康を確保しようとしたところ、税制調査会で「かえって減収になると困る」「地方の減収にある」など各方面からの意見に合い、与党らしくなりました。長浜さんの後任の内閣官房副長官には参院議員、芝博一さんが入り、衆参ねじれの連絡役として苦労することになります。岡田系はヘビーローテーションで人使い荒く使われまくっていますが、官職が高くなるので文句は言えまい。岡田副総理、羽田国交相、郡司農相らは続投します。

 午後5時からの皇居宮殿での天皇陛下の認証式を経て、正式に国務大臣になり、首相官邸に帰って、総理から補職辞令を受けます。 

 田中法相に関しては、きょうだけでもいくつか縁のあるところで動きがありました。故郷、福島県浪江町は、きょう役場を引っ越したそうです。3・11から1年7ヶ月、4度目の場所、二本松市内では2度目の場所になるそうです。浪江町民のみなさんには筆舌に尽くしがたい思いが続くことと拝察します。慶秋さんの入閣が少しでも勇気づけることになればいいな。

 また、これは思い出したくないところですが、リクルートが創業52周年ということで、リクルート・ホールディングスとしてグループ各社を再編したとのことです。年度後半のスタートである10月1日といえばこういった新聞のカラー全面広告で埋まっていた時代がありますが、きょうの新聞ではリクルート1社で、「社内ベンチャー」という斬新で活力ある、「入りたい会社1位」になったこともある同社の一人勝ちを感じました。小糸工業労組支部からゼンキン同盟(現在のJAM)の応援を受けて神奈川県議会議員を務めた慶秋さんは、1983年(昭和58年)の第37回衆院選で初当選。しかし、リクルート事件に巻き込まれました。リクルートの創業社長で「風雲児」江副浩正さんは安定株主対策として、本社がある神奈川で、自由主義野党の民社党の田中慶秋さんにリクルート・コスモスの株を買ってもらいました。これは法律上まったく問題なく、しいていえば、未公開株なので、一般の投資家には扱えないということもありますが、ちゃんとお金を払って手に入れた物です。しかし、自民党の悪狸が次々と無償でもらったり、政治献金を受けていたことを隠して答弁していたことが発覚し、五月雨式に、役職を辞任するという「明日は誰?」の恐怖が自民党を1年間覆い、竹下内閣総辞職の日まで続きました。このとき、舌鋒鋭く追及していた野党でも、民社党委員長(後に自民党入党)に続き、田中・国会対策副委員長も購入していたことを自ら発表し、道義的に謝罪しました。この件では、民社党から起訴者は一人も出ていません。ただ、中選挙区単記制の恐さで、「野党で、リクルートで、田中」にあえて投票する積極的動機は少なくなります。2回連続で落選し、中選挙区時代には国政復帰できませんでした。小選挙区でも郵政解散で落ちていますので、現在6期生です。

 ところが、慶秋さんは選挙区内のとくに、横浜市戸塚区では驚くほど日常活動量が多い人です。中小企業の集積拠点である戸塚では、野党時代から、中小零細企業の社長は田中事務所をとても頼りにしていました。戸塚の社長たちの間では、「田中けいしゅう」は一般名詞化しており、「あと、それから社長さ、田中けいしゅうの忘年会のときに話したあの件だけどさ・・・」という風に日常会話に頻出します。かつては、プロ野球球団を経営していた全国的に有名な大手食品スーパー、これも二代目の元社長がきょうの読売新聞で敗戦の弁を語っていましたが、今はイオングループによって再建・継続しているこのスーパーチェーンに置いてある和菓子はほとんどこの戸塚区にある会社がつくっています。この社長さんは大変すばらしい方。横浜市内の他区で会社を徐々に大きくし、戸塚区の中小企業工業団地に大規模な土地を調達して本社ごと転入し、最新鋭の技術を持った工場をつくりました。日経新聞横浜支局記者だった私は政治部出身でなかなか企業記事が書けなかったのですが、役所から「あの会社すごい」と教えてもらい、取材し、記事を書きました。その後、問い合わせが殺到し、引き合いも増えたそうです。しばらくして、会社を再訪すると、社長は私にこう言いました。「宮崎さんは命の恩人様だ」。いくらなんでも大袈裟です。そして、こう言いました。「宮崎さんのおかげでね、我が社もついに、新卒者を4月1日付で採用するような会社になりましたよ」。大学を3月に卒業した人を4月1日付で採用することが中小零細企業の社長の夢なんです。ステータス(社会的地位のあかし)なんです。社長は生まれてからきょうまでの歩みを私に話してくれました。その後、3人採用した新卒者、そういう人はたいてい社長室の扉を開いてすぐの近くの机に座っていますから、社長は私の手を引いて紹介してくれました。「ほら、宮崎さん見てください、そこで働いている彼女、ドコドコ大学を3月に卒業して、田中けいしゅう事務所の紹介で4月1日付で我が社に入社したダレダレです」。戸塚区では「新卒で」「けいしゅう事務所の紹介で」社員を雇う会社が、信頼できる会社のあかし。

 この会社、今久しぶりにホームページを見ましたが、不況に強い業種ですし、しっかりとした足取りで経営を続けておられるようです。

 このほか、バブル絶頂期に、税金と企業の協賛金をミックスさせた実行委員会で大成功し、全国的に地方博ブームを巻き起こし、大震災・戦災・航空貨物による劣勢から大復活をとげた横浜開港130周年(明治維新121周年)記念の横浜博覧会(YES'89)を担当した公務員は「いやー打ち上げで田中けいしゅう事務所の主催で川下りしたんですよ」と思い出を語り、「横浜八景島シーパラダイス(シーパラ)」では毎年恒例のイベントとして、5000人規模の「けいしゅう祭り」をどーんと開催しています。みなとみらいから八景島までヨコハマを縦横無尽に田中けいしゅう事務所は人と人の心をつないでいます。

 民主党にはみかけない政治家です。当然、悪く言う人もいます。弁が立つ人ではありません。イケメンでもありません。だけど、横浜のテレビに映らない地味な路地に「けいしゅう」が日常会話のまちがあります。

 拉致問題では国の外は明るくなってきましたが、むしろ国内がまとまらなくなりつつあります。そして、法相。いうまでもなく死刑執行という日本の刑法体系を守る上でもっとも重要な任務があります。前任の滝実法相は4ヶ月の間によくその職責を果たし、元内務官僚(自治官僚)、元自民党員らしい責任を果たしました。その大任に、心と心をつなぐ政治家が就きます。しかし、私は自民党政権の後藤田正晴法相が執行するよりも、けいしゅう法相の方が信頼できるように思います。それは心と心をつなぐ政治をしてきた人だと分かっているからです。民社協会というすばらしい仲間がいます。選挙区にも社長さんがいます。社長でなくてもいます。ふるさと浪江町には、今は人はいないけれども、心があります。やがて人も戻るでしょう。一人じゃない。74歳の最年長閣僚だからすべてを達観しているわけでもありません。みんながみんな支え合っているんだ。人と人、心と心の交差点。それがけいしゅうなんだ、政治家なんだ。

 野田第3次内閣は、最後の最後の最後まで見せてほしい。みんなの心を一つにして、第46回衆院選で、倒れるにしても、必ず前に向かって倒れましょう。

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[お知らせおわり]
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