[写真]党首会談の結果を記者に説明する野田佳彦・民主党代表(首相)、2012年10月19日(金)午後4時50分、国会内民主党代議士会室、筆者撮影。
まず、朗報で、東海大学が経営する病院に入院した田中けいしゅう法相は「元気だ」ということが、その筋からの情報として入りましたので、どうぞご安心ください。
さて、2012年(平成24年)10月19日(金)、国会議事堂中央部3階正門側(皇居側)の委員長室で、党首会談がありました。ところがこれ、見かけない光景がありました。民主党の野田佳彦代表(総理)が3時56分、部屋に入りました。ちなみに山口那津男・公明党代表は総理より2分前に入り、安倍晋三・自民党総裁は総理より2分後に入りました。ところが民主党の輿石東幹事長は野田総理が入った2分後に入りました。私、与党の党首(総理)が先に入り、与党の幹事長が後から入るというシーンは、私の知る限りでは初めてです。
党首会談は40分間で、やや長めだったと思います。この後、総理と輿石幹事長は、民主党の衆議院側控え室に入り、記者ブリーフィングにのぞみました。ここでも見慣れない光景があり、会談の内容をすべて総理が説明し、記者からの質問にもすべて総理が話しました。隣にいた輿石さんはひと言も発しませんでした。見慣れない光景で、報道では、自民党の安倍総裁は記者会見で、幹事長会談で解散時期について総理から具体的な説明がある、との話になっていたことから、「今までの政党間の常識ではない」と語ったようです。しかし、総理自ら記者ブリーフィングをする政治なので、安倍さんの常識が勝つか、野田さんの常識が勝つか、それはこれからの歴史的局面で結果が出るでしょう。
野田さんは3つの提案をしましたが、自公党首は衆議院「解散の時期を明示してほしいとのやりとりに終始した」(総理)とのことでした。3つの提案のうち、2つめは、衆参の定数是正法の成立に向けて幹事長レベルで協議してほしい、3つめは社会保障制度国民会議(設置時期は来年8月まで)は「解散があると40日以上(政治的空白期間が)空くので」(総理)速やかに設置させてほしいとのことでした。
そのうえで1つめの提案ですが、特例公債法案については、少なくともどの党が政権をとってもしばらくは特例公債を発行せざるをえない財政状態が続くので、ルールとして、平成24年度特例公債法案(参院で審議未了廃案)の本則のところや付則を書き直して再提出したり、3党間で覚書を交わしたりしたいとの提案でした。そして、自民党が提出した「財政健全化責任法案」(林芳正さんら提出、直近では、第177参法1号=第177国会で審議未了廃案)の第5条を活用して、「平成24年度から平成27年度、あるいは(平成24年度から)平成32年度まで」の期間について、経済成長と財政健全化目標を法案に明示して、その間は予算と一体的に審議・成立させると本則に書いたり、付則に書いたり、3党間で覚書を交わしたりしたいとの提案でした。
「平成24年度から平成27年度まで」は、2012年度から2015年度までで、実質的には3年と3ヶ月間ほどになります。
「平成24年度から平成32年度まで」は、2012年度から2020年度までで、実質的には8年弱ということになります。
なお、ここで総理が提案した自民党の財政健全化責任法案の該当部分は次の部分だと考えられます。
[第177国会議案から引用はじめ]
第一七七回
参第一号
国等の責任ある財政運営を確保するための財政の健全化の推進に関する法律案
(前略)
(財政健全化目標)
第五条 財政の健全化の推進は、一会計年度の国及び地方公共団体の財政赤字額が生じないようにすることを目指しつつ、次に掲げる当面の目標(以下「財政健全化目標」という。)を達成するよう行われるものとする。
一 平成三十三年度以降において一会計年度末の国の長期債務残高及び地方公共団体の長期債務残高の合計額の当該会計年度の国内総生産の額に占める割合が安定的に低下する財政構造を実現すること。
二 前号に掲げる財政健全化目標の達成のため、平成三十二年度までを目途に、一会計年度の国の基礎的財政収支額及び地方公共団体の基礎的財政収支額の合計額の黒字化(当該合計額が零を上回ることをいう。)を確実に達成するものとし、遅くとも平成二十七年度までに、当該合計額の対国内総生産比(当該合計額を零から差し引いた額の当該会計年度の国内総生産に占める割合をいう。以下この号において同じ。)を平成二十二年度の当該合計額の対国内総生産比の二分の一以下とすること。(後略)
[引用おわり]
この法案は自民党が下野直後に林芳正さんらが参議院に提出。その後、国会戦術上の理由から衆法として財務金融委員会筆頭理事の名前で出し直し、再度、参法として提出されました。この法案は、私は最初に精査したところ、たいへんな「噛ませ犬法案」だと気づき、民主党国対幹部に伝えたところ、「あんなの審議入りしないよ」と言うことでしたが、その後、菅直人首相がふたたび審議入りしても良いと発言し、最終的には、 昨年の第177通常国会で審議未了廃案となりました。この法案は、一度成立させると、翌年度から野党・自民党は「民主党は財政健全化責任法に違反した法律破りの無責任与党だ」というキャンペーンをしたでしょう。それを野田さんがここで持ち出して、新・特例公債法案に入れようと提案したのはすぐれた政治センスです。なぜなら、今の任期では、今年度と来年度予算しかないのですから、自民党が当初想定していた「噛ませ犬」はできないでしょう。
自民党も一度出した法案なのですから、野田さんの「新・特例公債法案」を審議し、賛成すべきでしょう。公明党は平成24年度特例公債法案(180閣法2号内閣修正)に衆院で反対しましたが、参院では審議未了廃案となりましたので、再度、「新・特例公債法案」の野田提案に乗ってみた方がいいでしょう。いずれにしろ、この提案への答えがないのに、衆議院を解散するわけにはいかないでしょう。
野田総理はこのほか、「6月の3党合意は重い」「(8月8日の3党首会談の)「近いうちに信を問う」という言葉も重い」と語りました。さらに「ダラダラと政権の延命をするつもりはない。条件が整えば信を問う」と述べました。さらに「特定の時期を明示してほしいという自公の要求に対して、近いうちという表現はギリギリの表現だ」ともしました。まったくその通りで、3党合意があるにもかかわらず、8月8日の一体改革法案の参院採決の直前にあのような振る舞いをした自公に対して野田さんは十分すぎるほどの誠意を示しています。
山口さんは、「近いうち」「12月9日」がともに結果として「嘘」となり、支持母体で突き上げを食らうのではないでしょうか。安倍総裁は私の常識にはないと言っているようでは戦後レジームからの脱却はできません。
責任ある政治、どちらに分があるかは民主党。そして、民主党の中にもいろいろな民主党がありますが、野田民主党。私は責任を持って断言します。
なお、この後、開かれた政府・民主三役会議で第181回国会(第181臨時国会)が平成24年(2012年)10月29日(月)に召集され、当初会期は1ヶ月程度とすることが決定されたようです。確認できたら、改めてエントリーをおこそうと思います。
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