渡辺恒雄あとつぎ宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

民主党は「国庫債務負担行為」の修正で、自民党の消費税先食い「前倒し発注」をけん制すべきだ

2013年01月11日 06時47分55秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

[写真]民主党の前原誠司ネクスト財務大臣。

 第2次安倍内閣は、きょう2013年1月11日(金)、補正予算歳出、来年度税制改正、官民ファンド、融資枠の新設などを盛り込んだ総合経済対策(緊急経済対策とも追加景気対策などとも言うのパッケージを閣議決定します。そして、3連休明けの来週火曜日(15日)の閣議で「平成24年度第1次補正予算(案)」を決定。印刷に回して、28日の召集日ないし29日に国会に提出します。

 「繰越明許費」や「国庫債務負担行為」も補正されるでしょう。民主党は参院第1党として、「繰越明許費や国庫債務負担行為の議会による減額修正」をちらつかせて、政府・自民党をけん制する必要があります。とくに平成26年度一般会計歳入に見込まれる消費税増税分のマネーが「国庫債務負担行為」の設定により、2年先の未来から、今年度に引っ張ってくることが可能だからです。


[画像]平成24年度一般会計予算書(当初予算書)のPDF147ページ。赤囲み、赤文字は筆者が加筆。

 現在執行中の平成24年度一般会計当初予算書から、ごく一部分の抜き出しです。例えば、防衛省の「武器購入」には、1806億円の国庫債務負担行為が設定されています。これにより、防衛省は、歳出(国会が防衛省にその額まで執行して良いと認めた限度額)を超える金額の発注が可能になります。これが「前倒し発注」ということになります。国が裏打ち保証をしているので、業者も安心して今年度歳出を超えた金額の契約をしても、未収になる可能性はほとんどないので、安心して受注できます。

 ですから、このしくみを使えば、2014年度4月からの消費税増額分で入るであろう未来の国庫から、お金を手前に引っ張ってくることができます。ですから、民主党は債務負担行為の設定に絞って、補正による増額・新設がないか目を光らせ、場合によっては参院での修正議決もちらつかせるべきです。そうすると、「前倒し発注」の動きを緩慢にし、「消費税先食い」という、民主党支持者への裏切りをけん制できるでしょう。


[画像]平成24年度一般会計予算書(当初予算書)のPDF147ページから。赤囲み、赤文字は筆者が加筆。

 あるいは、今年度から来年度への繰越は「繰越明許費」の設定で可能です。なので、今年度が残り80日間となって今でも補正予算に驚くべき高額な数字が出てくることになります。とくに、国庫から歳出して自治体の歳入となる補助金・交付金は国が繰越明許をかけて4月以降にすることも可能だし、とりあえず県庁に移して「基金」にして、来年度以降に執行することも可能です。このことから、「15ヶ月予算」という発想もでてきます。

 例えば、総務省の「市町村合併体制整備補助金」や「過疎地域等自立活性化推進交付金」は、未消化ならば来年度以降に繰り越し明許をかけることができます。そうやって、選挙で選ばれた市町村長が、試験で選ばれた霞が関官僚にアタマを下げる政治が続きます。このような状態で、道州制をしようが、参議院議員を兼職しようが、根っこは何も変わりません。

 とくに国交省は、一般会計を繰越明許したり、国庫債務負担行為を設定した上で、特別会計に予算をプールしたり、銀行から借り入れたりしています。この全体像は国交事務次官でも理解できていないと考えられます。農水省も同然ですが、総額はずっと少ないのに、一つ一つの費目が細かいので、質はより悪いでしょう。

 例に出した「防衛省」は特別会計をもっていないし、一つ一つの契約が高額であることはみなさんも想像しやすいので、理解できる面があるでしょう。さらにいえば、武器、弾薬、車両などの工場の現場には、我が党の働く仲間が多く、その中から第23回参院選比例代表の公認新人候補もいます。

 総務省についても県庁や市町村に渡しきりにする自由度の高い「交付金」なので、総額は圧倒的に大きくなってしまいますので、新聞の見出しの驚きに比べれば、ずっと良心的です。

 そして歳入と歳出の帳尻を合わせる「寄せ木細工」の議会修正は、現在の日本で、野党第1党の民主党には不可能なのが現実です。新進党が住専予算でやった「予算総則」の削除に続き、今回は「繰越明許」の(一部の)削除、「国庫債務負担行為」の削除や減額。これは技術的に修正案を出せると思います。後は、胆力ですが、これはネクスト財務大臣(金融担当大臣兼務)に前原誠司さんが就任しましたので、期待できるでしょう。

 前原ネクスト財務大臣、ぜひ、国庫債務負担行為の減額修正をちらつかせてください。この場合は、「経済対策の事業規模」「真水」「補正予算の総額」「補正予算のフレーム」の金額は動きません。「事業規模」は変わるかもしれませんが、新聞の見出しにはまったく影響のない程度の金額でしかありません。

 我が党は「財政民主主義」の確保と、消費税の先食いをけん制する。それが第2次野党期の予算審議の2本柱だと、私は考えています。

 衆院でも参院でも第1党なんですから!

 第1次与党期には「上を向いた人」だらけだった我が党ですが、今は「前を向いた人」だけとなりました。それは民主党・無所属クラブだけでなく、民主党・新緑風会も同様だと信じています。

 ファンファーレの音が聞こえてきました。

 前へ!政治を国民の手に取り戻す動きは、これからがスタートです。

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