【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

衆議院特別委員会「10」か? 第45期の「7」特別委から激増も

2013年01月26日 19時21分51秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

 第183回通常国会が2013年1月28日(月)に召集されます。この前裁きとして、イブキング(伊吹文明衆議院議長)に、国会記者章を持つ新聞・テレビ局の幹事社が呼び出され、場所としての「記者クラブ」の控え室の配置でいろいろと大変だったようで、社員記者、国会記者章を持つ人もなかなか苦労がありますね。私もイブキングに呼び出しを食うくらいになりたいものです。

 さて、召集日に衆議院に「原子力問題調査特別委員会」が設置されることになりました。

 公明党の衆・議運委理事が先の特別国会召集日の2012年12月26日(水)に提案していたものです。

 これは両院合同調査会方式の「東京電力福島原発事故調査委員会」の提言の中に「規制当局を監視する目的で、国会に原子力にかかる問題に関する常設の委員会などを設置する」との文言が入っていたそうです。

 特別委員会は会期ごとに設置することになっており、特別委員長は閉会中は議会雑費(委員長手当)がもらえません。常任委員長とは違います。

 第46期衆議院スタート時点で、衆議院には

 (1)災害対策特別委員会(災害特)

 (2)政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会(倫選特)

 (3)沖縄及び北方問題に関する特別委員会(沖北特)

 (4)青少年問題に関する特別委員会(青少年特)

 (5)北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会(拉致特)

 (6)消費者問題に関する特別委員会(消費者特)

 (7)科学技術・イノベーション推進特別委員会(科技特)
 (8)東日本大震災復興特別委員会(復興特)
(9)海賊行為への対処並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会(テロ特) 

 の9つの特別委が設けられました。このうち、以前からそうですが、(9)の海賊・テロ特だけは設置について起立採決になり、共産党が反対しています。それ以外は全会一致で設置されています。

 これに(10)原子力問題調査特別委員会が加わり、10になるのでしょうか。

 ところが、民主党が初めて第1会派となった第45期衆議院がスタートした第171回特別国会(横路孝弘議長、松本剛明議運委員長)で設置されていたのは次の7特別委員会です。 

(1)災害対策特別委員会
(2)政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会
(3)沖縄及び北方問題に関する特別委員会
(4)青少年問題に関する特別委員会
(5)海賊行為への対処並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会
(6)北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会
(7)消費者問題に関する特別委員会

 の7つだけでした。

 仮に10特別委になるのならば、3人の特別委員長が議会雑費(開会中のみ1日6000円委員長手当ともいう)をもらえ、衆議院から運転手付きの専用の公用車(院車)が割り当てられます。 さらに、衆議院事務局委員部にもそれ相応のスタッフが兼務でしょうが、配置されます。

 国会は行革の対象外とされてきました。

 しかし、昨年の第180通常国会(高木義明議運委員長)では、 連休明けの5月8日(火)の本会議の冒頭で、「郵政改革に関する特別委員会を廃止する件」
(当ブログ内エントリー衆議院郵政改革に関する特別委員会を廃止参照

が議長から発議されて、了承されています。これに先立ち、連休前の2012年4月26日(木)に「社会保障と税の一体改革に関する特別委員会」がもうけられました。その翌日の参議院本会議で「郵政見直し法(郵政民営化法等の一部を改正する等の法律」が可決・成立して連休入りしました。なので、民主党が5月8日の社会保障と税の一体改革法の審議入り直前に身を切るとともに、郵政見直し法成立による「郵政政局の7年目の打ち止め」の2つを宣言する意味合いがあったと考えられます。

 この中で、自民党が第1会派となった第46期衆議院(佐田玄一郎議運委員長)が特別委が10に増えるというのは、第4会派にとどまる庶民の党、公明党に院車を回したりする配慮があるのではないかと疑いたくもなります。

 ちなみに、拉致特は具体的な法案はかかることは少なく国政調査もあまりありません。沖北特も、昨年こそ沖縄の本土復帰20周年による特別措置法の10年延長がありましたが、それ以外はあまり法案がかかりません。この辺は廃止してもいいのではないでしょうか。

 さらに、地方議会のシステムを借りて、予算委員会と決算委員会を特別委員会にしてしまって、季節的に集中的に大量の議員が参加できるようにするという手もあるかもしれません。予算の実施状況に関する閉会中審査は、省庁別の常任委員会は必ず一つあるのですから、どこでも対応できるはずです。

 もちろん「拉致特廃止」というニュースになれば、「安倍政権の拉致問題の姿勢を疑う」という世論になるのは確実ですが、だったら常任委員会を設ければどうだという話です。

 こういった国会のしくみにももっと関心を持っていただきたいところです。

 で、できれば私に国会記者記章を貸与してくれると、両院事務局を削れというようなことは言わなくなるかもしれません。政治報道とはそんなことの繰り返しです。とはいえ、とりあえず引き続き国会記者章のない第183回国会。相変わらず自由にやらせてもらいます。

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企業減税の粗特てんこ盛り自民党税制「業界団体にパーティー券を買ってもらうため」と古本伸一郎さんが批判

2013年01月26日 13時48分55秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

[写真]民主党の古本伸一郎・税制調査会事務局長、ソウル景福宮前、左は岡田克也・最高顧問=岡田かつや後援会報から。

 自民党の平成25年税制改正大綱(2013税制改正大綱、野田毅会長、2013年1月25日決定)に批判が集まっています。

 すでに次のエントリーで書いたとおり「自民党平成25年度税制改正大綱で「道路特定財源」復活か ガソリン値下げ隊を無にする暴挙だ)、道路特定財源を次の税制改正で復活させようともくろんでいます。これについて、ガソリン値下げ隊の副隊長だった、日本維新の会国会議員団の松野頼久幹事長と民主党の細野豪志幹事長は、第183回通常国会での追求していくことで合意した、と報じられています。これは、自民党の高市早苗政調会長が、直前まで税調のプロセスを知らなかったようで、民主党では考えられないこと。自民党の税制改正チームの情報隠蔽体質そのものも、国会で問われるべきです。野田毅さん、高市早苗さん、石破茂・自民党幹事長を参考人として呼んで、国会答弁を求める必要もあるでしょう。

 そして、民主党税制の「(所得控除)控除から手当へ」 による、租税特別措置のシンプル化に反して、法人税の複雑怪奇な粗特が復活しました。たとえば、自民党平成25年度税制改正大綱で、給与を5%増やした企業はその分の1割を税額控除でき」減税するとなっています。

 自民党2013税制改正大綱の63ページでは、企業の雇用促進のために、「国内雇用者に対して給与などを支給する場合において、その法人の雇用者給与など支給増加額(略)の基準雇用者給与など支給額に対する割合が5%以上であるときは、その雇用者給与など支給増加額の10%の税額控除ができることとする」と書いてあります。

 しかし、これは対象企業に厚生労働省が補助金を払えばすむことです。つまり、租税特別措置による減税とは見えない補助金です。

 この自民党税制改正を古本伸一郎さんは「業界団体にパーティー券を買ってもらうために減税している」と語りました。25日付日経4面(政治面)にコメントが載りました。

 衆議院愛知11区(豊田市など)で4選し、第1次野党期は衆院財務金融委員会理事、第1次与党期はすぐに財務大臣政務官(チーム藤井)、党に戻り党税調事務局長(チーム寛成)をしました。すなわち、古本さんは藤井裕久さんと中野寛成さんの国会への置きみやげです。

 民主党は2010税制改正(2009年秋)は、政務三役によるインターネット中継のある、政府税制調査会だけで議論しました。このときは財務副大臣が政府外若手議員の傍聴がまったくなかったと個人メルマガを通じてたしなめました。

 2011税制改正は、党にも税制改革プロジェクトチームができました。今度は新人がどんどん参加しました。新人らはブログで「これからも免税措置の継続がんばります!」 とつづりました。これはマニフェストの「租税特別措置の見直し」の方向性に反します。なぜそういうことを言い出したのか、容易に想像がつきます。ただし、国会議員を動かすためのマネーが「自民党時代より2桁減った」と喜ぶ関係者がいました。

 2012税制改正では、ようやく税制の大事さがわかった民主党は、会議が始まる前の資料を国会議員に渡すが政策秘書には(部屋の中での閲覧も含めて)資料を渡さない、という極端な過剰反応がありました。

 このとき、租税特別措置の廃止による国庫の減収額を計算させた古本さんが、会議終了後の記者ブリーフィングで、「たとえば漁業用燃油の粗特を廃止しても、国庫は26億円の減収にしかならない」と語り、「自民党は26億円の減税のために、わざわざこの粗特をつくり、続けてきたのか」と驚く姿がありました。「ぜひ、記者のみなさんには、自民党の税制調査会のやり方を教えてほしい」と正直な反応を示しました。もちろん、26億円の減税で、その1割を合法的に自民党にキックバック(政治献金、パーティー券購入)してもらえば、小選挙区2~3つ分の政治活動費ぐらいになります。それが自民党のやり方です。

 だから、「控除から手当へ」で、補助金にすれば、その半額でいいかもしれません。結果的に国の財政は潤います。一方で、政党・政治家はお金を集めるのが大変になります。そして、なによりも、国民は何も知らないまま、損をすることになるのです。

 半世紀にわたり自民党政権が複雑化させることで自らの権力源にしてきた「粗特」を廃止することが、民主党の「改革の党」としての原点でしょう。だから「生活者のための党」として、「改革の党」でなければならない。その原理に矛盾はまったくありません。ただ、その前提として2013日本政治にとって、「現行制度」とはすなわち「自民党政治」です。だから、「自民党政治」を中央において、強い手である右手で改革し、左手で生活者に手当することが民主党の立ち位置です。だからこそ、国会議員団の中軸の大多数は、もともと右手が強い人が担うのが民主党だ、という共通認識が民主党に集うすべての人にあるべきだと考えます。そして、自民党がまずあっての民主党だ、というパラダイムで、遠くとも2030年ぐらいまではやっていけるのではないでしょうか。

 粗特を廃止すれば、企業の経理部員や税理士は仕事が減るかもしれません。ならば、連合が長年要望している「年末調整と確定申告の選択制」を導入して、確定申告書は増やし、それに関する「新しい公共」で雇用を維持した方が、はるかに国家、国民のためになります。

 もちろん、なによりも問題なのは「控除から手当へ」を説明できなかった民主党国会議員経験者にあることはいうまでもありません。たとえば「控除から手当へ」の「控除」とは「所得控除」の略であり、「税額控除」の略ではありません。だからNPO寄付金控除は、マニフェストに反するものではありません。それを知らずに社会保障と税の一体改革法に造反した人は、ちょっと反省しても、この人生で、もう社会に居場所はないと断じます。

 ところで、自動車取得税の廃止にともなう、地方減収対策として、3党協議で、自動車税(都道府県税)が増税になるのではないかと、松本剛明・民主党税調会長が与党から聞いた、と25日付読売1面に載っていました。自民党大綱にのらずに、3党協議で押しつけられたらやってられません。もちろん、2000億円の減収分のてあては必要です。自動車税は多くの人にとって、自分で納付書の紙を持って、コンビニ・金融機関・役所窓口に現金をもらって能動的に払う人生最初の税なので、県庁税務課では、とくにていねいな収納の啓発、説明、郵送、滞納整理を指導しているケースが多くあるようです。

 そして、最終的には2011年の第177通常国会のように、国会内で税制改正法案を修正していくという先例を積み上げていくべきです。それをしなければ、ほんとうに国会は存在する必要がありません。

 通常国会召集前週となり、うごきが活発になった今週でした。なかなか野党は論陣立てをしにくいのですが、世論がどこまで反応するか別として、ガソリン値下げ隊は、民主党の歴史ではなく日本の歴史ですから、しっかりと歴史の作り手にならなければなりません。

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1月25日(金)のつぶやき

2013年01月26日 01時14分56秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

@hakozaki_kari 自民党税制調査会総会で異論が噴出し、「自動車重量税の道路特定財源化」はその後の自民党総務会で撤回されました。


#kokkai 「放射性物質の不適正除染」について。衆院環境委員会で閉会中審査が行われています。shugiintv.go.jp/jp/index.php

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「地公体」「ちこうたい」と連呼する、銀行員→民主党公募議員→現みんなの党衆院議員。違和感。#kokkai


これが現実・・・「維新」「みんな」「未来」裏切った政権交代チルドレン3人が全員登場 goo.gl/xtKwf