【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

石井一議長、岡田克也最高顧問が海江田代表に拍手 羽田雄一郎さん公認

2013年01月22日 20時44分19秒 | 岡田克也、旅の途中

[写真]2013年最初の常任幹事会に集まった(左から)北澤俊美副代表、岡田克也最高顧問、菅直人最高顧問、輿石東参院議員会長、石井一議長、海江田万里民主党代表、2013年1月22日(火)、民主党本部内、筆者撮影。

≪民主党復活元年の常任幹事会開かれる≫

 民主党は今年初めての常任幹事会(第574回常任幹事会)を2013年1月22日午後、民主党本部で開きました。

 石井一議長(参院今夏改選)は、「きょうは本年最初の常任幹事会です。我が党は存亡の危機にある、という責任感の下に、常任幹事会が火の玉となって我が党が反転攻勢をスタートさせなければならない」と短くあいさつ。「海江田代表から年頭のごあいさつと決意の表明をしていただきます」と議事を進め、海江田万里代表が立ち上がると拍手が起きました。

 これには感動しました。というのは、昨年末の両院議員総会で野田佳彦代表が辞任を表明したときに、拍手も「ご苦労さん」という掛け声も一切かからなかったからです。これが民主党なんですね。しかし、年が明け、多少なりとも余裕が出てきたのでしょうか。

≪ピン議長、岡田克也最高顧問ら新生党シンドバッド4人衆がにらみを利かせば民主党は必ず復活できる≫

 民主党は大丈夫なのか?と聞かれれば大丈夫といえるでしょう。なぜならば、きょうの常任幹事会には、石井一議長のほか、岡田克也最高顧問、北澤俊美副代表、前田武志・企業団体委員長の4人が集まりました。来週からはじまる国会は「宮澤うそつき解散」から20年の節目になります。あのとき、いかだに乗って船を出た新生党シンドバッド合計44人のうち、4人がにらみを利かせている限りは大丈夫です。

 こうしたやっとできた政権交代ある二大政党制を見届けるように、昨年末、羽田孜さん、渡部恒三さん、藤井裕久さんの3人の最高顧問という名のシンドバッドが引退しました。そして、反転攻勢の年明けでも、新生党シンドバッドの健在ぶりを発揮しました。

≪バランス感覚ある細野幹事長が党綱領たたき台に新生党色を盛り込み、KEEP RIGHT ≫

 民主党綱領のたたき台を決めましたが、前文は「日本は古来より東西文化を融合し、大いなる反映と独自の誇るべき文化を発展させてきた」と保守色の強い書き出しとなりました。そして「政権交代の成功と挫折を経験した今、我々は改めて原点を問い直し、さらなる進化を遂げ、国民政党として再生する」としています。まさに私たちの20年の実験が、次の世代に引き継がれることを宣言しています。

 そして、基本的立場では「1998年、我が党は」として、立党日を正式に1998年と定めました。「我が党は生活者、納税者、消費者、働く者の立場に立つ者が集まって誕生した。同時に、今と未来の世代に希望、幸福、安心を贈るべく、古い政治を変える意欲を持つ改革者が集まった改革政党でもある」と明記されました。このように、政治改革、行政改革を進めてきた私たちの主張が、ややセンターレフト的な「生活者の党」から、しっかりと、KEEP RIGHT されて、「改革政党」と明記されました。しっかりとMIGHTY HAND である右手で財政をグリップしなければ、貧しい人々の生活を救えません。

 そういう私たち、「二大政党・自立と共生」を体現してきた新生党20年の歩みと、それを社会保障と税の一体改革で昇華させた細川元首相・日本新党代表の一番弟子、野田佳彦首相の努力が体現化されました。私は海江田さんは保守だと信じていました。そして、細野豪志幹事長はバランス感覚にすぐれているようなので、私たちの思いをしっかりと文章に取り込んだものだと考えます。

 新生党44人衆のうち、4人がしっかりとにらみを利かせている限り、必ず民主党は再生します。

≪健全野党・民主党、海江田代表、まずは「アルジェリア人質対策本部」から報告≫

 さて、ピンさんに促されてあいさつに立った海江田代表は「ただいまお話がありましたとおり、きょうの常任幹事会は本年最初の開催であります。ただ、私はあえておめでとうございます、という言葉は申しません」としたうえで、「いくつか私からご報告をさせていただきます。一つ目はみなさん、ご承知置きのことと思いますが、アルジェリアの人質事件のことであります」と述べ、対策本部を設けて、これまで3回会合を開いたことから報告しました。

 野党第1党が、このような政府の専権事項である外交案件の対策本部の話から入ったのも異例でしょう。これだけでも、前に進んだんだと考えます。

≪人質事件、ダッカ事件がつなぐ、ピンさんと岡田さんの運命の糸≫

 実は4人のシンドバッドと言っていますが、ピンさん、岡田さんと私はまったく党籍が一緒ですが、前田さん、北澤さんとは一時党籍がずれています。新進党が第41回衆院選に負けた後、意地汚く小沢一郎党首が居座ったことに抗議して、太陽党が結党されました。そのボートに乗りかけて、最後まで新進党に残る決意をしたのが、ピンさんと岡田さんの2人だけであり、初当選が21年も違うのに、2人は親友です。

 そして、その2人をつなぐ奇妙な歴史の糸があります。それはダッカ事件です。

 第11回参院選で「自民党は過半数割れ、新自由クラブを入れると過半数維持」という微妙な勝ち(引き分け)となった福田赳夫首相(自民党総裁、清和会会長)は、その直後ダッカ事件に見舞われます。ここで、福田首相はアメリカ人人質の解放をあせり、「人命は地球よりも重い」という訳の分からない言葉で、日本に収監されているテロリストを世に放ちました。これが現在にいたるまでテロルの連鎖を巻き起こしています。清和会が四半世紀ぶりに政権を担ったときに「9・11」が起きたのも偶然とは言い切れないでしょう。

 このダッカ事件の首謀者の一人「西川純」。

 私は冒頭で、代表に握手できる民主党に驚いたと当たり前すぎることを書きました。自民党では、この清和会・福田首相(党総裁)の判断にしたがって、日本を代表して、人質をつれていったのが、運輸政務次官だった石井一さんです。

 そのときのことを福田康夫さんは2007年10月16日の第168回臨時国会の参院・予算委で「今から30年前にダッカ事件ございましたけれども、あのときに石井先生は運輸政務次官でございましたね。そして、人質と一緒に中東まで行かれたという、本当に命懸け、本当に命懸けだったと思います。そういうことをしてくださったということでございます。そのおかげで皆さん無事で帰国できたということで、あのときはみんな日本じゅうほっとした気持ちでおったわけですね」としています。

 石井さんの派閥を超えた自民党愛が、いやむしろ国を愛する気持ちが日本を救ったわけです。ただし、福田さんは「今になっていろいろとそのときの決断がどうのこうのという批判めいたこともございました」「石井先生のそういう当時の政務次官の活躍も含めて評価は私は当時は高かったんです」「ですから、表立って批判する人は極めて少なかったというふうに記憶」しているとしました。事実上、「人命は地球よりも重い」との父の判断が間違っていると、エネルギー開発関連会社でニューヨークに勤めたこともある福田康夫さんが悩んでいることが明らかになった答弁でした。

 当時は、これに抗議した福田一法相が辞任し、石井一・福田一の「ピン・ピンコンビ」によって自民党は救われた格好となりました。ですから、後ろ盾である清和会を救った経世会のピンさんに無礼を働いた大阪地検特捜部は恩知らず。知らなかったとはいえ、つぶれて当然です。

 そして、「西川純」と岡田さん。

 おどろくべきことに、岡田克也さんの高校の2年先輩です。岡田さんは自伝で「それからの学内の日々は、(西川ら)3年生の多くが封鎖続行を唱え、私たち1年生が授業再開を主張するという構図で過ぎていった」と振り返っています。岡田さんは「毎日、生徒集会が開かれ、議論がつづいた。私も授業再開の観点から何度か発言した」としています。

 ここまでなら「岡田さんらしい」と思う読者も多いでしょうが、なんと岡田少年は「一方で社会の不正や矛盾を訴える封鎖続行派の意見に、説得力も感じていた」と西川らに同調した面もあるとの驚くべき証言をしています。「機動隊の導入によってあっけなく解かれた。(授業は再開し、)日々の生活は不条理なほど急激に元に戻っていった」ために「私は虚脱感のようなものにさいなまれた」(岡田克也著『政権交代ーこの国を変える』52ページ、講談社刊から)。

≪20年前の通常国会、経済演説をした大臣はだれ?≫

 このようにして21年も初当選が違う、ピンさんと岡田さんが熱病のように、宮澤うそつき解散に飛び込んでいった。あれから20年目の通常国会。

 そしてあの第126回通常国会の召集日に経済演説をしたのは、船田元・国務大臣なんですね。彼も新生党44人衆の一人です。昨年末めでたく国政復帰した自民党の船田先生。あれから20年入閣することなく、1期生だった岡田さんは外相、副総理を歴任、北澤さんが2つの内閣で防衛相、さらには当時2期生ながら自ら作った小選挙区制にてこづった前田さんも国交相になりました。やはり改革の党として、この20年がんばってきた4人のシンドバッドがにらみを利かせれば民主党は大丈夫です。

≪伝わらなかった世襲問題、羽田雄一郎さん、参院長野選挙区で公認、4選へ≫

 しかし、私も含めてシンドバッドの目が曇り、あの日の勇気と志が知らず知らずのうちに小さくなっていることがあります。昨年末、私は大いに反省しました。民主党は世襲新人は公認しないとの方針で総選挙に望みましたが、世論はまったく反応しませんでした。これには私は驚きました。私は世襲は大問題だと考えます。憲法違反だとすら思います。しかし、私は自分自身の認識と世間のとらえ方のギャップの中に知らず知らずのうちに、私自身も「永田町ムラ」の一員となり、説得力を欠いてしまった面があったのだと反省しています。

 同志を助けるために、千曲会の決定がありながら、衆院長野3区に出馬しなかった羽田雄一郎国交相の勇気とおもいやり。それこそが私たち新生党羽田ファミリーの原点です。きょう、第23回参議院議員通常選挙長野県選挙区で、民主党常任幹事会は、羽田雄一郎さんを公認候補(予定者)に決定しました


[写真]羽田雄一郎、第23回参院選長野選挙区公認候補(予定者)、政府インターネットテレビから。

 第180通常国会の真ん中で前田国交相が参院で問責決議をくらい、1ヶ月前後、法案審査がとまりました。もともと国土交通省は4省庁が合併したため、初めから国会提出法案が多かったのですが、羽田大臣は卒のない答弁で、改正海上保安庁法などどんどん成立させました。その能力は、世襲議員ならではのものであり、世襲議員を全否定すべきではないと私は考えます。ただ、衆院側で世襲すると出世が早すぎるという問題点を指摘したいところです。

 第181回臨時国会の冒頭では、衆・国土交通委員会に与党・民主党の副大臣が現れないという事態が発生しました。このときも羽田大臣は「冒頭、初日より、副大臣が出席できないということになりました。今、詳細、しっかりと調べさせていただいておりますが、次回の委員会の中で、本人からのおわびと、そして御説明をさせていただきたいと思いますので、本日のところは御容赦いただきたいと思います。よろしくお願いいたします」とわびました。結果として副大臣は激しい腹痛で病院に直行しており、連絡が遅くなったようです。この2週間後に解散。この副大臣は郵政選挙で小選挙区で当選した猛者ですが、第46回衆院選では落選してしまいました。ところで、この委員会は定刻から17分遅れただけで開議しました。これは以前の国会なら野党が怒って開会できずに流れてもいいような話です。しかし、野党・自民党はそうせずに、どんどん会議を開いて、解散を勝ち取りました。これも、もともとは羽田先生らの改革の力なんです。

 ところで、千曲会の一部に誤解があるようですが、雄一郎さんの衆院長野3区出馬を岡田さんがあれだけ強行に反対したのは、羽田ファミリーが大好きだからです。というのは、言うまでもなく、「政治の父」と仰いでいた小沢一郎さんがあんなふうになっちゃって、7期生58歳で副総理になれたとはいえ、新生党仲間も減ってきた岡田さんとしては、「政治の母」である羽田先生が最後の最後に20年間言ってきたことと違う行動を取るのは、羽田先生の政治人生の否定だと感じたわけです。平成5年政治改革では、小選挙区になると世襲が減るだろうという議論はありましたが、世襲制限という話はなかったかのように思いますが、岡田さんはドン・キホーテなので一度思い込めば誰も止められません。その母への愛情が岡田さんの「羽田世襲絶対ダメ」。その思いが本物かどうかは、夏の応援演説で分かるのではないかと楽しみにしています。

≪忘れちゃダメよ、野田総理がクビと引き換えにした「定数削減3党合意」は岡田さんが引き取る、早くも党内一任をとりつける≫

 さて、野田総理が党首討論で「近いうち解散の条件としての定数削減の3党合意」をしたことを忘れてはいけません。総理がクビと引き換えに残したものです。えてして、解散当日は情報量が過大すぎて、こういう情報が落ちます。これを岡田さんが引き継ぐことになりました。まさに最適任といえるでしょう。あたかも、野田「義経」に尊厳ある花道を用意した武蔵坊弁慶が延年の舞を踊りながら、飛び六方を踏む歌舞伎の「勧進帳」さながらの「岡田勧進帳」が第183通常国会の150日間の十八番となりそうです。

 

[写真]政治改革推進本部役員会であいさつする岡田克也最高顧問ら、2013年1月22日、民主党本部内、筆者撮影。

 民主党政治改革推進本部は2013年1月22日、岡田克也本部長、馬淵澄夫事務総長、原口一博副本部長(ネクスト総務相)、松本剛明事務局次長、足立信也・参・政治倫理および選挙制度改革に関する特別委筆頭理事、後藤斎・国会対策委員長代理らが集まり、今国会中の定数削減の3党合意について話し合いました。そして、第181国会に安住淳さんらが提出した「公職選挙法及び衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律案」(181衆法1号=修正成立、その他の部分は衆院解散により廃案)をベースにして、自民党の細田博之さん、公明党の北側一雄さんとの協議に臨むことを決め、対応を岡田本部長に一任しました。

 くしくも政権交代解散をたたかった、3党幹事長がいわばその後始末のように、定数削減に取り組むことになりました。そして、この3人は1990年初当選のベルリンの壁崩壊後の1期生になります。細田さんと岡田さんは通産省の先輩後輩です。そして、派閥の関係であまり動けなかったようですが、細田さんも政治改革を実現する若手議員の会に心を寄せていたようです。これは、最近細田さんがジャーナリストの田原総一郎さんの番組で、宮澤うそつき解散に言及したときに突然興奮しだしたことで分かりました。あの熱病のような政治改革は、田原さん抜きにはけっして語れず、田原さんとの番組に出た1990年ないし86年初当選組の興奮は隠し切れません。1期生ながら社公民路線で消費税廃止法案の提出者・答弁者となった北側さんも岡田さんと新進党の3年間をともに過ごした仲です。

 海江田さん、細野さんともバランス感覚のあるすぐれた政治家のようです。しっかりと、KEEP RIGHT 民主党を実現できそうです。私は、とにかく、思っていることをまっすぐに右向きに、このブログで書いていこうと考えています。もう与党ではないのですから。野党の今こそ、思いっきり羽ばたいていきたい。あのシンドバッド、1993年6月18日から20年間。その勇気があれば、どんな難事でも必ず乗り越えていくことができる。私はこの20年間で、そのたった一事を学びました。そして、そうすれば、必ずうまくいくし、そうできない人のご事情も分かる大人になってきました。そして、だからこそ、これからも、シンドバッドであり続ける。それは弱い人を切り捨てることではなく、それこそが弱い人を救うことにつながると考えています。勇気を持って、KEEP RIGHTです!

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1月28日(月)召集 第183通常国会 詔書の副署に自民党参院選惨敗のジンクス

2013年01月22日 12時48分57秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

[写真]麻生太郎副総理、首相官邸ホームページから。

 天皇陛下は平成25年最初の詔書を発せられ、第183回国会(常会)を2013年(平成25年)1月28日(月)に東京に召集なさいました。

 この詔書は2013年1月18日付官報特別号外第1号に掲載されました。


[画像]2013年1月18日付官報特別号外1号からキャプチャ。

 ごらんのように、第183回通常国会の召集詔書の「副署」は「内閣総理大臣臨時代理 国務大臣 麻生太郎」となっています。

 このとき18日の臨時閣議のころ、安倍晋三首相(自民党総裁)は、東南アジア歴訪中で、日本を不在にしていました。もちろん、首相の外遊は国会の閉会中のみならず、開会中もどんどん行くべきです。特に、今回、就任後初の外遊先としてベトナムを訪れたことは高く評価したいところです。

 しかし、内閣総務官室によると、通常国会の召集詔書を臨時代理が副署したのは、民主党政権では例がなく、前回は平成19年(2007年)の第166回通常国会の召集詔書を、安倍晋三首相の代わりに塩崎恭久・臨時代理(内閣官房長官)が副署して以来ということになります。そして、この通常国会直後の第21回参院選で安倍自民党は惨敗しました。世に言う、逆転の夏です。その影響もあって、内閣総辞職に追い込まれ、総理大臣が毎年交代する決められない政治がきょうまで続いています。

 そのときのトラウマを自民党にほうふつとさせる「臨時代理」による召集詔書の副署ということになります。

 そして、「ニッパチ(28日)召集」となると、2001年の第151回通常国会の「サンイチ(31日)召集」以来の遅さになります。実は、安倍さんが属する清和会出身の自民党総裁が、参院選に明確に勝ったのはこの1回きりです。これは、森内閣が召集し、ゴールデンウィーク前の最後の衆院本会議で、同じ清和会の小泉純一郎さんを首班指名。ゴールデンウィーク明けの最初の本会議で、所信表明演説をして、そのまま参院選になだれ込み勝利しました。

 この後、2004年の第159通常国会「年金国会」後の第20回参院選では、岡田克也代表率いる民主党が改選議席第1党になりました。しかし、小泉総裁(首相)は安倍幹事長を幹事長代理に降格することで続投しました。

 そして、上述のとおり、2007年の第166通常国会後の第21回参院選は「逆転の夏」として、民主党が非改選を入れても第1党になり、参議院議長(江田五月さん)のポストを取り、立党以来初めて三権の長を占めるにいたりました。

 清和会首相による参院選は21世紀では1勝2敗ですが、その前にさかのぼると、ナント1977年、福田赳夫首相による第84回通常国会後の第11回参院選まで清和会の総理・総裁はいませんでした。

 第11回参院選は、「自民党が過半数割れ、新自由クラブを入れると過半数」というなんとも「微妙な勝利」ないしは「ひきわけ」となりました。政権基盤が弱まった福田首相は、参院選直後の9月、ダッカハイジャック事件で、「人命は地球より重い」という一見すると美名の下に、テロリストを世に放ち、現在にいたるテロルの連鎖を招きました。このころから一貫して清和会外交はアメリカに弱すぎる傾向があります。

 安倍首相が、2001年の第151回通常国会を参考にして、28日召集の第183回通常国会を組み立てているのは確実です。しかし、第151回通常国会と違い、第183回通常国会は、予算が年度内に成立しないことが確実な国会です。

 論語では「君子を本を務む 本立ちて道生ず」といいます。困難なときこそ、「本(もと)」に専念すべし。補正予算から審議入りし、暫定予算を組んで、当初予算を成立させるという日程はやむをえない面があります。しかし、だからこそ、総理の副署による詔書で召集してほしかった。

 内閣総務官室によると、第164回通常国会の詔書も内閣総理大臣臨時代理が副署しています。このときの臨時代理は内閣官房長官の「安倍晋三」。安倍さんは(第3次)小泉内閣最後の通常国会の召集詔書に名前を残しながらも、第1次安倍内閣でも第2次安倍内閣でも自分の名前で通常国会召集の天皇の国事行為に名前を残していないことになります。おそらく、小泉首相は自分の後継者として、安倍さんに副署させたという意味合いもあるでしょう。安倍さんがいつまでも小泉さんの影を追い求めずに、自分らしい答弁で、通常国会に臨んでほしいと考えます。

 政権交代ある政治において、安倍さんに内閣総辞職の選択肢はありません。あるのは、衆議院解散のみです。

 自民党と民主党。

 ともに命がけで第183回通常国会にのぞみましょう。

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