【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

民主党代表が白川日銀批判「自分の庭先だけきれいにして他はどうでもいい、というわけにはいかない」

2013年01月10日 22時55分10秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

[写真]民主党の海江田万里代表(ネクスト首相)と白川方明・日本銀行総裁。

 民主党(dpj)の海江田万里代表(ネクスト首相)2013年1月10日(木)の定例記者会見で、「自分の庭先だけをきれいにしていて、他の所はどうでもいい、ということではないんじゃないかと私も思っている」と述べ、名指しは避けながらも、白川方明・日本銀行総裁の金融政策を批判しました。日銀(BOJ)が発行する「日本銀行券(Yen)」の量を制限することで、Yenの価値を高め、日銀の求心力を高めすぎているとの認識があると考えられます。きょうは私は現地ではなく、動画で見ました。

 

 リアル経財相(内閣府の経済財政政策担当大臣、以前の経済企画庁長官に相当)を務めた海江田経済代表は、「私も経財相をやって、(その間に日銀金融政策決定会合が)国債の買い入れの機構(基金)を設けたし、その後の前原さん(前原誠司ネクスト財務相・金融相)が(経財相)として日銀と確認書のようなものをつくった」と第1次与党期の実績をアピール。

 そのうえで、「(新しい日銀総裁は)もちろん、日銀の独立性は守っていただかないと困りますが、自分のところの庭先だけきれいにしていて他の所はどうでもいいということではないんじゃないか、と私も思っている。日本経済全体の成長に資するような、回復に資するような方に金融政策の舵取りをやっていただきたい」と語りました。

 具体的な人名には触れませんでしたし、案件の提出者は政府・自民党で、海江田さんの念頭にも具体的な人名はないように感じました。しかし、少なくとも、日銀出身者からの次期総裁起用は念頭にないのは確実でしょう。

【軽減税率よりも給付つき税額控除を】
 これとは別に、2014年4月1日からの消費税率8%を前に公明党が主張しており、3党合意にも入っている「軽減税率(複数税率)」について、海江田さんは「(2015年10月1日に)10%になるときには給付つき税額控除を導入したい。合理的なことは合理的なんですね。全部が軽減税率にすると財源が抜け落ちて、税率をさらに上げなければいけなくなる。私はこの方式がベストだと思うし、こういうことを(国会で)主張していきたい」と述べ、第1次野党期からの「給付つき税額控除の導入」を引き続き主張していく考えを示しました。

 民主党は第1次野党期の2007年12月の「民主党税制改革大綱」で、「控除から手当へ」などを打ち出しました。藤井裕久さん、古川元久さんらが中心になって書いたと理解しています。そのほとんどは第1次与党期に法制化しました。

 例えば、政権交代直後に自民党も賛成して成立した「租税特別措置透明化法(粗特透明化法)」や、「新・児童手当(子どもに対する手当)」らを裏打ちした「控除から手当へ」の理念、昨年6月15日の3党合意に入った「マイナンバー制の導入と給付つき税額控除による低所得者対策」といった、民主党税制の基本は、すべてこの「2007野党税制大綱」がベースになっています。私は「2007税制大綱」は、「2009マニフェスト」よりも、民主党政治の思想を表し、かつ与党3年3ヶ月での「達成率」が高かったととらえています。2007税制改正大綱で、「心残り」となったのが、マイナンバー法案(審議未了で衆議院解散により廃案)とその先にある給付つき税額控除(法案未提出のまま衆議院解散)です。

 「給付つき税額控除」の旗を民主党が第2次野党期も掲げ続けることを現執行部が公の場で明言したのは、これが初めてだと思われます。

 なお、2014年4月1日から2015年9月30日の1年半の低所得者対策については言及しませんでした。また、与党が今やっている来年度予算の歳入に反映する税制改正協議について聞かれた海江田さんは、「あした(民主党)税調の役員会があるようなので、(それを踏まえて、自公民3党税調会長で)まとめてもらいたい」として、松本剛明・民主党税調会長(税制調査会長)ら税調役員に任せたり、与党との話し合いにゆだねる意向を示しました。


[写真]松本剛明・民主党税調会長。 

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[ 随時更新 ] 補正予算に関する情報 (2012年度第1次補正予算・第2次安倍内閣)

2013年01月10日 22時00分00秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

(ここから下の部分の初投稿は2013年1月8日午前7時)

 日本国憲法第83条「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」にもとづき、「平成24年度第1次補正予算(案)」に関する、第2次安倍内閣政府・自民党、公明党、各府省の報道を随時更新していきます。以前もやりましたが、今回は民主党が下野して自民党が与党になりました。予算の編成権と国会への提出権は政府与党が独占しています(憲法86条など)。このエントリーは、備忘録として2月の国会論戦にそなえる目的。それと、各府省の新聞を使った世論誘導、自民党政権による補助金・交付金や基金などの新設に警戒する目的もあります。

 補正予算案は15日(火)に閣議決定。第183通常国会の召集日である今月28日(月)ないし29日(火)に国会に提出され、2月5日前後から衆院予算委員会。衆院可決後、参院予算委を経て、2月中旬にごろには参院でも可決され、成立する見通しです。

 補正予算のフレーム(一般会計、特別会計ごとの歳入歳出の補正後の今年度予算の大枠)には、年金の安定性と最低保障機能を確保するため、昨年6月15日の3党合意も盛り込まれた「当初予算から年金特例国債を削除する」ことを反映するために技術的に必要でありながら特例公債法(180国会閣法1号など)の成立が遅れたことで補正できなかった基礎年金国庫負担分2・6兆円に充てる年金特例公債の発行が含まれています。

【平成24年度第1次補正予算(案)の編成に関する報道】 報道のまとめ、要約については、当ブログの文責。( )内は当ブログで加筆。[ ]内は付日、新聞、面、見出しの段数。

[2013年1月5日付朝日新聞2面 3段見出し]
 (補正予算のフレームは)事業費ベースで(歳入歳出の増額補正は)10兆円ほど。 (そのうち)、景気対策の柱になる公共事業は国費2兆円超で、自治体を含む事業費ベースで3兆~4兆円。(メニューは)全国防災対策事業費など。

[5日付日経4面3段見出し]
 (補正予算の歳入の増額補正分の)財源は(前年度であり、きょねん11月16日に決算書が国会に提出された)2011年度の(歳出の)決算剰余金全額1・9兆円を(財政法6条に反して)充てる。(このほか)5兆円の建設国債を発行して(歳入の増額補正分にあてる)。

[6日付聖教新聞第2社会面トップ、おそらく時事通信の配信記事]
 (公明党の太田昭宏さんが大臣を務める)国交省は自治体が管理する道路を対象に、点検や修繕を行うための補助金を計上する方針を決めた。

[6日付日経1面4段見出し]
 経産省は電気自動車(EV)用の充電設備を総額500億円以上補助し、急速充電器を現在の4倍弱の5000基に増やす。

[6日付日経3面2段見出し]
 政府は東日本大震災の津波被災地のうち、(沿岸部でなく)内陸部の住宅4万世帯に250万円ずつ配る。総務省の震災復興特別交付税(交付金)を1000億円強(補正予算の歳出に増額補正して)計上する。(交付金を受けた)自治体は(その歳入を)基金化して複数年度にわたって歳出できる。

[6日付朝日4面2段見出し]
 (国交省は)古いビルの建て替えに官民ファンドを設立。補正で数百億円計上へ。

[7日付読売新聞1面トップ(YOMIURI ONLINE)]
 政府は、今月中旬にまとめる緊急経済対策で、公共事業を実質的に5兆~6兆円規模とする方向で最終調整に入った。2012年度当初予算の公共事業費(約4・6兆円)に匹敵する規模を集中的に投入する。日本銀行による大胆な金融緩和策とともに、13年度予算案と合わせた「15か月予算」として切れ目のない経済対策を実行し、デフレ脱却を図る。政府・与党は、7日から詰めの協議に入り、15日の閣議決定を目指す。緊急経済対策は国の支払いベースで9兆~10兆円とする方向だ。12年度補正予算案は、基礎年金の財源不足を補う国の負担分(2・6兆円)なども盛り込み、12兆~13兆円規模になる見通しだ。公共事業では、防災対策として道路や橋、トンネルなどの改修・整備に充てる国費を2兆~3兆円規模とする。4月以降に予定する契約を前倒しで実施できる特別枠を数千億円分設ける方向だ。東日本大震災の被災地を中心に復興事業を拡充する。公共事業を行う地方自治体が負担する額の多くを国が肩代わりする形にして、総額2兆円程度の臨時交付金を地方向けに拠出する。この肩代わり分を合わせると、公共事業は計5兆~6兆円規模となる。

[7日付朝日1面2段見出し]
 新藤義孝総務大臣は津波被災地の内陸部住宅支援のために、震災復興特別交付税(交付金)を1000億円規模で増額。都内で記者団に語った。対象は3万棟強。

[7日付朝日3面3段]
 政府、地方インフラ総点検へ。補正に数百億円を盛り込み、補助金の増額をはかる。今ある社会資本整備総合交付金の一部(の歳出の使途)を防災・減災に限る(ことで増額補正に対する世論の理解を得る)。事実上の「老朽化対策交付金」(といった新しい名称の費目を設けたい)。

[7日付夕刊日経1面トップ5段]
 補正予算(の歳入歳出は)12兆円超。(歳出では)公共事業費大幅上積み。国債増発5兆~6兆円。

[8日付日経5面4段(まとめ物)]
 国費の歳出は13・1兆円。建設国債は5・2兆円。(メニューでは)農水省が土地改良事業を2400億円(増額補正を要求)。

[8日付日経第2社会面(38面)3段]
 文科省は理科教材費を大幅に増やす。小中学校の理科の実験器具購入用補助金として約100億円を盛り込み、子どもの理科離れに歯止めをかける。

(ここから上の部分の初投稿は2013年1月8日午前7時)