【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

平成25年度税制改正法案が審議入り 民主党野党初法案で玉木雄一郎さんが初答弁

2013年03月14日 20時25分06秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

[画像]初めて答弁者として登壇した玉木雄一郎さん、2013年3月14日(木)、衆議院インターネット審議中継。

【2013年3月14日(木) 衆議院本会議 平成25年度税制改正法案の趣旨説明と代表質問】

 まず、
民自公3党合意済みの内閣提出法案、平成25年度国税改正法案(183閣法8号、所得税法などの一部を改正する法律案)
民主党対案の松本剛明君外(ほか)4名(合計5名)提出の「消費税影響緩和法案(183衆法2号)を同時に議題にし趣旨説明と代表質問をしました。その後、
平成25年度地方財政計画
平成25年度地方税改正法案(183閣法12号)
地方交付税および特別会計を改正する法案(183閣法13号)も審議入りしました。

 昨年6月15日の社会保障と税の一体改革3党合意にもとづき、3党税調会長が合意済みの税制改正法案なので、年度内成立の見通し。民主党対案が閣法の付則の検討条項に盛り込まれるかもしれません。

 「消費税影響緩和法案」は民主党が下野後に提出した初の議員立法で初めて審議入りしました。いくら参院第1党とはいえ、衆議院で通常国会前半で、野党提出法案が本会議で趣旨説明と代表質問されるのは極めて異例で新しい衆議院の地平が広がりました。衆参ねじれと震災という未曾有の国難のなかで走りながら考えた「民自公3党合意」がブレークスルー。民主党法案の一文には「平成27年3月31日までに検討を加え」という一文があります。これは「この任期中最後の税制改正まで3党協議を続けましょう」というメッセージが込められています。

 消費税影響緩和法案は、消費税の逆進性対策(低所得者対策)、医療機関の高額な投資、住宅の取得、車体課税(自動車取得税の来年度末の廃止、自動車重量税のグリーン化)の4分野が入っています。

 古本伸一郎さんが趣旨説明しました。

 法案のなかには「複数税率などの施策の導入について平成27年3月31日までに検討を加え、」とありますが、代表質問に立った武正公一さんは、「複数税率は高所得者がかえって有利になり、問題がある。そもそも与党(自民党、公明党)内ですらまとまっていない」と演説しました。その上で、「民主党税制は公平・透明・納得が基本だ」とし、年次税制改正を、インターネット公開の政府税制調査会から、自民党税調の扉の中に収まった安倍政権を批判しました。

 武正質問への答弁で、安倍首相は「一体改革の成果を公共事業に充てることはない」とし、麻生財務相は「(麻生内閣が成立させた平成21年度)税制改正法付則104条にもとづき一体改革法が成立した」と語り、消費税引き上げが第44期~第46期衆議院の切れ目ない、日本国の政策であることを示唆しました。

 さらに、提出者から2期44歳の玉木雄一郎さん、3期36歳の鷲尾英一郎さんが答弁。衆院本会議で答弁のために民主党政権交代チルドレンの登壇したのは、これが初めて。参院本会議では震災国会で後藤祐一さんがやっています。

 自民党では第44期の新人が「83会」、第46期の新人が「1192会」を組織しています。民主党では第45期の新人が組織しようとした同期会が小沢一郎・民主党幹事長によって握りつぶされ、情報交換・情報共有体制ができず、党分裂劇の一因となりました。玉木さんの世代は、民主党では5名(サバイバル・ファイブ)しかいませんが、玉木さんが登壇中に、前衆院議員(40)がSNSに「挨拶回り(日常活動としてまったく合法の戸別訪問)をしていたら勢い余って隣の選挙区に来てしまった」と投稿しました。45期は名前がありませんがやはり「玉木世代」を名乗り、「私は玉木内閣の官房長官候補です」とアピールすべきでしょう。

 鷲尾さんは社会保障と税の一体改革法案の採決当日、緊急上程の動議を議事進行係として読み上げました。おそらく憲政史上最長の動議だったでしょう。同期当選でガソリン国会の国土交通委員やガソリン値下げ隊として、委員室の中だけでなくより長い時間を廊下で過ごした石川知裕衆院議員(新党大地)のバトンをリレーしていただきたいものです。

 租税特別措置透明化法(古川法)にもとづく適用状況の報告書が3月1日に国会に提出され、92万法人が粗特を適用したことが麻生答弁で分かりました。これに先立ち、武正質問で「粗特透明化法の適用実態調査が初めて報告されたが、適用件数がゼロの粗特もあった」と語りました。

 減税措置、免税措置の継続を求める各種団体からの働きかけを受けても、きっぱりと、粗特をシンプル化できる足腰を持った議員が半数を占める民主党になったとき、改革の党として政権復帰できるでしょう。


[画像]内閣提出の平成25年度税制改正法案の趣旨説明をする麻生財務相、衆議院インターネット審議中継からキャプチャ、以下同。



[画像]民主党提出の消費税影響緩和法案の趣旨説明をする古本伸一郎さん。


[画像]閣法と民主党法案の双方に対して代表質問する武正公一さん。


[画像]向かって右側のひな壇から演壇に向かう、玉木雄一郎さん。

[画像]答弁する玉木雄一郎さん。

[画像]答弁を聞く民主党議員ら。

[画像]答弁する鷲尾英一郎さん。

[国会会議録から引用はじめ]

鷲尾英一郎さんのたぶん憲政史上最長の動議は次の通り。

鷲尾英一郎君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。 内閣提出、公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案、被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、長妻昭君外五名提出、社会保障制度改革推進法案、内閣提出、子ども・子育て支援法案、和田隆志君外五名提出、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律案、内閣提出、子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案、右八案を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます

[引用おわり]

[民主党本部ホームページから全文引用はじめ]

消費税率の引上げが国民生活及び我が国の経済に及ぼす影響を踏まえ早急に講ずべき措置に関する法律案
(趣旨)
第一条この法律は、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部
を改正する等の法律(平成二十四年法律第六十八号。以下「税制抜本改革法」という。)及び社会保障の
安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法
律(平成二十四年法律第六十九号)の規定による消費税率(地方消費税率を含む。第四条及び第五条にお
いて同じ。)の引上げが国民生活及び我が国の経済に及ぼす影響を踏まえ、税制抜本改革法第七条に定め
る税制に関する抜本的な改革及び関連する諸施策に関する措置(附則第二条において「抜本改革等」とい
う。)のうち、政府が早急に講ずべき措置について定めるものとする。
(逆進性対策に係る措置)
第二条政府は、消費税の逆進性(所得の少ない世帯ほど、家計において消費税として支出する額の所得の
額に対する割合が高くなる傾向にあることをいう。)に鑑み、次に掲げる措置を講ずるものとする。
一 税制抜本改革法第七条第一号イの総合合算制度及び給付付き税額控除、同号ロの複数税率等の施策の
導入について、平成二十七年三月三十一日までに検討を加え、その結果に基づき、速やかに必要な法制
上の措置その他の措置を講ずること。
二 税制抜本改革法第七条第一号ハの簡素な給付措置を実施するため、平成二十五年十二月三十一日まで
に、必要な法制上の措置その他の措置を講ずること。
(医療機関等における高額の投資に係る措置等)
第三条政府は、税制抜本改革法第七条第一号トの医療機関等における高額の投資に係る消費税の負担に係
る措置等について、平成二十五年十二月三十一日までに検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ず
るものとする。
(住宅の取得に係る給付措置等)
第四条政府は、住宅の取得については、その取引価額が高額であり、消費税率の引上げに伴う税負担が重
いこと等により国民生活及び我が国の経済に及ぼす影響が大きいことに鑑み、住環境の変化及び住宅に対
する需要の変化等も踏まえつつ、低所得者及び中堅所得者の住宅の取得に係る消費税の負担を緩和するた
めの給付措置等について、この法律の施行後速やかに給付の対象者、額等の具体化等のための検討を加え、
その結果に基づき必要な措置を講ずるものとする。
(自動車取得税及び自動車重量税に係る措置)
第五条政府は、自動車の取得等については、その取引価額が高額であり、消費税率の引上げに伴う税負担
が重いこと等により国民生活及び我が国の経済に及ぼす影響が大きいことに鑑み、次に掲げる措置を実施
するため必要な法制上の措置を講ずるものとする。
一 自動車取得税について、平成二十六年三月三十一日において、廃止すること。
二 租税特別措置法第九十条の十一から第九十条の十一の三までに規定する自動車重量税率の特例につい
て、平成二十六年三月三十一日において、廃止すること。
三 自動車重量税について、更なるグリーン化(環境への負荷の低減に資するための施策をいう。)を図
ること。
2 政府は、前項の法制上の措置を講ずるに当たっては、これにより生ずる都道府県及び市町村の減収を埋
めるための財源を確保し、都道府県及び市町村の財政状況に影響を及ぼすことのないよう適切な措置を講ずるものとする。
附 則
(施行期日)
第一条この法律は、公布の日から施行する。
(その他の抜本改革等に係る措置)
第二条政府は、この法律に定めるもののほか、抜本改革等について、できる限り早急に検討を加え、その
結果に基づき必要な措置を講ずるものとする。理 由
消費税率の引上げが国民生活及び我が国の経済に及ぼす影響を踏まえ、税制に関する抜本的な改革及び関
連する諸施策に関する措置のうち、政府が早急に講ずべき措置について定める必要がある。これが、この法
律案を提出する理由である。

[全文引用おわり] 

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