【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【定数&選挙制度】「憲法違反だ!」で激論、岡田克也、細田、北側「幹事長」は政権交代の完成をめざせ!

2013年03月05日 19時13分51秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

[写真]左から芝博一・参院議員、原口一博ネクスト総務大臣、中川正春幹事長代理、岡田克也・民主党政治改革推進本部長。背中は蓮舫・参院議員。2013年3月5日(火)午後、国会内、筆者撮影。

【自公民3党の定数削減・選挙制度改革の実務者協議スタート】

 衆議院の定数削減と選挙制度改革についての公職選挙法改正について、民主党の岡田克也政治改革推進本部長は、午前8時から都内のホテルで、自民党の細田博之幹事長代行から私案を提示され、公明党の北側一雄副代表と3人で情報交換しました。昨年11月14日の野田佳彦首相と安倍総裁が約束した「定数削減」の実務者協議がスタートです。この後、岡田さんは国会内にかけつけ、民主党全議員対象の「政治改革推進本部」で提案内容を説明し、情報共有しました。

 細田私案の「比例の一部を別名簿(比例A、比例B)にして、少数政党に優先的に配分する」との案に対して、「それは憲法上の制約がある!」と岡田さんがのっけからぶちかますと、細田さんから「一部連用制よりはマシだ!」とし、民主党の「樽床私案」が反撃されたことを明かしました。自民党案の「定数30削減」について、民主党議員からは「あくまでも定数80削減をめざすべきだ」との意見が相次ぎました。

【岡田さんの小選挙区削減論の意外な?理由に公明党好感か】 

 これは誤解があるでしょうが、現在の衆議院の定数は475(小選挙区295、比例代表180)です。

 昨年12月16日の第46回総選挙は480名で行われました。が、その前の11月15日に成立し、26日に陛下が交付された平成24年法律96号で、すでに「合計475名」になっていました。ですから、現行の公職選挙法では475です。

 細川内閣で平成5年政治改革4法では選挙区300、比例200でした。その後、比例が20削減。そして、定数是正のため選挙区が5削減されました。

 今後の削減幅ですが、比例代表の大幅削減を公明党が避けたいのは言うまでもありません。

 そのため、細田さんは「比例を別名簿」ということですが、岡田さんは選挙区も比例も削って、大政党にも中小政党にも配慮するという「シンプルな定数削減」を念頭に置いているようです。

 とくにこの「小選挙区削減論」にはある理由がありますので、公明党支持者の人も信頼して良いでしょうが、先日も書きましたが、意外な理由です。

 1990年2月の第39回総選挙の三重1区(定数5)で、商都・四日市を地盤とする唯一の国会議員としてデビューしました。ところが、自分が推進した小選挙区制によって、区割り審は四日市を二分して、三重2区と三重3区を線引きしました。

 岡田さんは、昨年2月10日の副総理記者会見(首相官邸内ホームページ所収)で筆者の質問に答え、「不幸にして、三重県四日市市が南北に二分割されるということになりまして、私の住んでいたところは、私の選挙区ではなくなりました。しかし、子供の時代からの思い出深く、そこにずっと住み続けて、選挙では中川正春と書き続けてきたところです。(略)将来、三重県の選挙区が少なくなるようなことがあれば、また自分の名前書ける日もあるかなと思いながら、現時点ではそういうふうになっています」としています。

 これに先立つ、岡田幹事長時代も2010年国勢調査を反映して一票の格差を「2倍以内」にするために、「21増21減」を推進しました。これも三重県が「4」になる案でした。しかし、細田さんの「0増5減」という、わずか5県だけが対象で定数削減もでき「2倍以内」になる画期的な案がでて、それが今の法律になっています。

 このように個人的な思惑なのですが、岡田さんは原理主義者。決まったことには従います。小選挙区削減に意固地になることはないでしょうが、公明党関係者としては、小選挙区の削減があれば比例の削減はやや減るかもしれないので、参院第1党である民主党の岡田さんに期待したいということになるでしょう。

 三重県の定数が5から4になれば、四日市市が独立した区割りになるのは確実で、そちらは自分が総支部長になり、鈴鹿市がある選挙区を中川正春さんが担当。前回の総選挙限りで中井ヒロシさんが立候補せず引退したので、森本哲生さん、藤田大助さんをそれぞれ地の利のある選挙区総支部長になってもらうのでしょう。対する自民党は、田村憲久厚労相は半世紀にわたる地盤があり、三ッ矢憲生さんは極めて広い選挙区で勝ち続けています。区割りが変わることで、パワーバランスがくずれ、チャンスが生まれます。そして、伊勢神宮のある選挙区で民主党が勝ったときに、真の日本の政権政党になります。やはり2009年の政権交代は、三重5区は自民党に取られるという画竜点睛があったことがその後の迷走につながった可能性がなきにしもあらず。

【岡田、細田、北側「政権交代」幹事長は、選挙制度改革法を成立させるまでが政権交代だ】 

 

[画像]解散2日前に田原総一朗さんを中心に議論する公明党の北側一雄、自民党の細田博之、民主党の岡田克也の各幹事長、2009年7月19日(日)、テレビ朝日サンデープロジェクトからキャプチャ。

 上の画像で分かるとおり、岡田克也さん、細田博之さん、北側一雄さんの3人は、政権交代選挙のとき、民自公の幹事長でした。田原総一朗さんのつっこみで激論をかわす3党幹事長。このビデオを久しぶりに見ましたが、解散2日前の時点で、すでに完膚無きまでに民主党勝利は決定づけられていました。これはかなり悲惨な戦いでしたが、まだ「政権交代」は完成していません。シンプルで、1人1票に近い選挙制度をつくり上げるまでが、3党「政権交代」幹事長の2009年夏です。

 3人とも1990年初当選。田原総一朗さんの鋭いつっこみから始まった宮澤嘘つき解散から20年目の「第183回改革テコ入れ国会」。改革テコ入れの根本は選挙制度のルールつくり。

 党派が多くてまとまらない場合は、田原総一朗さんに乗り込んでもらって、一晩だけで、夜明けをめどにバッと決めちゃいましょう!

 

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