【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

岡田克也「我々は消費税増税をお願いしているんだから年金改革は責務」安倍首相、自分が担当大臣と知らず

2013年03月07日 16時54分47秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

【衆議院予算委員会 平成25年度本予算(案)に関する基本的質疑 2013年3月7日(木)】

 基本的質疑1日目は、民主党から海江田万里代表、細野郷志幹事長、岡田克也最高顧問、原口一博ネクスト総務大臣が質問しました。

 消費税引き上げの条件として、自民党が書いて提出し、民自公3党が共同提案し、可決・成立した「社会保障制度改革推進法」に基づく社会保障制度改革推進国民会議の担当大臣は誰か?という岡田克也さんの質問に対して、安倍首相は答弁に立たず、甘利明・一体改革担当大臣は「私です」と述べました。

[画像]社会保障制度改革推進法の第14条、首相官邸ホームページ内文書からキャプチャ、トリミング、赤いunderlineは筆者。 

 しかし、同法第14条で国民会議の主任大臣は内閣総理大臣とあり、これを安倍首相が知らなかったことが確実になりました。

 これに先立ち、岡田さんは「社会保障制度改革をやるという熱意が感じられない。我々は(来年4月1日から)消費税増税をお願いしているんだから、(法律化できていない最低保障機能の強化など)社会保障改革は当然政治家の責務ですよ」と安倍首相をまくし立てました。

 消費税増税分は社会保障にあてますが、自民党が主導した改正消費税法付則第14条第2項で、公共事業に回す余地があるような表現があります。

 岡田さんは「私たち3党は、消費税引き上げを社会保障のために使いますよと国民に説明して納得してもらった」にもかかわらず、多くの国民は「消費税引き上げで余力が出た分を公共事業に充てていると思っていますよ」と指摘しました。

 劣勢の安倍首相は「そもそもですよ、消費税はまだ引き上げていないですから。引き上げたと同時に公共事業にドンっと、あてていくとしたら別ですよ」と答弁しました。

 これについては、議題となっている平成25年度一般会計予算書の28ページなどに次のような費目があります。


[画像]平成25年度一般会計予算書からキャプチャ、赤丸は筆者。

 歳入として、年金特例公債2兆6110億4240万8000円が計上されています。この年金特例公債は消費税で償還することになっています。つまり消費税増税分を1年間前借りしていることになります。国民1人あたり2・5万円ほどのお金を前借りしていることになります。

 本予算審議は、この前借り分の使い道を議論する時間です。それにも限らず、総理が「まだ消費税は上げていない」と答弁したことは、年金特例公債による歳入に関する歳出に関する議論ができないことになります。

 6年前は消えた年金。ことしは、消費税前借り年金。また年金が鬼門になるのでしょうか。

 ところで、民主党、みんなの党、生活の党、社民党は平成24年度第1次補正予算に関して、「年金特例公債を削除する」などとした修正案を提出。2月26日の参議院本会議で「110対122」の僅差で否決されています。本予算ならば総歳出規模が大きくなり削りしろが増えますから、安倍総理が同様の答弁を繰り返すなら、年金特例公債の削除にまた挑戦してもいいかもしれません。

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「基本的質疑4日間」獲得!本予算きょうスタート、ガソリン国会と同じく初日に岡田克也さん登場

2013年03月07日 07時13分44秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

[写真]三重3区の有権者に語る岡田克也さん、岡田かつや後援会報から。

 さあいよいよ、平成25年度本予算審議のスタートです。

 民主党は2013年3月6日(水)、参院の代表質問2日目終了後すぐに衆院第1委員室で麻生財務相から提案理由説明を受けました。そして、きょうから4日間にわたる基本的質疑を確保しました。

 これまで本予算の基本的質疑は通例3日間(うちNHK中継は2日間)が通例。

 昨年の基本的質疑3日目、昼の休憩後、午後の委員会が再開できず1日半空転。結果的に、4日間開きました。けがの功名もあり、長妻昭筆頭理事が遠藤利明理事から「初めから4日間」と獲得できたのではないでしょうか。少しでも早く参議院に送るのが与党理事の唯一最大の使命であることは、変わりませんが、政権交代前の「野党に寝かせない(審議拒否させない)のが早期採決のこつ」だったんですが、今の野党はどんどん審議をしたいんですよね。そこを馳浩・前理事は理解できていなかったのではないか、と推測します。民主党だけでなく、日本維新の会、みんなの党はどんどん審議しましょう。そのためには、与党が大幅に野党に時間を渡すことが必要になります。

 NHKは2日間だけでなく、3日間できれば4日間とも中継していただきたいと存じます。

 昨年の基本的質疑1日目では、3期生の加藤勝信さんが起用され「年金交付国債を取り外して年金特例債にしたらどうか」と提案し、6月15日の3党合意に「年金交付国債の削除」が盛り込まれ、12月28日、内閣官房副長官に就任しました。先週成立した補正で年金特例債が正式に平成24年度予算に入りました。

 民主党は基本的質疑1日目は、海江田万里代表(ネクスト首相)、細野豪志幹事長、岡田克也さん、原口一博ネクスト総務大臣が登場します。代表・幹事長がともに登場する打順は極めて異例。岡田さんの基本的質疑1日目登場は、2008年のガソリン国会(道路国会、特会国会)以来。

 このときの岡田さんの冒頭発言は次の通り。

 なお、最近ようやく、国会議事録への直接リンクの張り方が分かるようになりました。発言部分をクリックすると当該部分に直接飛びますので、日時や、質疑に対する答弁、前後の文脈はそちらでお楽しみいただきたいと思います。

[国会議事録から引用はじめ]

民主党の岡田克也です。きょうから、あした一日かけまして、野党の方から、福田総理初め各閣僚に質問したいと思います。私からは総理を中心に質問したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、総理にお聞きする前に、きょう持ってまいりましたが、さきの補正予算の審議のときに我が党の菅代表代行の質問がありまして、各市町村長の、中期計画の策定、暫定税率延長あるいは道路特定財源維持、そういったものに対する賛同の署名簿というのがあるということで、ここに現物を持ってまいりました。確かに三冊に分かれているわけですが、ただ、この署名について、冬柴大臣から全員の署名があったという御答弁がありまして、これは事実に反しているのではないかということで、御説明と釈明をいただきたいと思います

[引用おわり]

 このように我が国憲政史最大の名場面となったガソリン値下げへの流れをのっけから作っていたことが分かります。

 この日は、与党自民党を代表して谷垣禎一委員(元財務相)が質問に立っていますが、このなかで、「日切れというのはいわば政界の術語でございまして、テレビをごらんの方、日切れって何だとお思いかもしれません。日切れというのは、三月三十一日、つまり、三月三十一日から四月一日で年度がかわるわけですが、そのときに成立しないと期限が切れてしまって不都合が起こる法律のことを、業界用語なんですが、日切れ法案というふうに呼んでいるわけですね。(略)揮発油とかそういうものに、道路をつくることが必要だというので税をいただいているわけですが、本則のさらに上乗せして倍ぐらいの税金をいただいている。これが切れるわけですね、ほっておきますと。そうしますと、二・六兆円の大幅な減収となる」と語っています。

 財務大臣経験者の谷垣さんがすでに危機感を募らせています。この国会では公明党国土交通大臣(故人)の答弁がたびたび立ち往生しましたが、国会閉会後に谷垣さんが国土交通大臣として収拾に乗り込みます。しかし時すでに遅し。秋の臨時国会召集直後に福田首相が政権を投げ出してしまいました。あくまでもガソリン値下げは自民党の自爆であり、それを民主党がうまく攻めたことが分かります。

 安倍首相は代表質問で「3本の矢を同時に射込む(いこむ)」とたびたび答弁しましたが、まず(1)金融緩和をし、続いて(2)補正予算を成立させ、これから執行。そして(3)成長戦略はまだとりまとめができていません。すでに3本の矢は五月雨式に射込んでおり、戦力の逐次投入という失敗の本質をしかけているように思えます。そして、衆議院本会議での代表質問で、大畠章宏代表代行の再質問に対して、経済対策で公約未達成ならば「選挙で責任を取る」と答弁しています。この議事録が大事になってくると考えます。で、ならなければどうか。その場合は日本経済がよくなっているんだから別に良いではないでしょうか。英国流の「The Opposition Party」ということで、民主党は、政府・自民党に代わって、いつでも天皇陛下をお守りするために親任式にのぞめる体制をとっているという意識が大事です。いわば、中腰の姿勢です。

 基本的質疑4日間獲得。それもまた、宮澤解散20年の改革テコ入れ国会の重要な成果です。


[画像]初登院日に「これから20年30年かけて今の初心を忘れずに」と語る、自民党経世会の岡田克也さん、フジテレビさん映像から。

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