渡辺恒雄あとつぎ宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

平成25年度地方税改正法案可決、当たり前ですが・・・全員出席 衆・総務委員会 国会空洞化にブレーキ

2013年03月21日 20時12分24秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

[画像]全員出席の下、平成25年度地方税改正法案を採決(可決)する衆院総務委員会、衆議院インターネット審議中継からキャプチャし赤丸は筆者が加筆、赤丸内は傍聴する筆者(宮崎信行)。

【衆議院総務委員会 2013年3月21日(木) 地方税改正法案とNHk予算の質疑と採決】

 きょうは衆・総務委員会を現地で見てきました。

 議題は午前中が
 平成25年度地方財政計画
 平成25年度地方税法の一部を改正する法案(183閣法12号)
 平成25年度本予算にともない地方交付税法と特別会計法を改正する法案(183閣法13号)の3本。

 午後は
 放送法によりNHKの平成25年度予算を承認する案件(183承認3号)でした。

 このうち、個人住民税での震災特例などを盛り込んだ平成25年度税制改正のうち、地方税法案は自公民維み5党賛成(共産党1党の反対)で可決し、衆参での成立が確実になりました。国税の改正法案はあす22日(金)の衆・財金委で可決し、午後1時からの本会議に緊急上程。参院に送られ、来週中に参院でも成立すると思われます。ちなみに私が知る限り、衆院総務委が地方税法を可決し、その後から、衆・財金委が国の税制改正法案を可決するのは異例だと考えます。この背景に、衆・財金委は伝統的に、水曜日を定例日としてきたところ、前の任期で平成23、24年度連続で特例公債法案を自公幹部に人質に取られてしまい民主党が困り果てていたところ、自民党のY理事が武士の情けで金曜日も定例日として審議に応じてくれたことで金曜日の財金委開催という日程が可能になったのだと考えます。

 そして、この日の総務委員会では正午過ぎ、午後5時過ぎの2回の採決とも40人の総務委員全員が出席して採決しました。

 採決時の全員出席は以前から当たり前としても、民主党の5議員は、自分の質問時間以外もほとんど委員席にすわって議事を聞いていました。第1次野党時代から民主党はよく委員席に座っていて、自民党は半分以下ということがよく見られました。政権交代後は、与党・民主党がチルドレンも含めて、座っているのに、自民党は野党になって暇なくせに、質疑者ともう1人ぐらいしか座っていないことがありました。それが政権再交代で、民主党も自民党もよく座っているようになったのは、二大政党にらみ合いの効果だと感じました。つまり、変化の激しいオープンな時代とねじれ国会で、与党内部会による事前審査制による国会空洞化にブレーキがかかったのだろうと考えます。

 この委員会は変則で、40人の委員がいますが、自民党24、民主党5、日本維新の会6、公明党3、みんなの党1、共産党1の割り振りになっています。民と維の委員数が逆転しているのは、もう一つだけ、決算行政監視委員会もそうですが、ここは委員長が維新の会です。総務委は公明党の北側一雄さんが委員長で、公明党が1理事、1委員と3人とっています。民主党は筆頭理事はとっていますが、委員数は維新が多い。地方議員が3000人いる公明党が委員長、大阪市長が党首の維新の会が野党でイチバン委員を持っているということになります。

 ただ、民主党の5人は多士済々で、筆頭理事がネクスト総務大臣で元リアル総務大臣の原口一博さん、委員には、知事出身の福田昭夫さん、県議出身の黄川田徹さん、総務省・旧自治省出身の小川淳也さん、総務省・旧郵政省出身の奥野総一郎さんですから、5人の取り合わせとしては完璧と言って良いでしょう。とくに原口さんは前々から委員会の出席率は非常に高い人です。そういうテレビに映らない原口さんの姿がそこにはあります。

 自民党は橋本岳理事が一人一人確認しており、閣僚経験者も交えて、採決直前には委員を兼ねる総務政務官を含めて全員そろいました。

 日本維新の会は、2回とも、中田宏さんが採決1分前に着席して、全員そろいました。中田さんは国会内テレビで審議を見ているのでしょうが、要領はいいのですが、驚きました。

 とくに午後は衆議院事務局が設置している定置のリモコンカメラ以外に、NHKが中継用に合計5台のムービーカメラを入れていましたが、中田さんが現れると、スタッフの人が「中田さん来た」と大声を上げて喜んでいました。中田衆院議員というのは、最後にはちゃんと居る人ですよ。

 それにしても、なぜ年次の税制改正法案の審議がテレビ中継されず、NHK予算がテレビ中継されるのかは違和感が残るところです。

 テレビ入りNHK予算審議でトップバッターにたった、山口泰明(やまぐち・たいめい)さんは「自民党には119人の新人がおり、少しでも後輩に時間を割きたい親心から1問だけ質問します」と言って、あっと言う間に引っ込みました。午前中の委員出席も山口筆頭が指揮しているようでした。山口さんは団塊の世代で、菅義偉さんと同期当選で同じ年。菅さんが総務大臣になった後、山口さんはオープンな性格のようで、内閣改造の直前になると、サシで総理官邸を訪れてなにやら総理と会っているようでした。そのまま、入閣しないまま、第45回衆院選で落選。国政復帰を果たすと、埼玉県連の10歳年下で後輩だった新藤義孝さんと5期生で並び、新藤さんが総務大臣に、菅さんは再入閣、ましてや内閣官房長官。ぜひ、山口筆頭も地道に総務委でがんばってほしいです。

 山口さんは私の日大二中・高の先輩です。同窓生は参院議員経験者が多く閣僚経験者や現職もいますが、衆院では山口さん一人。彼はお父さんから「医者になれ」と言われて母校に来たそうですが、日大法学部政治経済学科に進みました。私も「医者になれ」と父親から命令され母校に入った同級生を何人も知っています。なれた人、なれなかった人。その中で、山口さん同様、医者にならなかった複数の同級生に先月、同級会で会えました。一人は社長(父)、専務(弟)を支える立派な常務さん。さらには地域社会では30歳代にしてPTA会長。もう一人も会計事務所に勤めながら税理士試験合格間近のようです。時勢からして、父の跡を継いで開業せずに勤務医を続けているという同級生も複数いるようです。ところで、『車輪の下』ってヘルマン・ヘッセの自伝的小説だとされていますが、本当に「自伝的」であって「自伝」でないですよね。だって、ノーベル文学賞は生存していないと受賞できないんだから、『車輪の下』のラストシーンって間違いなくフィクションですよね。それはさておき、山口さんのように政治経済系のみなさんを応援したいです。そして、この春の入学募集は締め切ったでしょうが、母校をおすすめします。偏差値は低くても良い学校です。卒業生が言うんだから間違いありません。偏差値なんてものは、中の上、55~65ぐらいでいいんです。年を重ね、不惑に近づき、ほんのちょっとだけ世情に通じてくると、日大二中・高のような学校が真の意味で良い学校なのだな、との思いは募るばかりです。

 山口先輩も遅咲きになるでしょうが、これからです。

 原口一博さん、山口泰明さん、橋本岳さんらの姿を見て、与野党に分かれても、経世会は健在だと感じました。経世会が自民党と民主党に分かれたことは、日本のためには間違っていなかった。21世紀になって半分以上、清和会が総理大臣をやっています。そんな、ちっぽけなことはどうでもよい。経世会こそ、この国の政治をつくっているのです。

 そんなわけで、冒頭の画像に私も映っているので赤丸で協調しちゃいました。春だから、私も背筋を伸ばして、前に出ないと。

 なんにしろ、これからです。

 これからです。

 


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