【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

李克強首相誕生 習近平国家主席から任命される 岡田克也・小沢代理戦争は小沢氏に軍配

2013年03月19日 19時03分43秒 | 岡田克也、旅の途中

[写真]岡田克也前副総理と李克強・中国新首相、2008年7月、岡田かつやTALK-ABOUTから。

 岡田かつや、ロングロングウェイ。は、以前と同じカテゴリー名「岡田克也、旅の途中」に改名します。

 ◇

 中国大使館ホームページによると、「開会中の中国第12期全国人民代表大会(全人代)第1回会議の第5回全体会議が15日午前、北京の人民大会堂で開かれ、李克強氏を首相にすることが決定」しました。

 昨年来の報道の通り、習近平さん(59)が国家副主席から国家主席(兼)中国共産党総書記に昇格。李克強さん(57)が副首相から首相(国務院総理)に昇格しました。中国では共産党大会は5年に1度ですから、向こう5年間は習国家主席、李首相の体制が続くはずです。中国大使館のホームページの書きぶりですと、「習近平国家主席は第1号主席令に署名し、会議の決定に基づき、李克強氏を首相に任命した。」とあります。太子党の習さんと、共青団出身の李さんの権力闘争は、習さんの勝利で終わりました。

 話は変わりますが、バチカンではローマ法王ベネディクト16世(ドイツ出身)が2013年2月28日に退位し、3月19日、第266代教皇にアルゼンチン出身の枢機卿が、フランシスコ1世として即位します。英語では「フランシス」という発音になるようですが、初めてのアメリカ大陸出身の法王になります。私は、黒人法王かとも思いましたが、大西洋側のアルゼンチンとはいえ、アメリカ大陸は言うまでもなく環太平洋。アメリカ合衆国のサンフランシスコの地名の由来と同じようです。横浜開港以来150年間、サンフランシスコでの日系人収容所と太平洋戦争という一時期をのぞけば、日米に横たわる太平洋は常に平和な海であり、豊穣の海でした。まさに太平洋の時代が名実ともに到来したといえ、武者震いを感じます。

 さて、中国に戻ります。習国家主席は小沢一郎さんと仲が良く、李首相は岡田克也さんと仲が良かったので、この代理戦争は小沢さんの勝ちということになりました。ただ、やはり国民の間では、二世議員である太子党への反発があるようで、李首相には朱鎔基元首相のようにリーダーシップある首相になってほしいとの声もある、と報じられています。

 岡田さんは野党時代から李さんと仲が良く、「李さんとは、ここ10年ぐらいになりますが、なるべくお付き合いを深めようということで、6回か7回お会いをしてきました」「階段を上がるごとに、人間のスケールが大きくなって成長してこられたということを感じながら、お付き合いをさせていただいていました」と語っていました。

 岡田さんの曾祖父にあたる三重県三重郡最大の旧家である高田隆平さんが、孫文の支持グループの一員として、孫文を泊めたことがあり、岡田さんは衆院議員になってから孫文に興味を持っています。当時の日本は日露戦争で勝利したバブル期で、莫大な外債があることも知らずに、勝利の美酒に浮かれていた時代です。

 日本はプラザ合意によるバブル景気が崩壊したジリ貧から、東日本大震災による原発停止でドカ貧になっています。力強く、太平洋へと、大陸へと、国を開いていかなければなりません。

 人生チャンスは一度きり。そう心得るべきです。でも、あきらめたらそこで終わりだし、国は生き続ける。孫文は8回失敗して9回目に辛亥革命を成し遂げたそうです。私たちもまだまだ、旅の途中です。

 

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税制改正法案で民主党「こういう透明な議論を国会でやる文学青年のようなことを本気でやろうとしたんです」

2013年03月19日 15時09分30秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

[画像]平成25年度税制改正法案や民主党提出の消費税影響緩和法案について質問する古本伸一郎さん、2013年3月19日、衆院財務金融委員会、衆議院インターネット審議中継からキャプチャ。

 予算委はきょうもお休み。参院各常任委員会では大臣からの所信聴取や予算説明がありました。衆院各委員会では一般質疑を終えて、日切れ法案の審議に入ってきました。衆議院は例年3月下旬は忙しいのですが、午前中だけで、鷲尾英一郎さんが国交委で北朝鮮制裁のための特定船舶入港禁止延長案(183承認1号)で質問した後に、衆院財務金融委員会で答弁。玉木雄一郎さんも衆財金委で同じく消費税影響緩和法案(183衆2号)の答弁の後に、衆農水委で質問。昨日テレビ入り予算委TPP集中審議に登場した松本元外相、奥野総一郎さんも財金委に登場しました。通例この時期は、野党議員は質問が週2本、あるいは一日で2つの委員会で質問も当たり前。このことを知っていれば、与党新人として「質問ができない」と不満を言いながら、内輪の部門会議にエネルギーを発散してしまったことは残念です。とにかく、地元を回って、「民主党は嫌いだけど、◎◎さん」というファンの多い足腰の強い後援会をつくることが、政権交代ある二大政党政治における小選挙区総支部長のあり方です。私は初めからそう思っていたのですが、もっと強く言うべきでした。

【衆院財務金融委員会 2013年3月19日(火)】

 内閣提出の平成25年度税制改正法案(183閣法8号)関税定率法改正案(9号)民主党提出の消費税影響緩和法案(183衆法2号)が議題になりました。

 松本剛明・民主党税調会長が質問に立ちました。社会保障と税の一体改革(きょねん6月15日)と3党平成25年度税制改正大綱(ことし2月)に基づき、「天から降ってこない社会保障のために(財源となる)消費税を上げる運びをしっかりしていくために議論を進める」としました。

 ここで、第1次野党期からの民主党税調の基本中の基本、「控除から手当へ」の一環である、租税特別措置の透明化(基本的に廃止の方向)について質問。

 答弁者として登場した奥野総一郎さんは「租税特別措置透明化法にもとづく適用実態調査が今回初めて国会に提出されました。公平・透明・納得の税制を進めていきたい」と語りました。


[画像]平成25年度税制改正法案や民主党提出の消費税影響緩和法案について質問する松本剛明・民主党税調会長、2013年3月19日、衆院財務金融委員会、衆議院インターネット審議中継からキャプチャ。]


[画像]民主党提出の消費税影響緩和法案について答弁する奥野総一郎さん、2013年3月19日、衆院財務金融委員会、衆議院インターネット審議中継からキャプチャ。

 これを受けて、剛明(ゴーメー)さんは各省に粗特の適用実態について、順次確認をしていきます。

 まず、経産省。エネルギー需給構造改革促進税制(エネ革税制)について、経産省事務方は「黒字企業と赤字企業の区別をしていない」などと答弁しました。

 続いて、厚労省。医療用機器の特別償却について、丸川珠代・厚労政務官は「有効に活用したい」と答弁。

 次は国交省の資産の買い換え時に納税を繰り延べできる制度について。これは企業が所有期間10年以上の資産(土地、建物、鉄道など)を買い換えた場合に80%までの納税を繰り延べできる制度だそうで、鶴保庸介・国交副大臣は3850億円の利用があるとして、「たしかに目論見よりたくさん使われた」と語りました。これは驚きました。0・4兆円の繰り延べというのは、かなり歳入に影響があるといえるでしょう。

 そして、農水省。特定農産加工品などの租税特別措置について、平成22年度(?)の25件の適用が、翌年には1件だけになっていると指摘。加治屋義人・農水副大臣は「東日本大震災の影響があった」と苦しい答弁。これについて、剛明さんは、「(8月に補助金を)概算要求をして、(12月上旬に)予算がとれなくて、(12月中旬に租税特別措置として)自民党税調にお願いしているのではないか」と指摘しました。これは目から鱗が落ちる分析でした。こういう実態があるのは知りませんでした。自民党農林族の猫の目農政は補助金から租特まで及んでいたんですね。

 この背景。剛明さんのお父さんは自民党税制調査会で活躍した松本十郎さんで、その秘書で後継者が剛明さんです。最初から最後まで自民党(経世会)だった松本十郎さんの後継者として、最初から民主党公認で出馬したというおそらく唯一の人材が剛明さんです。

 麻生財務相はまとめの答弁で「世情の変化に伴い、見直しが必要だ」と語りましたが、剛明さんは「粗特のしくみ自体を理解して欲しい」と語りました。

 続いて、民主党税調事務局長の古本伸一郎さんが登場。

 何事も初めが肝心。古本さんは「与党の税制改正大綱について、麻生大臣は答弁してくれるのか。その議論をお受けいただけるならば質問する」と啖呵を切ったところ、麻生大臣は買いました。

 消費税影響緩和法案で、消費税増税時に廃止することになっている自動車取得税について、総務省自治税務局の平嶋彰英審議官(昭和56年自治省)は「地方税制審議会では消費税と別の税だとしている」と述べ、消費税と自動車取得税の二重課税(タックス・オン・タックス)ではないとの地方税を守る立場から答弁しました。

 ここで、古本さんが平嶋審議官につっこむと、「与党税制改正大綱に沿ってやっていきたい」と答弁。ここで、古本さんは麻生大臣に「ほら、ここなんですよ」として、「平嶋さん、一人二役は心苦しいでしょう」と語り、自民党の税制改正大綱の当該部分を平嶋審議官が書いていることを示唆し、一部幹部議員から笑いが漏れました。

 ここまでだと内輪受けですが、古本さんは次のように続けました。

 「国会で議論することが大事なんです。(自民党の)与党と政府を分けるというのは知恵なのかも知れません。しかし、政治の信頼回復という意味からも、私たち国会議員が(政策決定のスピードが求められる)激動の時代であるということからも、しっかりと決めなければいけません。我々は万年野党から与党になり、こういう透明な議論を国会でしようという文学青年のようなことを本気でやろうとして、失敗したんです」。

 そのうえで、「自民党や日本維新の会、みんなの党の1期生のみなさんも、私たちの挑戦を認めて欲しい」として、これからも、公平・透明・納得の民主党税制を続けていく覚悟を表明しました。

 そして、自民党の額賀福志郎委員を見ながら、「さて、久しぶりにそこにいらっしゃる(福田康夫内閣の)額賀財務大臣のときに使った地下鉄のポンチ絵を使った資料をお配りしました」として、2008年ガソリン国会で話題になった「道路特定財源による周辺環境整備による地下鉄建設」というハチャメチャな税金むだづかいを振り返りながら、「道路特定税源ならぬ、特定【的】財源についてお伺いします」と政権交代の原点に戻り質問しました。

 麻生財務相はこの後、日本維新の会の三木圭恵さんが「この法案の提出の背景は、昨年6月の3党合意とことし2月の3党税制改正合意を元にしたものだと確認してよいか」との質問に対して、「与党3党でのとりまとめ文書に基づくものです」と答弁した後、「じゃなかった、与党2党と民主党のとりまとめによるものです」と答弁し直しました。

 野田佳彦さんの置き土産、社会保障と税の一体改革合意にもとづき2015年10月までは確実な自公民3党税制協議路線と、藤井裕久さんらによる「控除から手当へ」「公平・透明・納得の税制」「租税特別措置のシンプル化」の3本の矢がしっかりと引き継がれていきます。

 ところで、きょうの質疑の中で、閣法である「平成25年度税制改正法案」の中で、民主党の主張を取り入れた部分が法案の最後である、「付則108条」であることが分かりました。この中には「平成二十六年度中に財源も含め検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとする」との部分もあり、野党である民主党は誠実に、自民党・公明党との協議をすることが求められます。民主党側からはしごを外すことは絶対にあってはなりません。

平成25年度税制改正法案から抜粋引用はじめ]

付則

第百八条 政府は、次に掲げる基本的方向性により、第一号、第三号及び第四号に関連する税制上の措置については平成二十五年度中に、第二号に関連する税制上の措置については平成二十六年度中に財源も含め検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとする。

 一 大学に対する寄附金その他の寄附金に係る税制上の措置の在り方について、これまで講じられた措置の効果等を踏まえつつ、対象範囲を含め、検討すること。

 二 給与所得者の特定支出の控除の特例の在り方について、給与所得者の負担軽減及び実額控除の機会拡大の観点から、これまで講じられた措置の効果等を踏まえつつ、適用判定の基準(所得税法第五十七条の二第一項各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額をいう。)及び控除対象の範囲を含め、検討すること。

 三 交際費等の課税の特例の在り方について、当該特例が租税特別措置法で定められていることも踏まえ、消費の拡大を通じた経済の活性化を図る観点から、その適用範囲を含め、検討すること。

 四 贈与税について、高齢者が保有する資産の若年世代への早期移転を促し、消費の拡大を通じた経済の活性化を図る観点、格差の固定化の防止等の観点から、結婚、出産又は教育に要する費用等の非課税財産の範囲の明確化も含め、検討すること。

[引用おわり] 

 


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