【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

◎BSフジ、岡田克也案に「公明・維新」同調の流れ 「小選挙区」「比例代表」それぞれ定数削減へ

2013年03月26日 22時25分01秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

 衆議院選挙制度改革の「民維み」3党の実務者である、民主党最高顧問の岡田克也さん、日本維新の会の園田博之さん、みんなの党の中西健治さんの3実務者は、2013年3月26日(火)、国会内で生活の党、日本共産党の幹事長級と別々にあい、比例A名簿、B名簿など、公明党に過度に配慮するあまり憲法違反の可能性が高い自民党案を認めないことで足並みをそろえました。

 この後、岡田最高顧問は、民主党本部で政治改革推進本部を開き、「小選挙区270、比例代表130」などといった格好で定数80削減する案を提案し、一任を得ました。

 この後、午後8時からBSフジの「BSフジプライムニュース」に出演。

 自民党の細田博之さん公明党の北側一雄さん民主党の岡田克也さん日本維新の会の園田博之さんの4実務者の初対決となりました。

 
[画像]2013年3月26日放送のBSフジ「プライムニュース」から、左から園田博之さん(日本維新の会)、岡田克也さん(民主党)、細田博之さん(自民党)、北側一雄さん(公明党)。

 北側さんは「3党合意は非常に重い」として自公民の枠組みを強調した上で、「実はこのメンバーは平成6年の選挙制度改革でもかかわっていたのですが、小選挙区と比例が3対2というのが肝の部分なんです」と強調。「当初3対2でだったのが、比例だけ20削減してしまった」と語りました。

 岡田さんは「民主党マニフェストの定数80削減」について、もともと定数500(小選挙区300比例200)の2割を削減しようというマニフェストで、そのうち2000年に、比例だけ20削減(小選挙区300比例180)されたのは、「比例だけ先行して実施された」ので、「80削減」だという認識を示しました。これで行くと、単純には「小選挙区240、比例代表160」ということになります。ですから、これに先立つ党内での提案を含めると、現在の岡田案は「小選挙区240~270、比例代表130~160、合計400ということになります。

 この中で、前回最高裁判決の「1人別枠方式(基数配分)」の違憲に加えて、今回の複数の高裁判決での「0増5減も違憲」との判決をふまえて、岡田さんは「0増5減法(あさって勧告の新区割りを反映した改正公職選挙法)を緊急避難的に成立させることの賛否は決めていないが、司法の判断を無視した国会でいいのか。最高裁の判決を素直に反映するのなら人口比例です」と語り、国会が決めた小選挙区(および比例区)の定数の中で、単純に人口で都道府県別の定数(選挙区数)を決めるべきだと語りました。

 園田さんは「0増5減法をやると、それだけで(国会審議が)終わってしまうからダメなんです」とし、「(0増5減より先に)定数削減を先にやるほうがよい(定数削減を法制化して区割り審に人口比例で新区割りをつくってもらう)」とまとめると、北側さんも「(大政党でも小政党でも)定数削減に反対する党はないですよ」と応じました。

 岡田さんは視聴者からの「人口比例だと地方部の声が届かなくなるのではないか」との質問に「その指摘は重要ですが、最高裁が(基数配分・1人別枠方式を)ダメだと言っているので国会は従わなければならないと思います」と原理主義。また、北側さんとのやりとりの中で、歳費の2割削減について岡田さんは「選挙制度改革をすれば、外れるのではないか」として、公職選挙法改正後の歳費2割削減の解除(歳費アップ)を示唆しました。

 番組の最後に、岡田さんが、「細田さんなぜ鳥取が1ではダメなんですか?」と質問すると、細田さんは「鳥取の定数が2でも、(一部を除けば)ほとんど2倍以内に収められる」と苦しい答えを迫られました。さすがに「「石破幹事長が鳥取全県区になってしまうから」との本音は胸にしまって言わずじまい。

 岡田さんは、落としどころを早く言うとの指摘があります。それはそうかもしれませんが、きょうの岡田提案で、おおむね、自公民、民維み、あるいは野党全党も話が進んでいくでしょう。

 岡田さんは最後に2回続いた極端な衆院選結果についてこう分析しました。

 「小選挙区制ということもあるかもしれないが、動かない政治への国民の不満が大きいと思います」。


憲法違反の第2次安倍内閣 選挙無効判決の岸田外相(前国対委員長)は議員辞職すべきだ

2013年03月26日 19時29分32秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

[画像]朝日新聞デジタルから。

 3・11から2週間後に、1人別枠方式(区割り審設置法3条)を名指しで削除するよう求めた最高裁判決を無視した第46回衆議院議員総選挙に対する「100日裁判」で、選挙の無効判決が出ました。さらに0増5減法を「不十分」とする判決も複数出ています。

 第2次安倍内閣の法治主義においても、民主主義においても正統性が問われます。さらに今の区割りは2000年国勢調査の結果であり、2010年国勢調査にもとづく区割りはあす出ます。これは明治維新の否定ともいえます。

 外相を務める岸田文雄さんが「無効議員」となったのはお天道さんは見てござる。昨年の第180通常国会の会期末残り2週の2012年8月24日(金)の衆院政治倫理の確立および公職選挙法改正に関する特別委員会(赤松広隆委員長)で摩訶不思議な出来事が起きました。午前9時46分、自民党の細田博之さんが提出した「0増5減の緊急是正法案」(180衆法27号)の趣旨説明を求めたところ、細田さんが現れませんでした。

 やむを得ず、赤松委員長は自民党欠席のまま「空回し」(質問時間を流すこと)して、民主党提出「0増5減し1人別枠方式を廃し、定数を35削減し、比例を全国ブロックにし、一部連用制を導入し、次々回の47回衆院選から定数400議席にする付則をつけた法案」(180衆法22号)を審議しました。

 この2日後の、2012年8月26日のNHK日曜討論で、自民党の岸田文雄国会対策委員長は、会期が残り2週間しかないのに「衆院の選挙制度なので衆院段階で結論を出したい。参院にお任せするというのはいかがなものか」と述べ、審議未了廃案を示唆しました。そこで、翌日、民主党は衆院委員会で強行採決し、可決。28日、衆院本会議で全野党欠席のなか、可決しました。ところが29日、参議院は、「野田首相と3党合意を問責する」決議をされしまい、会期末で、特例公債法案ともども選挙制度改革法案も廃案。野田首相は財政運営で追い込まれ、自民党内では谷垣禎一さんが総裁のいすから転げ落ちました。

 そして、第181臨時国会で、困り果てた野田首相が、特例公債法案、選挙制度改革法案の成立と引き替えに解散。第46回総選挙で第2次安倍内閣ができ、岸田外相が誕生しました。

 0増5減法を「不十分」とした判決もあり、「小選挙区250、比例区150」とし、新区割りを内閣府の衆議院選挙区画定審査会(区割り審、村松岐夫会長)に作り直してもらい、総理への勧告から2ヶ月後に話し合い解散、3ヶ月後に第47回衆院選をすべし。おおよそ10月ごろになるでしょうか。衆参ダブルはちょっとだけ間に合わないと思われます。

 岸田文雄・衆議院議員は自ら辞職して、混乱の一定の収拾を図るべきでしょう。

 ところで・・・日本で初めてカレースパイスの製造に成功したのは、エスビー食品です。


[画像]「国会議事堂ガイドブックー語り継がれる議事堂の歴史」、衆議院警務部編、国立印刷局発行。

 衆議院事務局の「国会議事堂ガイドブック」の39ページには、エスビー食品が1947年に板橋スパイス工場を建てた際に、国会議事堂を模したデザインにし、「板橋の国会議事堂」と呼ばれたそうです。今もこの前は「エスビー通り」と呼ばれていると思いますが、同社は、国会議事堂の絵の描かれたシールを缶に張って販売しており、商標登録も出願したそうです。

 では、そもそも国会議事堂という建物がなぜ造られたのか。

 「国会議事堂ガイドブック」の1ページは、おおむね次のような話を書いています。

 日本が独立国として歩むために不平等条約を撤廃し、対等な国交を樹立するため条約改正が必要となりました。そこで、第1次伊藤内閣の井上外相は、近代的な国会議事堂や、裁判所、司法省、鹿鳴館などを建設し、その整備された姿と国内の工芸技術を欧米各国に示し、対等な条約交渉を目指しました。外交戦術として、国会議事堂はできるだけ国産品を使用することになりました。

 しかし、その後も明治維新以来の官尊民卑、旧内務省系官僚出身議員の選挙での強さなど、国会の地位は再び低下しています。

 どうも、宏池会会長というのは、選挙制度を軽視する姿勢があるようです。

 ただ、民主党内にも解散を引き延ばそうという動きがあったのはたしか。基本的には輿石東幹事長(参院議員)と樽床伸二・幹事長代行(衆院議員)だったんだろうと考えます。その志のなさを叱責したい気持ちはいまだ変わりません。

 それはさておき、そのせいか、国会議事堂内でも、自民党本部でもカレーライスは人気メニューです。でも、基本的には嗜好品であるカレー缶に国会議事堂の商標を入れようという会社はあらわれないでしょう。日本で最初にカレースパイスの製造に成功したエスビー食品は、メダリストの社員も多いのですが、日本の自民党は内弁慶で、あまり世界に通用する組織には思えません。外相、宏池会会長、(国からの公共投資投入額が多く自民党王国の)中国ブロック、3世議員。正直、岸田さんという人がどういう人かあまりよく知りません。国を思う気持ちがあるのなら、早めに身を引かれるのも一案のようにも思います。私がおおかた尊敬している宮沢喜一先生が「嘘つき」として不信任された通常国会から20年目の「選挙制度改革テコ入れ国会」は中盤に入りつつあります。

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大塚耕平さんが麻生さんと4年ぶり3/26対決 「中小企業金融等円滑化法、ここまで利用されるとは」

2013年03月26日 14時04分22秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

[画像]参議院財政金融委員会で質疑する大塚耕平さん、2013年3月26日(火)、参議院インターネット審議中継からキャプチャ。

【参議院財政金融委員会 2013年3月26日(火)】

 民主党の大塚耕平元金融担当大臣(元厚生労働副大臣)が登場。

 麻生太郎財務大臣に対して、「5年前の日銀総裁人事では、民主党内に、仮に財務省から来るなら財務官経験者という話があった」と明かし、黒田東彦新総裁起用に一定の評価を示しました。そのうえで、「日銀が外債を購入することは法的に制約はない。大臣が財務省に帰ったら『日銀法40条で・・・』と説明があるかも知れないが、実際には制約されていない」としました。為替介入の場合でも、その水準に関しての規定がないので、法的制約がないという趣旨のことも語りました。そのうえで大塚さんは「財務省には外国為替特別会計(外為特会)があるのだから、日銀も(同様に)外債を買うべきだ。デフレ対策には(日銀による)外債購入が有効であり、財務大臣として大きな判断をするときが来る」との趣旨を語りました。

 大塚耕平さんと麻生太郎さん「3・26」対決は4年ぶり。

 4年前の3月26日にも、野党の大塚さんの質疑に与党麻生さんが答弁しています。(2009年3月26日付エントリー

 議題はきょうと同じ所得税法改正法案でした。麻生さんは総理大臣で、しめくくり質疑での総理出席質疑でした。

 そして、この朝、日経新聞で、自民党・平田財務副大臣が家業の株を大量に売却していたと報道。政務三役の株式売却は基本的には禁じられています。大塚筆頭理事は、「本当は総理や財務相と財政・金融に関する議論をしたい」としながら、財務副大臣の首をはねた上で、法案採決に応じました。麻生内閣は予算審議中の2ヶ月間に財務大臣、副大臣が別々の不祥事で辞任する前代未聞の事態になり、そして、政権交代しました。 

 

 上の画像は4年前の大塚・麻生対決。この時点で大塚さんには野党経験しかありません。麻生さんは総理でした。

 それから4年。

 31日に終わる「中小企業金融等円滑化法」について、「亀井大臣が『平成の徳政令だ』と言ったので、(私は)『大臣、徳政令とは言わないでください』と言って金融庁の畑中長官らと相談して、(副大臣として)今の法律にまとめました」とし、3年間の役割を終える「我が子」について、

 「正直言って、ここまで利用されるとは思わなかった」

 と自画自賛しました。

 中小企業者と住宅ローン者のリスケジュール(融資の条件変更)を可能にした与党経験に思わず表情もほころびました。

 

 一方、麻生さんも「徳政令ねえ・・・(亀井氏は)手形のジャンプっていう言葉を知らないんだね」と憎まれ口風に話しました。亀井大臣をけなしながら、大塚副大臣の手腕に一定の評価を示したものだと考えられます。互いを尊敬し合いながら牽制する二大政党時代のスタートを感じます。

 選挙制度に関する関心が高まっています。参議院は任期が6年間で半数改選。大塚さんは7月21日(日)に愛知選挙区で審判を受けます。ということは、4年前の野党時代の麻生総理を射るような鋭い大塚さんも、役目を終える法律を自画自賛する元副大臣としのて野党議員である大塚さんもともに、今の任期(2期目)です。この6年間の大塚さんを評価するとなると、いろいろ歴史的位相が違って愛知県有権者の当事者意識もそうとう高く持たないと。大塚さんの元気そうな質問ぶりに、国会とその周辺での仕事ぶりが最大の日常活動だなと感じました。

 円滑化法は民主党2009マニフェストにはありませんでした。民主党マニフェストには「中小企業の税率を18%から11%に下がる」と書いてありました。しかし、総選挙中から「(法人税は黒字企業にしか課税されないので)、早く税金を納められるような経済政策をしろよ」との批判が出ていました。このマニフェストが検討課題に載ったのは聞いたことがないし、「マニフェスト総崩れ」批判の中でも、この項目への批判は自民党からも、マスコミからもありませんでした。そういう意味では、まあ、亀井大臣の無茶ぶりというのも、今思えば、良い経験だったかもしれません。もちろん、大塚さんが受けて、こねて、軟着陸したから言えることです。

 東証1部上場企業向け「アベノミクス」から、「海の外」と「中小企業者」が共存する「大塚ミクス」へ。

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