【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

「0増5減で最高裁が違憲判決を出したら内閣総辞職ものだ」と警告 岡田さん BS朝日

2013年03月29日 15時10分26秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

 2013年3月29日(金)放送のBS朝日「ごごいち」は、「選挙制度改革責任者対決」と題して、自民党の細田博之さん、民主党の岡田克也さんが討論しました。

 激しいやりとりとなり、 岡田さんは「福岡高裁、札幌高裁、広島高裁岡山支部が0増5減でも不十分だとしている」として、1人別枠方式(基数配分)を完全に廃止するため、「鳥取県を1つにする必要がある」との認識を示しました。岡田さんは「(昨年末に民主党は0増5減に賛成したが、その後、)3つの高裁が言っている以上、立法府としては元に戻って人口比例でやる。鳥取県を1にする」べきだとし、「0増5減で(今夏にも出る)最高裁(の統一判断)が『違憲』なら立法府の権威は失墜する。違憲を逃れるために違憲の法案を通すべきではない」としました。政府が提出する予定の法案に関しての賛否は「党で決まっていない」としながらも、「採決自体すべきでない」と話しました。

 岡田さんは「鳥取県を2つにするという大前提があるから混乱する」として、鳥取県の定数を1つ(鳥取全県区創設)にする「人口比例方式」にするよう促しました。

 細田さんが「東京高裁の判決がイチバン妥当だ」と司法に横やりを入れたうえで、「(1人別枠方式を残しても)一票の格差が2・0倍以内ならばよい」との認識を示すと、浜田邦夫・元最高裁判所裁判官が「細田先生の判例、学説が(2・0倍以内ならば合憲だという認識が)その通りだというのは違う」としました。浜田元裁判官は「過去の経緯は良いから、政権交代して、株価も上がったから、国家百年と言わずとも、10年先を見て妥協して欲しい」と助け船を出しました。

 岡田さんは「そういう状態で最高裁が違憲判決を出したら、 内閣総辞職ものですよ」と強い調子で警告。「政治家の決断の問題なんです。違憲の可能性があるものをさらに通しても何の意味もない」と語りました。

 民主党は近く、選挙区を5増35減する法案をつくる方針。この中で、鳥取県と島根県が定数1(全県区)となる見通し。これはそれぞれ、自民党の石破茂幹事長、細田幹事長代行の地元が全県区になることになります。一方、岡田さんが民主党県連代表を務める三重県も定数が5から4になることから、「痛み分け」の様相を呈してきており、岡田さんが言うとおり、「決断できるかどうか」にすべてがかかってきそうです。 

 報道によると、民主党が検討を始めた「人口比例の5増35減法案」による各都道府県の定数は次の通り。( )内が現行定数。

北海道  12 (12)
青 森   3  (4)
岩 手   3  (4)
宮 城   5  (6)
秋 田   2  (3)
山 形   2  (3)
福 島   4  (5)
茨 城   6  (7) 

栃 木   4  (5) 
群 馬   4  (5) 
埼 玉  15 (15) 
千 葉  13 (13) 
東 京  28 (25) 
神奈川  19 (18) 
新 潟   5  (6) 
富 山   2  (3) 
石 川   2  (3) 
福 井   2  (3) 
山 梨   2  (3) 
長 野   5  (5) 
岐 阜   4  (5) 
静 岡   8  (8) 
愛 知  16 (15) 
三 重   4  (5) 
滋 賀   3  (4) 
京 都   6  (6) 
大 阪  19 (19) 
兵 庫  12 (12) 
奈 良   3  (4) 
和歌山   2  (3) 
鳥 取   1  (2) 
島 根   1  (2) 
岡 山   4  (5) 
広 島   6  (7) 
山 口   3  (4) 
徳 島   2  (3) 
香 川   2  (3) 
愛 媛   3  (4) 
高 知   2  (3) 
福 岡  11 (11) 
佐 賀   2  (3) 
長 崎   3  (4) 
熊 本   4  (5) 
大 分   2  (3) 
宮 崎   2  (3) 
鹿児島   4  (5) 
沖 縄   3  (4)


国会珍プレー相次ぐ 参議院 人事官、検査官が不同意、NHK予算1人反対、平田議長お茶目な一面も

2013年03月29日 14時37分37秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

【2013年3月29日(金)参議院本会議】

【2013年3月29日(金)参・予算委】


 年度末最後の定例日(月、水、金)恒例の参議院本会議。 

 珍プレーが相次ぎました。

 人事官と検査官の国会同意人事で、それぞれ女性の私大教授が不同意となりました。

 本会議に先立つ、予算委でみどりの風の谷岡郁子代表が菅義偉・内閣官房長官に対して、資料類を持ってくる際はより詳しいものを持ってきて欲しいとしたうえで「みどりの風は党議拘束をしないので、何があるか分からない」としており、新しい議会運営、あるいは内閣官房と国会議員のあり方に新風を感じることができました。

 また、NHK予算が「賛成229、反対1」となり、押しボタン式投票の議場内に表示するスイッチを右人差し指で操作している橋本雅史・参議院事務総長(非議員)が平田健二・議長に対して「(次第書きの)全会一致を読まないでください」と促す珍しい場面もありました。日切れ法案(予算関連法案)の予防接種法の一部改正法でも反対が1ありました。

 さらに、平田議長が、神本美恵子さんを「かみもと・えみこさん」と呼び、登壇した本人から「かみもと・みえこでございます」と直されました。神本さんは日教組組織内で、平田健二さんはUAゼンセン(旧ゼンセン同盟)。平田さんのお茶目な一面がみられました。

 珍プレーではありませんが、とても印象に残る場面がありました。

 参・予算委で質問に立った民主党の小林正夫理事が総理ら全閣僚を前に振り絞るように次のように語りました。

 「最後に、小林の思いを申し述べて、質問を終わります。東電福島第一原子力発電所の事故のことについてでございます。この件に関して、言葉もみつかりません。あの日以来、日々、胸のいたむ思いがずっと続いている、というのが正直なところでございます。被害にあわれた方たちが一日も早く元の生活に復帰できること、そして福一の原子力事故、あの現場が一日も早く完全収束になる。このことを私は期待し、また今後その過程を見守ってまいります。そのことを申し上げて質問を終わります」。

 小林さんは目が潤み、ふるえているようにも見えました。そして言い終えた後、とてもほっとした表情に見えました。

 日本の国情をしっかりと踏まえて、安定した環境を整える民主党であって欲しい。子や孫に平和で安定した経済大国を受けつぐことこそが、チルドレンファーストの第一歩です。


平成25年度税制改正法成立 暫定予算は2013年5月20日(月)まで 自民党ら与党、質問時間放棄

2013年03月29日 14時36分31秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

【2013年3月29日(金) 参議院本会議】

 平成25年度税制改正法が成立しました。国税、地方税とも年度内成立となりました。2015年1月からの相続増税、震災による固定資産税特例の延長などが法制化しました。

 財務省のホームページでは、平成25年度税制改正法を全582ページで掲載していますが、この最後の最後。581ページと582ページの「付則108条」に民主党が提案した「検討」が入っています。このような、自民党、公明党、民主党3党の事前協議により、衆参ねじれでも、スムーズな審議、可決・成立が可能となりました。3党は、消費税が10%になる2015年10月以降も低所得者対策を中心に、3党税制協議をつづける見通し。

 国税は、投票総数234、賛成220、反対14。
 地方税は、投票総数234、賛成228、反対6(共産党)。

 本予算の審議が衆議院で2週間ストップしているため、暫定予算が成立しました。

 参院予算委員会では29日朝に審議入りしました。理事会による会派の質問時間は自、公にも割り振られていましたが、自、公が質問を放棄しました。

 本会議で石井一委員長が報告。

 「自公民維み生風社改(自民党、公明党、民主党、日本維新の会、みんなの党、生活の党、みどりの風、社民党、新党改革)の賛成」、「日本共産党の反対」で可決しました。共産党は反対の理由を「駐留米軍の経費が入っており、消費税増税を前提にしている」としましたが、「生活保護費や地方交付税交付金(の暫定予算)は当然だ」と述べました。