【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

2005岡田マニフェストの「日本型直接支払制度」を平成26年度から導入へ 自民党検討 TPP農家対策

2013年03月23日 13時02分55秒 | 岡田克也、旅の途中

[画像]「TPP農家の減収補填」の見出しで、「日本型直接支払制度」を平成26年度から導入する方針を報じる2013年3月23日付朝日新聞、朝日新聞デジタルから。

 2013年3月23日(土)付朝日新聞1面は「TPP農家の減収補填」の見出しで、自民党と農林水産省が平成26年度(2014)予算で、「日本型直接支払制度」を設ける方針であると報じました。これは、民主党政権の平成22年(2010)~24年度(2012)予算で「農業者戸別所得補償制度」として施行されたもので、衆院で審議中の平成25年(2013)度本予算(案)では「経営所得安定対策交付金」などとして見積もられています。

 「直接支払」はもともと、平成16年(2004)参院選の岡田マニフェスト、平成17年(2005)衆院選(郵政解散)のマニフェスト(岡田政権500日プラン)に盛り込まれたものです。

 2005年の岡田政権500日プランと言えば、この写真、「日本を、あきらめない。」

[画像]2005年岡田マニフェスト「岡田政権500日プラン」の一部。

 「05岡マニ」には次のように書いてあります。「農業の柱としてー補助金行政から直接支払へ大胆に転換します。現在の農政は、作物の価格維持政策や構造改善事業への助成を中心とした補助金漬けの内容なっています。これを抜本的に転換し、農業・農村を活性化するために、農政の柱として、原則としてすべての販売農家に直接支払を行います。(後略)」

 この後、2007年の小沢マニフェストで代表・小沢一郎氏が「農業者戸別所得補償制度」に名称を変更し、2009年の政権交代で政府の制度になり、平成22年(2010)度~24年(2012)度の本予算で「農業者戸別所得補償制度」として計上されました。ただ、法制化はされていません。自民党は戸別の頭文字「k」をとって、「バラマキ4kの一つ」として攻撃しましたが、農家から制度の維持を求める声が強く、玄葉光一郎政調会長・石破茂政調会長ら民自公3党合意で、存続が決まり、よりよい制度をめざして3党実務者協議で、政策効果の検証をして、予算に「所要の措置を講じる」ことになっています。

 自民党は、農業者というよりも農地の所有者に配慮した政策で政権を取りましたが、直接支払いであることに変わりません。この篠原孝さんのアイディアで、岡田克也代表が取り入れたマニフェストに沿って、「日本型直接支払い」として、農地所有者に配慮すれば、後継者がいなければ農業生産法人に貸して、田畑を守りながら現金収入を得ることが可能です。規模の集約にもつながります。

 TPPに関して、最近はインターネット掲示板でも、JA会長の発言をもじって、「TPPで日本の農業は全滅する、ではなくて、TPPで日本の農協は全滅するの間違いだろ」との批判が出るようになりました。匿名掲示板とはいえ、JA会長の悪口が平然と出るようになっただけでも、直接支払いの効果があったと感じます。私はこれは「革命」だと感じます。団塊の世代の政治家は「革命」という言葉が好きで、鳩山友紀夫さん(旧・鳩山由紀夫さん)は、所信表明演説の草稿で、「政権交代は無血の民衆革命」(完成稿では「無血の平成維新」)と書きましたし、河村たかし名古屋市長は住民税の均等割の減税について「市民税の減税は庶民革命」と言いました。しかし、農業者、農地所有者をJAから解放した篠原孝さんの農民分権こそ、団塊の世代、全共闘世代が実現させたたった一つの革命だったのです。

 時代の流れが早くなっています。「民維み生風社」6党による本予算修正の実務者協議会があるので、平成25年度本予算の「経営所得安定対策交付金」を「日本型直接支払交付金」に書き換えてしまう修正案もありうるでしょう。あるいは、自公民3党で「政策効果の検証結果に基づき所要の措置を予算に講じる」ことも大事です。

 3党の誠実な政策効果の検証によって、「日本型直接支払」を政府の恒久制度にすべきときが来ています。第3の開国を前に、民主党農政と自民党農政の政争の余地はありません。

 日本を、あきらめない。

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