[写真]松本剛明・民主党税調会長。
政府は平成25年度税制改正法案とマイナンバー法案を国会に、2013年3月1日(金)提出しました。
☆平成25年度税制改正法案、衆参ねじれの成果「相続増税据え置き」は、3年たって平成25年度税制改正法で年度内成立へ
参議院のホームページによると、提出された法案は、
第183回国会閣法(内閣提出法案)8号の「所得税法などの一部を改正する法律案」(平成25年度税制改正法案)。
もう一つ、地方税に関する法案が出るだろうと思いますが、現時点では確認できません。
【追記 2013年3月6日 午前10時半】
地方税に関する法案として、政府は5日、国会に次の2法案を提出しました。
第183回国会閣法12号の「地方税法の一部を改正する法律案」(平成25年度地方税制改正法案)
13号の「地方交付税法および特別会計に関する法律を改正する法案」(日切れ指定)です。【追記おわり】
平成25年度税制改正法案は、政府税制改正大綱(1月29日)をもとに、民主党、自民党、公明党の3党協議にもとづき、付則に民主党の要望などを盛り込んだ法案。
この法案の内容は、ホームページの政府税制改正大綱(http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2013/250129taikou.pdf)に加えて、法案が衆議院や参議院のホームページに載った際に「付則」をみると内容が分かると考えます。
政権交代にともない、政府与党の閣法の情報にはからっきし疎くなった当ブログですが、時間があるので、いろいろ新しい知見は増えています。私はなぜ毎年、税制改正をするのか。地方議員にはとんと分からない壮絶な世界が与党国会議員の間で繰り広げられるので、衆議院の任期中に本改正1回テコ入れ1回ぐらいにしたらどうかと思っていました。岡田克也副総理の記者会見で聞いてみようかとすら思っていましたが、今年になってから本で分かりました。まず我が国の予算が4月1日~3月31日であるのは、完全に英国の猿まね。そのうえで、ローマ法王ベネディクト16世が2013年2月末に退位しましたが、1628年の清教徒革命で議会による課税承認権が確立。このため、3月31日までに英国議会が税制改正法案を成立させなければ4月1日から所得税がゼロになるのは、国民にとっても国会にとっても権利であること。そのため、毎年税制改正をして、3月31日まで成立させる必要があるようです。よって、2008年通常国会での「ガソリン値下げ」が国会への関心を呼び、次の総選挙で政権交代につながったのは、歴史的にも裏付けられることです。
その後、2011年通常国会の衆参ねじれでは、3党協議により、ちぎっては投げ、ちぎっては投げで、つなぎ措置をしながら税制改正法が成立していきました。これにより、相続増税は自民党税調会長らの意図で阻止されましたが、「分かりにくい」との批判を浴びたようです。そして、2012年通常国会では年次税制改正法案が年度内成立。その後、5月8日から「消費税増税など社会保障と税の一体改革法案」が審議入りし、8月8日に成立しました。ここでも閣法に入っていた「相続増税」は3党協議で削除され、衆議院修正されました。そして、平成25年度税制改正法案に入り、2015年1月から相続増税することが確実になりました。この一連の経緯を見ると、昨年6月に「相続増税を削除し消費増税するのは庶民軽視だ」との趣旨の記者会見し、党議に違反し除籍された初鹿明博議員らはまったく税制改正の流れが見えておらず、落選は当然だし、まったく無関係ですが、彼は人生をどぶ川に投げ捨てたようにも思えます。政界引退した方が本人のためでしょう。もちろん12月の総選挙による民主党下野は自業自得の自爆であることは、私自身100%認めざるを得ません。
民主党の税調会長には松本剛明さんが就任しています。ゴーメーさんは事前に3党協議するスタイルで、年度内成立が確実な状態で、法案が提出されるという調整をしたようです。またマイナンバー法案も3党協議により提出したことから、少なくとも2015年10月の消費税10%時までに低所得者対策「軽減税率かあるいは給付付き税額控除か」について、3党協議の芽を残したことになります。責任野党として政権復帰のかすかな光明が残ったわけです。大局を見据えながら、野党としての年次改正では年度内成立を法案提出前にすりあわせている。さすがは経世会系の政治家です。自民党税調幹部(インナー)には、経世会系の新聞記者出身の額賀福志郎元財務相がいますが、それ以外は財務省出身者です。民主党には二世議員とはいえ非財務省(銀行員)出身の5期53歳外相・衆議院議院運営委員長経験者の松本税調会長がいるわけで、自民党には同様の人材がいるのでしょうか?
☆マイナンバー法案が提出、今国会成立確実で、2016年1月から施行へ
マイナンバー関連法案も提出されました。
183閣法3号「マイナンバー法案(行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用などに関する法案、共通番号法案)」
183閣法4号「マイナンバー導入のための関係法律整備法案」
183閣法5号「マイナンバー導入のための内閣法など改正法案」
の3本です。
法案はまだインターネット公開されていないので、読んでいませんが、報道によると、第180通常国会などで古川元久国務大臣が担当しながら、審議入りできず解散で廃案になっていた3法案とほとんど同じ内容のようです。3党税調会長らによる3党協議済みで、法案の成立は確実のようです。
これにより、2016年1月からのマイナンバー施行が可能なようです。ということは、2015年10月の消費税10%後の最初の確定申告から、低所得者などが給付付税額控除などを求めることが可能になるということなんだろうと思います。すでに消費税8%時の軽減税率は公明党税調会長が断念していますので、消費税10%時の低所得者対策が第46期衆議院における3党協議の焦点になってきます。
岸田外相は昨年の通常国会の野党・自民党の国対委員長でした。このとき、「前裁き」で、当初4領域11法案を審議する予定だった「衆議院社会保障と税の一体改革に関する特別委員会(中野寛成委員長)」の3領域8法案となりました。すなわち、消費税増税、年金加入期間の25年間から10年間への短縮・厚生年金と共済年金の合併、幼保一体化(子ども子育て支援法)などの3領域です。ここから、マイナンバーは自民党国対などが「多すぎる」と除外しました。
ところが、マイナンバーは低所得者対策の一環だったので、自民党内で社会保障に強い議員が「マイナンバーを審議すべきだ」と主張する場面がありました。
[国会会議録データベースから引用はじめ]
第180回通常国会の平成24年5月29日の衆議院社会保障と税の一体改革特別委員会で自民党のあべ俊子さん。
(前略)
○あべ委員 給付つき税額控除は、やはり、どなたが必要な収入もしくは所得が得られているかということを把握するのが前提でございまして、私よくわからないので岡田大臣に教えていただきたいんです。
この給付つき税額控除をやるに当たって、マイナンバー、社会保障番号というのは必須だと思うわけでありますが、なぜこの委員会からそのマイナンバーが外されたのか、その経緯を教えてください。
○岡田国務大臣 これは各党の国対間での話し合いの結果ですから、私がそれをお答えする立場にはないんじゃないでしょうか。むしろ国対にお聞きになられたらいかがでしょうか、自民党の。
(後略)
[引用おわり]
このように社会保障に強い自民党のあべさんがマイナンバーも審議すべきでなぜ外れたのかと質問したところ、岡田克也・社会保障と税の一体改革担当大臣(副総理)からが「自民党の国対に聞いてほしい」と返され、自民党国対がマイナンバーを外したと示唆する珍場面がありました。その後、民主党は衆議院での採決大混乱で、世を乱しました。が、歴史的惨敗で下野するという政党として最大の責任をとったので、ここは、リセットして、マイナンバー法をすぐに成立させたいところです。
経世会の歴史では、1998年の総裁選に小渕恵三候補と梶山静六候補の2人が立つという事態がありましたが、梶山候補は出馬会見で「わが屍を越えていけ」と語りました。野党としての松本税制ですが、2015年10月を見据えていけば、まだまだ光明があります。まさに、「松本税制は野田佳彦を超えていけ」、との思いもします。もちろん、住宅ローンを完済すれば野田さんにも違った場面で再登板の機会はあるでしょう。「政界の野田」と言えば野田佳彦に決まっています。
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