[写真]民主党の海江田万里代表(ネクスト首相)、2014年3月24日(月)、東京永田町の同党本部、筆者(宮崎信行)撮影。
民主党代表の海江田万里・ネクスト首相は2014年3月24日(月)の定例記者会見で、
「民主党本部内に非正規雇用の労働者を考えるセンターをつくり、外部の有識者と国民を巻き込んで、国民運動にしていく」と語り、第186回国会の後半戦の最大の対立軸に位置付けることを表明しました。
海江田代表は後半国会を、(1)労働法制、(2)集団的自衛権、(3)TPP--の追及に絞ると宣言。ただ、集団的自衛権とTPPは今国会に関連法案が提出されないことから、「予算委員会で、(予算の実施状況の調査として)2、3回議論してハイ、できましたよというわけにはいかない。特別委員会のようなものを立ち上げて、しっかり時間をかけて議論すべきテーマだと思う」としながら、「正直、厳しいと思う」と述べ、自民党国会対策委員会に拒まれる可能性が高いとの考えを示しました。
センターの設立については、昨年末の第185臨時国会の特定秘密保護法廃案をめぐる国民運動を念頭にして、民主党が主導権を握る考えで、同日の役員会で、国会議員の発案を海江田代表が受けたもので、正式名称は近く決定します。
わが国では、戦後初の総選挙で、「総評(地方公務員、教師、国鉄、電電公社などの労働組合のナショナルセンター)」の支持をうける日本社会党が第1党に躍進して以降、経団連の支持を受ける自民党と、総評の支持をうける社会党の二大政党だったこともあり、最大野党がおもに民間企業の非正規雇用者の声を代弁するのは、憲政史上初めてになります。
連合が5年ほど前に、非正規雇用センターをつくり、「職場から始めよう運動」をやっています。これには興味深い報告があります。正社員は同じ職場の非正規雇用者の労働環境に、とても興味を持っています。しかし、他の部署、会社の非正規雇用者にはほとんど興味がないとの報告があります。このように、関心が分断されてしまうことで、非正規雇用の問題が「現代の奴隷」になるまで放置されてきました。
見て見ぬふりをする傍観者にならないだけではなく、労働市場から遠ざかっている人も含めたすべての国民を当事者に巻き込むべきです。
民主党は結党以来、常に最大野党か、最大与党のいずれかにいるわけですが、野党期においてはすべての当初予算を年度内に採決・成立させています。その後の会期である「後半国会」で政策テーマを絞って、委員会審議、国会対策、国民運動を連動させる作戦をとり、「年金国会」「ガソリン国会」の成功で党勢を拡大してきました。
【2014年3月24日(月)参議院沖縄および北方問題に関する特別委員会】
さあいよいよ、きょうから後半国会のスタートです。現在おおむね、法案100本、条約20本、承認(NHK予算案・国の決算案)20本がかかっています。衆参ねじれ解消とはいえ、会期末まで3か月を切っており、「働きます国会」は続きます。
その初日となる月曜日ですが、参・沖北特(林久美子委員長)で、沖縄振興特別措置法の改正案(186閣法5号)が山本一太・沖縄相の趣旨説明が行われました。
ところが、衆参とも、開かれたのはこの1委員会のみ。
所管の分け方は、衆参で違いますが、衆議院と参議院でともに、民主党員が委員長をしているのは、「沖北特」だけ。衆議院側は安住淳委員長です。
沖縄振興は内閣府沖縄総合事務局の仕事で、本来は衆参内閣委に付託される法案でしょうが、内閣委が忙しいので、民主党員が衆参委員長をつとめる沖北特が買って出て、後半国会初日から働いた格好です。
民主党は結党以来、後半国会に強い最大野党です。2004年の年金国会、2007年の消えた年金国会、2008年のガソリン国会など、後半国会の構図を野党ながら作り上げてきました。それぞれ、その後の国政選挙に勝利することで、組織力・資金力で圧倒する自民党をなぎ倒すという、民主の力を示しました。
修正協議や附帯決議協議となると、民主党は野党内で圧倒した能力を見せることができそうです。
マイナスから再スタートした民主党ですが、下野後2度目の通常国会で、責任政党ぶりを姿勢で示した後半国会初日となりました。