宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

晴れた日に 岡田克也さん、在職25年のかわりに代表質問演説、なおも現役

2015年02月16日 16時09分25秒 | 岡田克也、旅の途中

【衆議院本会議 2015年2月16日(月)】

 私が心より尊敬してやまない、民主党代表(ネクスト総理、The oppositon leader)の岡田克也さん(61歳)が10年ぶりに代表質問演説するので、衆議院本会議場に行ってきました。けさ、GDP1次速報値の発表があり、あの総理の解散会見からちょうど3か月となりました。きょうは、私にとって第47期衆議院では初めての本会議傍聴でした。自民党の議席数が1減だったのに、どういうわけか、民主党・無所属クラブは、議長から見て心なしか左に寄っていました。また衆参合わせた在職年数で並んでいるので、当選2回の山尾志桜里(山尾しおり)さんが最前列に座っていました。ただ、自民党だって、2期生はまだまだ前列。考えようによっては「振り子が止まった」証拠なのかもしれません。

 先週から、NHKの中継が「1時10分から」となっていたので、国会同意人事かと思っていたら、さにあらず。 永年在職表彰でした。

 1990年2月18日(日)の第39回衆議院議員総選挙。ベルリンの壁崩壊後の初の衆院選。快進撃を続ける土井社会党は60代労組幹部の新人を辞めて、30歳代の弁護士や県議らを大量擁立。受けて立つ、海部・小沢自民党も、閣僚経験者であっても引退する場合の後継者に息子をただたんに認めることはありませんでした。

 我が党は、赤松広隆最高顧問、高木義明国会対策委員長、大畠章宏常任幹事会議長の3人。 赤松さんのお父さんは衆議院議員でしたが、赤松さんは県議出身で、直接の世襲はしていません。高木さん、大畠さんも労組出身ですが、地方議員を経てから、衆議院に出馬しています。

 自民党からは、河村建夫さん、細田博之さん、森英介さん、山口俊一国務大臣、中谷元・防衛大臣、古屋圭司さん、佐田玄一郎さん、石原伸晃さん、山本有二さん。

 このうち、世襲は細田さんと森さんですが、細田さんは通産省で課長まで務めてから世襲しています。官僚でも課長補佐ぐらいで世襲するのですが、細田さんは珍しく課長を務めたから立候補しています。森さんは選挙区内の大地主ですから当選確実性が高かったでしょう。ところが、自民党ですら、1990年初当選連続9期組は世襲はほとんどいなことになります。中谷さん、石原さんらも親は衆議院議員ですが、世襲はしていません。また、現職を押し出して初当選したのは、石原さん1人ではないでしょうか。私としては、衆議院議員については、引退する議員を優秀な若手が継いでいって、200議席台で、二大政党が政権を争う形にしていきたいと考えています。もはや「注目選挙区」などありません。このメンバーで見ると、山本さんという人はすごい人だと感じました。

 そして、初当選同期には、山口那津男さんや、輿石東さんもいるわけです。まして、那津男さんは衆議院小選挙区2連敗で浪人していたのです。だから、今はもう山尾さんの隣にいない小原舞さんとか、高山智司さんとか2連敗している人もいずれ、また復活するでしょう。

 河村建夫さんが代表して演説しました。「私たちはとりわけ、二度の政権交代という貴重な体験を得て、議会制民主主義の神髄を味わった」ーー実は河村さんも、あの1993年6月14日夜、東京・渋谷の宮沢邸襲撃事件の愚連隊、岡田さんと同じ政治改革派でした。当時の河村さんの自民党執行部への要求書は、小沢一郎幹事長下の政党なら除籍されてもおかしくないようなものでした。そして、長州ということもあったのでしょう、一度も自民党から離れずに政治改革を実現させてきました。きょう表彰された中で、離党した政党に戻った人はただの一人もいません。その重い事実を受け止めてほしいところです。

 なお、傍聴席にそれぞれのご婦人がいましたが、おおむね1議員1人しか傍聴者は来ていなかったようです。まして、お着物姿は河村さんの奥さんだけでした。他は、地味な色の年季の入ったジャケットをお召しになっていて、大きな真珠の首飾りをしているようなご婦人も一人もいませんでした。9期連続当選する議員の奥さんというのはそういうものだということも、候補者、有権者とも心に刻みつけるべき事実です。

 中谷、山口両大臣はモーニング姿のまま、ひな壇へ。

 議長からも、本人からも、総理からも言及がありませんでした。

 きょう、永年在職表彰を受けるべき、もっとも代表的な議員。岡田克也。

 今も現役として、さっそうと、登壇しました。

 第3次安倍内閣最初の施政方針演説に対する代表質問です。

 岡田さんは、「民主党代表に新しく就任した岡田克也です」として、まず民主党が生活者、納税者、労働者の党であり、「既得権と闘う改革志向の政党である」としたうえで、「私は二十数年、政権交代ある政治を目指してきた」として、民主党に限らず、二大政党の一角になることが大事だと主張しました。言うまでもなく、私も二十数年間、まったく同じ考えを常に持ち続けています。

 そして、「総理は施政方針演説で、戦後最大の改革をすると言ったが、改革には痛みを伴う。私は痛みを国民に対してていねいに説明していきたい」との基本方針を示しました。私は感動しました。今国会から、民主党は格差是正をメーンテーマにすえることにしましたが、その意味がすとんと心に落ちました。

 岡田さんは、「持続的な経済成長には生産性の向上が必要だ」としました。

 また、「ひとり親世帯の子ども」への支援が必要だとしました。ちなみに、岡田さんの、お母さんも、奥さんも、そうやって育ってきた女性です。

 今国会に提出する労働者派遣法改正法案と労働基準法改正法案(年収1075万円以上の高度プロフェッショナル、ホワイトカラーエグゼンプション残業代ゼロ法案)について、労使関係が対等でないから労働法制が必要だとの認識があるのかと問いただしました。

 そして、岡田さんは声を荒げて、「結婚出産をあきらめないといけないという若者が多くいる」として、非正規雇用の拡大によって「犠牲になったのは若者です」としました。私自身も、富裕層出身の元大企業正社員ですが、健康上の理由から結婚出産を(40歳の現時点では)あきらめる人生となっており、岡田さんが代弁してくれてうれしかったです。

 民主党政権の子ども手当(新児童手当)と所得控除の廃止について説明し、マイナンバー法にもとづく給付付き税額控除を訴えました。これは、少なくとも2007年くらいから民主党がずっと言っており、子ども手当、扶養控除廃止、マイナンバー法まではできました。8年経っても、この旗を立て続けるわけです。「所得控除の廃止と所得制限のない子ども手当の新設」について、説明できなかった民主党衆議院議員が与党期にたくさんいました。そのほとんどはすでに政治生命を絶たれましたが、なおも国政復帰を目指しているのならば、今回の確定申告も利用して、猛勉強し、説明できるようにならねばなりません。

 財政健全化のプライマリーバランス2020年度黒字化についても問いました。岡田さんは、国会の関与を求めています。

 続いて、「積極的平和主義」について質問しました。これに対する総理の答弁を先に書きます。総理は「積極的平和主義は能動的な平和外交だ」としましたが、昨秋の日米防衛協力のための指針いわゆるガイドラインの再改定の中間報告に、「米国のリバランス政策と日本の積極的平和主義は整合する」とあります。ということは、これは軍事です。総理の答弁はまったくの間違いです。また、総理が集団的自衛権行使の具体的事例として挙げた2番目のホルムズ海峡の機雷除去について、「停戦後の」と言わなかったと思います。後で精査しますが、停戦前の機雷除去は、(敵国や敵対する国に準じる勢力から見たら)武力の行使です。日本国憲法第9条第2項の「国の交戦権はこれを認めない」規定との整理は「7・1閣議決定」をもってしても、不明確でしょう。この答弁は、NSCが書いているのか、防衛省が書いているのか。いずれにせよ、ツッコミどころが多く、会期末まで十分に攻撃の対象となる答弁を得られたと考えます。

 岡田質問に戻って、戦後70年に戻りました。憲法について、安倍総理がGHQが8日間でつくったものだと、総理就任前のインタビューで答えたことについて、岡田さんは右人指し指を振り上げながら、「総理大臣が憲法をさげすんでいる」と批判しました。ひな壇の安倍さんは珍しく顔を上げて、岡田さんを見ました。「撤回を求める」と語りました。

 なお岡田さんは「耳ざわりのいい」という言葉を使いましたが、これは「耳あたりのいい」であり、岡田さんは政治家の中でも相対的に思い込みが強いタイプなので、このような誤用がありがちなのです。

 そして、「参議院の選挙制度について、来夏の参院選に間に合うよう自民党は案をまとめるべきだ」と批判すると、なぜか衆議院自民党の野次が最大になり、岡田さんは黙って挑発しました。私も参議院の体たらくには、徐々に徐々に怒りの限界が近づいてきており、合区ではなく、西岡私案9ブロック制に戻して、6月までに公職選挙法改正をしなければ、参議院議員は皆殺しにしていいとすら、思い始めました。

 まあ、きょうの岡田質問演説を、日本全国の295選挙区で、240人以上の民主党公認候補が、しっかりとかんでふくめるように説明できるようになるだけで、政権は再びとれると感じました。これは率直にそう感じました。岡田さんが永年在職表彰を受けないのはショックだったのですが、見事なまでに、代表質問演説ということで、現役ぶりを発揮しました。ちなみに、岡田さんは「特典がないから辞退した」のですが、たぶん、今後もマスコミ、インターネットなどで「特典があるから辞退した」と誤解されるんだろうなと感じます。

 私は、岡田さんより21歳若いのですから、しっかりと目を光らせて、あやまちをただしていきたいと考えました。

一度ならずも二度までも、政治改革4法案を廃案にしようとした、1993年6月15日夜の自民党臨時総務会を封鎖しようとした岡田さんは、僕にとっては、ウルトラマンに見えました。それから22年。なおも現役。 

 政権交代ある二大政党政治の新しい出発の日になったと思います。さわやかな気分です。

 ◇

 維新の党の江田憲司代表は、金融庁がメガバンクに行う厳しい検査を、JAバンクにも行うよう求めました。これについては、衆議院民主党は、JA、あるいは農政連の共同支援や、単独推薦を受けている議員が多いため、踏み込めませんが、江田維新の取り組みを応援したいところです。

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10年ぶりに代表質問演説に岡田克也さんが登場 きょう午後1時 2020年は池田勇人になれ!

2015年02月16日 06時54分29秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

写真、2005年は、江田五月さんウェブサイトから拝借、2010年は当ブログ内の衆議院インターネット審議中継スクリーンショット、2015年は、民主党ニュースから一部トリミング、2020年の池田勇人さんの写真は、首相官邸ウェブサイトから。

 きょう2015年2月16日(月)は、午後1時10分から、責任政党・民主党の代表(ネクスト総理、The Opposition Leader)である、岡田克也さんが代表質問演説に立ちます。

 岡田さんの代表質問演説は第162回通常国会の政府4演説に対する質問以来、10年ぶり。

 本会議での演説(答弁除く)は、2010年の第174回通常国会の政府4演説以来、5年ぶり。

 2005年の代表質問では、再質問、再々質問をしましたが、再質問の後、本会議が2時間中断しました。最近は再質問、再々質問をめぐって混乱しても、本会議は休憩にせず、議場内交渉ですべて済ませる慣例が続いており、きょうの中断はない見通し。それに代わり、岡田さんは、今週の木曜日から来週の月曜日までに開かれる、衆議院予算委員会の基本的質疑1日目でも質問し、本会議での安倍首相の答弁漏れを徹底的に追及するかまえ。

 2005年は代表質問、2010年は政府4演説、2015年は代表質問。

 そして、2020年は、初代宏池会会長の池田勇人総理のように、ぜひ、東京オリ・パラを日本丸の船長さんとして指導し、政権交代ある二大政党政治を、ともに実現したいものです。

 さあいよいよ、きょうからが、政権交代ある二大政党政治を日本に根付かせる、本当のスタートの日となります。