(このエントリーの初投稿日時は2015年2月21日午前11時)
政府は平成27年2015年2月20日(金)、「女性の職業生活における活躍推進法案」など13法案を衆議院に提出しました。これで、第189回通常国会提出の閣法(内閣提出法案)は合計20法案となりました。
このうち、補正予算に関連した総額を上書きした「改正地方交付税法」 (議案番号は189閣法1号)はすでに成立して、天皇陛下が公布し、平成27年法律1号になっています。
残りの19法案はまだ審議入りしていません。
政府が20日提出した13法案は次のとおり。
なお、ことしも筆者自身が表現ぶりを考えた法案名で、このブログでは書いていきます。正式名称は、議案番号で、Google検索をしてもらえば、分かると思います。
「女性の職業生活における活躍推進法案」(189閣法8号)は第187臨時国会で衆議院解散により審議未了廃案になったものです。すでに内閣官房ウェブサイトで、全文公開されましたが、内容はたぶん全文同じようです。301名以上の企業に女性の管理職登用などの事業主行動計画の作成を義務付けるもので、「輝く女性」の増加につながります。公布日に施行しますが、事業主計画は2016年(平成28年)4月1日施行。もともとこの国会をめざして準備されていましたが、安倍首相側近の塩崎厚労相がせかして、昨秋提出。10月31日(金)に衆議院本会議で趣旨説明と代表質問、11月7日(金)に衆・内閣委員会で趣旨説明されました。21日(金)に解散・廃案となり、ていねいに報道していた朝日女性記者が落胆したと記事に書いていましたが、もともときつい日程でした。
「駐留軍用地跡地制度を新設する沖縄駐留軍用地特別措置法改正法案」(189閣法9号)は、跡地も公有地として知事が指定することができ税制上の優遇措置も盛り込まれています。これもすでに公開されました。この法律案は、普天間基地返還後に、軍用地主から公有地地主へと転換していくための便宜を図る法律案だろうと思われます。審議で明らかになると思います。
「高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法を廃止する法案」(189閣法10号)は、地デジ移行にともない、テレビ局の設備投資費用を国が支援していた法律を廃止するものです。
「在外公館位置・給与法案」(189閣法11号)は、まだ外務省ウェブサイトで公開されていませんが、毎年、予算関連法案として外務委・外交防衛委で処理されています。
「緑の気候基金への拠出法案」(189閣法12号)は、国際機関への出資の話で、これも外務省が提出した法律案だと考えられます。外務省が法律案を複数提出する国会は異例。
「株式会社日本政策投資銀行法改正案」(189閣法13号)は政府系金融機関の民営化を先送りする法律案です。予算書に附属する財政投融資計画をみると、新規融資は減少していますから、あまり目くじらを立てずに、政府系金融のソフトランディングを考えていけばいいと考えます。附帯決議も大事かも。
「スポーツ庁を新設する文部科学省設置法改正案」(189閣法14号)、「五輪相を新設する2020年東京オリ・パラ特措法案」(189閣法15号)、「2019年ラグビーワールドカップ特措法案」(189閣法16号)。おそらく3案一括での審査になるでしょうが、「オリ・パラ」と「ラグビー」は187臨時国会で衆議院を通過し、参議院で解散により廃案になっていますので成立は確実でしょう。かなり気の早い話ですが、五輪相(2021年3月までの時限立法)ができた際には、昨年の通常国会の教育委員会改革で縁の下の力持ちとなった、遠藤利明さんの就任が有力視されているようです。
「株式会社商工中金法改正案」(189閣法17号)も政府系金融機関の民営化(株式公開)を先送りする法律案です。野党のしっかりと出口を見据えて骨太の議論をしてほしいところです。
「水防法改正案」(189閣法18号)は、衆議院調査局の資料によると、自治体が日本下水道事業団に職務の代行を頼める法案のようです。現在も自治体から同事業団には大量に職員が出向していますので、下水道の広域運用が期待できそうです。
「地域公共交通の活性化および再生に関する法律および独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法の一部を改正する法律案」(189閣法19号)は、最近はやりの、2つの現行法を1本で改正する法律案です。衆議院調査局の資料によると、旧鉄建公団が出資しやすくなる法律案のようです。
「特定防衛調達に関する国庫債務負担行為により支出すべき年限に関する特別措置法案」(189閣法20号)。これは、昨秋の臨時国会にも提出されましたが、審議入りせずに廃案。今回は予算書にすでに、純国産哨戒機の「P1」(ピーワン、防衛省開発、川崎重工業製造)の調達(7年間で20機)が盛り込まれており、その裏打ちとなります。「公布日に施行」となっているので、日切れ指定、※(こめじるし)法案だと思います。防衛省のウェブサイトによると、417億円の節約になるとしています。財政法の特例措置となります。閣議決定文書「中期防」で23機の調達が計画されており、現行の3機に加えて、7年で20機調達しますが、現在のP3C(ピースリーシー)が70機あることから、将来的にはさらに50機近い調達になっていくと考えられます。もちろん哨戒機は、パトロール飛行機であり、島国日本の専守防衛に資する、平和主義を担保するためにも必要な装備です。とはいえ、その調達コストと国庫が川崎重工業に対して7年間の裏保証をすることが妥当かどうかも含めて、「安保国会」の前哨戦になると考えられます。なお、予算書では「防衛装備庁新設」がすでに盛り込まれていますが、報道によると、この発足は10月1日を予定しているようで、法律案は時間差で提出されると思われます。民主党の岡田克也代表は13日の記者会見で「防衛調達は今までも度々、問題になってきています。事件に発展したものもあります。そういうところについてしっかりとチェックできるような体制が確立されているかどうかということが非常に重要で、調達額が大きいわけですから、そういったところが一つの論点ではないかと思っています」と語りました。
20日提出以外では、「福島復興再生特別措置法案」や、年次税制改正法案、関税法改正案、それと条約の国内実施法案(船舶の所有者の責任金額の引き上げ)を政府が提出しており、まもなく審議入りすると考えられます。議員立法では平成6年政治改革4法のうち、政党助成法、政治資金規正法、公職選挙法の3つに関する提案や、歳費法に関する提案が法律案として提出されています。「労働者派遣法改正案」や「ホワイトカラーエグゼンプション・高度プロフェッショナル制度を新設する労働基準法改正案」はまだ提出されていません。
このほか、「官民ファンドの新設法案」、「民法改正法案」も3月までに提出される予定で、5月以降の「安全保障の再整備法案」「農協法改正案」よりも前に意外と忙しい前半国会になりそうです。おそらく統一地方選休みは無いと考えられますが、さしかえ委員も含めて、ていねいに長期的視野で議論することができる、第189通常国会になるのではないかと期待しています。
tag (宮崎信行)
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