[写真]民主党の岡田克也代表、2015年2月6日(金)、民主党本部、筆者(宮崎信行)撮影。
民主党の岡田克也代表(ネクスト総理)は2015年2月6日(金)の定例記者会見で、安倍晋三首相(自民党総裁)が同週の衆参第一委員(会)室審議で、「自衛隊の海外派遣の恒久法制化を図る」と答弁し、来週金曜日から自民党と公明党の与党協議会が開かれることについて、
「自衛隊の海外派遣の恒久法をつくるべきだということは、自民党がずっと言ってきたことで、
いよいよ出てきたなという感じだ」
と述べ、受けて立つ構えを示しました。
岡田さんは「自民党政府は、後方支援は武力行使ではないので憲法に違反しないという説明をしているが、(7月1日の閣議決定は)武力行使の現場でなければ後方支援ができるということになっており、今までとは一線を画している」として、「質的に変わるんだろうと思う」と語りました。
7月1日の閣議決定が後方支援地域を非戦闘地域ではなく、現在戦闘行為が行われていない「現場」ならば問題ないとしていることを踏まえたものです。なお、恒久法であるか、特別措置法であるかという論点への考えは示しませんでした。
岡田さんは1999年通常国会のガイドライン特別委員会(山崎拓委員長)で、1997年日米防衛協力のための指針(いわゆるガイドライン)の国内法への落とし込み作業である、「周辺事態法」など有事立法を、当時2期生の前原誠司筆頭理事、畑英次郎委員らと一緒にやりました。そして、2001年の臨時国会で、「9・11テロ特措法」特別委員会(加藤委員会)で、野党筆頭理事として、玄葉光一郎、枝野幸男両委員らと、政府原案にあった「基本計画は遅滞なく国会の承認を得る」を「20日以内に国会の承認を得る」に修正させた(岡田修正)張本人です。この後、党幹事長時代に「イラク特措法」でも陣頭指揮にあたっています。
岡田さんは、第47期衆議院ですべての野党議員の先陣を切って、質問主意書(第188衆質第1号)を出し、最大野党党首への意気込みを見せましたが、これへの答弁書で、第3次安倍内閣は、7・1閣議決定について、イラク特措法の「非戦闘地域」とは違い、将来的な停戦の見通しは必要のない「現場」に海外派兵ができると受け取れる答弁書を決定しています。
【追記 2015年2月9日午後10時】
記者会見の記録は以下のとおり。
○自衛隊の海外派遣について
【フリーランス・宮崎記者】
来週から与党の安保法制に関する協議会が再開すると言われている。この中で今論点に出ているのが、自衛隊を後方支援で派遣する場合に恒久法であるべきか、特別措置法であるべきか、そして国会への報告、これについてどのようにお考えか。
【代表】
恒久法を作るべきだというのは自民党が昔から言っていることで、そのこと自身はいよいよ出てきたかという感はありますが、恒久法でやるということの問題と、ある意味でそれ以上に大きいのは後方支援というか、「これは武力行使ではないから憲法違反でない。したがって、できるのだ」という総理のご説明なのですが、その範囲が「現に戦闘行為が行われていない現場」であれば自衛隊は出ていって後方支援ができるというものでありますので、前の国会でも私は指摘いたしましたが、かなりのところまで自衛隊は出ていくのだと。今までは一線を画していた、「将来にわたって戦闘行為が行われない」、そういうところしか行けなかったわけですが、現に行われていなければいいということになりますと。しかも「地域」ではなくて「現場」という言葉を使っていますので、昨日ドンパチやっていても、今日はいいということになりかねないわけです。それは相当、質的に変わるのだと私は思います。そういうことも含めてしっかりとした議論が必要だろうと思っています。
【追記おわり】