【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

自衛官の定員増を自民党がはじめて公約に明記 戦争法・ガイドラインによる戦死者増みすえて

2016年06月16日 20時12分08秒 | 第24回参院選(2016年7月)

 自民党の第24回参院選の公約(第2部自民党政策BANK)に、自衛官の定員増が明記されました。

 おととし7月1日の切れ目のない安保法制の解釈改憲、きょねん4月の切れ目のない日米防衛協力のための指針いわゆるガイドライン再改定、今年3月の安保法(戦争法)により可能になった、日米共同軍事作戦による集団的自衛権行使での戦死者・戦傷者の増加が見込まれることに対応したものと観測されます。

 自民党は政権交代に成功した、平成24年2012年の第46回衆院選公約で、

 「防衛力を質、量ともに見直し、予備自衛官を含む人員と予算の強化を図るべく、民主党政権で策定された防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画を見直します」

 と明記。

 政権獲得後の平成25年2013年の閣議決定文書である、中期防、中期防衛力整備計画(平成26年度から30年まで)では、

 「技量、経験、体力、士気等の様々な要素を勘案しつつ、精強性を維持・向上する」

 とうたいながらも同時に、

 「厳しい財政情勢の下で人材を効果的に活用する」

 としました。その手段としては、女性の活用、再任用、予備自衛官の活用のほかに

 「政府の一員として各種事態等に柔軟に即応できる人材を十分に確保する」

 とした苦肉に満ちた文章も挿入されました。

 今回、自民党自ら「タガ」が外れたようで、第24回参院選の公約に

 「自衛隊の人員・装備の増強など防衛力の質と量を拡充・強化し、統合機動防衛力の構築をめざします」

 とし、人員増を明記しました。

 先の国会では、厚労省政府参考人が民進党の質問に答えて、

 「先ほども申しましたような所掌事務の経緯に基づきますと、戦傷病者あるいは戦没者あるいはその遺族という者につきましては、さきの大戦の終結までのものと認識してございます」(3月23日の衆・厚労委)と答弁。今後の戦死者への弔慰金・恩給が法整備されていないことが明らかになりました。

 自民党第24回参院選公約では

 「隊員の名誉や処遇の向上にも引き続き取り組みます」

 とも書いてあり、戦死者の処遇の法制化も図る方向性になります。

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