先々月、平成28年2016年7月31日(日)に当選した小池百合子新・東京都知事は、東京都中央卸売市場の東京都中央区築地から、東京都江東区豊洲への移転に関して、豊洲の旧東京ガス工場で、2メートルを掘り土壌を入れ替えて、さらに2メートル半盛り土(被覆)をするとした計画について、食品を扱う建物を含めて、まったく盛り土がない部分があると明かしました。(「「盛り土なし」設計当初から 都、豊洲市場の汚染対策」)
富山市議会での政務活動費不正受給問題と、東京都庁・都議会の数千億円という莫大な不正が明らかになり、「かなり驚いた」という地方政治不信が募っています。
この、「2メートル土壌を入れ替え、その上に2メートル半盛り土をする構想」について、環境大臣が「土壌汚染対策法の適用前だ」としながらも、適用後ならば「50センチの盛り土をすればいい」とお墨付きを与える国会答弁をしており、まったく「ゼロ」の今回の事例だと、仮に適用後ならば、法律違反であることが分かりました。
これを私がこの国会傍聴記を始めるひとつ前の会期である、第166回通常国会の答弁です。私は当時、かなり国会をよく聞いていましたので、この答弁はよく覚えていました。
平成19年2007年2月13日(火)のテレビ入り衆議院予算委員会。
阿部知子衆議院議員の質問に対して、若林正俊環境大臣は
「これは土壌汚染法の適用前の事業ですから法律の適用がありませんが、実は土壌汚染法上の、もし適用されるとすればどうかとすれば、実は五十センチメートル以上の被覆によって安全であるということを中央環境審議会等の専門家の意見を踏まえて決めているところでありまして、今進行しております四・五メートルの土壌の入れかえとアスファルトの被覆によりまして、ほぼこの問題は、安全上の問題はないという判断をいたしております」
と答弁しています。
ですから、環境大臣は2メートル半どころか、50センチでも大丈夫なんですよ~~と答弁したわけですが、実際はゼロセンチだからたぶん問題あるのでしょう。
東京都庁の情報管理の問題が、結果的に、国政で、若林さんが誤った答弁をしたことになってしまいました。若林さんは国会議員は引退したもののご健在でいらっしゃいますが、今さら議事録の修正もできないでしょう。情報公開のルール作りの大事さを感じます。
[国会会議録データベースから引用はじめ]
第166回国会 予算委員会 第7号
平成十九年二月十三日(火曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 金子 一義君
(中略)
○阿部(知)委員 何度も示しますが、こんなことをしていたらそうならないんですよ。本当に、消費がどうやって上向いていくか真剣に考えていただきたい。今の総理の答弁は何かわけわかんない、本当に。真剣味がないですよ、申しわけないけれども。私は、まだ一生懸命言う尾身大臣の方がその分真摯だと、申しわけないけれども、思いますよ。これは間違っているんですから。
次に行かせていただきます。個別の問題に入らせていただきます。
実は、もう総理も御存じかもしれませんが、現在非常ににぎわいのある築地の市場が、平成十八年度から移転計画が既にオンゴーイング、始まっておって、埋立地である豊洲、元東京ガスの跡地に移転が計画されております。
ところが、この豊洲という地域は、もともと埋立地であるばかりか、東京ガスの調査によりましたらば、さまざまな有害物質が出るわ出るわ。こんなところに、例えば砒素、砒素なんてあっても困りますよね。聞いても恐ろしい。超過倍率というので四十九倍。あるいはシアン、これは、ゼロでなくてはいけないものが四百九十。そしてベンゼン、有機溶剤、千五百。どれを見ていただいても、ぎょっとするような値なのであります。
さて、皆さんのお手元にも配ってありますので、しっかりここを見ていただきたいですが、このような汚染地に大事な食の安全をつかさどる築地中央市場が移転するといいます。農水大臣松岡さん、お伺いいたします。果たして安全でしょうか。一問です。
○松岡国務大臣 お答えいたします。
先生の御指摘のとおり、築地の市場が老朽化し、手狭だ、こういったことから豊洲の方に移転の計画がある、そのように承知をいたしております。主体は東京都が行うわけでございますが、今先生が御指摘の点につきましても私ども承知をいたしております。現在東京都が環境影響評価を行っておる、こういうことでございまして、これは十分私どもしっかり見守りながら確認をいたしたい、こう思っております。
そして、先生これは御指摘のとおりでございまして、間違っても、東京都民はもちろんでありますが、国民の食生活にとって、安心、安全にとって、これは一番健康、生命にも重大なかかわりを持つ問題でございますから、私ども、先ほど申し上げましたように、科学的見地に立って、十分万全な基準をクリアできる、そういったことをしっかり求め、確認をしてまいりたい、このように思っているところでございます。
改めて申し上げますが、本当にこれは重大な関心を持って私どももしっかり対応してまいりたい、このように思っております。
○阿部(知)委員 では、環境大臣にお伺いいたします。
私は、一点目、地球温暖化問題を取り上げましたが、土壌汚染問題あるいは地下水の汚染問題も極めて深刻になっております。日本が高度経済成長期にいろいろな工場ができ、そこが、工場が立地されたところは土壌が汚染されております。
今、この築地のこれまでの調査、築地移転にかかわる豊洲の調査は、実は二〇〇三年に土壌汚染対策法が成立する以前の基準にのっとった検査しか行われておりません。どういうことかというと、汚染状況を調べるのに、十メートル、十メートルの百平米で調べるのか、三十メートル、三十メートルの九百平米で調べるのか。九百平米でしか調べてございません。土壌汚染対策法も、そもそもまだまだ予防原則にのっとっていなくて問題があります。地下水の汚染もなかなかこれでは防止できません。
ただしかし、私がここで環境大臣にお伺いしたい、あるいはお願いしたいのは、この築地の市場というのは、先ほど松岡農水大臣もおっしゃられました、日本全国の国民の食の台所でございます。であるならば、きちんとした、環境省が安全だという宣言をしていただいて後です。地方自治の問題だけではないと私は思っております。日本全国の国民にかかわります。
特に私が非常に懸念いたしますのは、地球温暖化の中で海面の水位が上がってくると言われています。豊洲には、大臣、行かれたことはありますか。同じ高さなんですよね、豊洲の予定地と海面は。地球温暖化して水面が上がってくる、あるいは地熱で中が温まれば、ベンゼン等々は上に出てまいります。幾らアスファルトで囲っても、この亀裂の中から出てくるものが当然予想されます。
地球温暖化の影響も加味して環境省として安全宣言を出すとすれば出していただきたいが、いかがでしょうか。
○若林国務大臣 阿部委員が御指摘のように、東京都の設置管理しております築地市場が豊洲地区に移転をするという計画のもとに、いろいろ事業が進められております。その移転先であります豊洲地区の所有は主として東京ガスでございますが、東京ガスが長年にわたって事業用地として使用した結果としてその地区の土壌が大きく汚染をされているということは、御指摘のとおりでございます。
そこで、その土壌の汚染を解消しなければ、心配ない状態にしなければ新しい土地利用というのは適当ではない、このように考えるわけでございますが、現在、この豊洲の市場予定地では土壌汚染対策が積極的に講じられております。この土壌汚染対策の考え方は、汚染土壌のあるところについては、二メートル掘り下げて、全部その土壌をクリーンにします。その上にさらに二・五メートルの土壌を積み重ねます。したがって、四・五メートルの汚染されていない土壌を置きまして、その上にアスファルトを敷くということになっています。
一方、これは土壌汚染法の適用前の事業ですから法律の適用がありませんが、実は土壌汚染法上の、もし適用されるとすればどうかとすれば、実は五十センチメートル以上の被覆によって安全であるということを中央環境審議会等の専門家の意見を踏まえて決めているところでありまして、今進行しております四・五メートルの土壌の入れかえとアスファルトの被覆によりまして、ほぼこの問題は、安全上の問題はないという判断をいたしております。
○阿部(知)委員 結論だけ端的にお願いしたかったのですが。
そういういろいろな理論に基づいて、大阪のアメニティパークでも実際に埋立地等々の土壌汚染の問題が起こり、今大変に係争中であります。何度も申しますが、食の安全、環境対策から環境大臣がそんな姿勢では、本当にこの先、日本は真っ暗けです。
(後略)
[引用おわり]
2016年、宮崎信行。