ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

鳩山スタンディングオベーション斉藤進さん「安倍スタンディングオベーションは自衛官の子として残念、出征兵士を見送るよう」

2016年09月30日 21時43分53秒 | 人物

 今週月曜日(平成28年2016年9月26日)の衆議院本会議で、安倍晋三首相が、自衛官らに向けて拍手を促し、与党・自民党議員がスタンディングオベーションをしたことについて、前回の鳩山スダンディングオベーションを促した、元民主党衆議院議員で、会社員の斉藤進(斎藤進)さん(45歳)は

 「なにか出征兵士を見送るようだった。私の父親は航空自衛官だったから、何かあったら覚悟するように言われていた。自衛官とその家族は不安になったのではないか。これからは自衛官になる人がいなくなってしまうのではないかと懸念している」と語りました。

 筆者・宮崎信行のインタビューに答えました。

●元航空自衛官の父から「何かあったら行くから」

 斉藤さん(斎藤さん)は自身の父親が防衛大学校4期生で、元航空自衛隊の斎藤芳信元1佐であり、自分は自衛官の子供だと明かしました。

 斉藤さんは基地から返った父親に「何かあったら年寄りから行くから」とし、有事の際は、年寄りすなわち幹部、である自分から近隣の海外に派遣されるので、覚悟するように言われていたとしました。

●安倍スタンディングオベーション、「出征兵士を見送るよう」

 斎藤さんは、「安倍スダンディングオベーション」を見て、

 「なにか出征兵士を見送るような雰囲気だ。現役の隊員やその家族は不安になったのではないか」と懸念。

 「父の時代は、お国のために命を落とすことはあっても、地球の裏側に送られてアメリカの戦争に付き合わされるという懸念はなかった。これからは、自衛官になる人がいなくなるのではないかと心配している」と国の未来を案じました。

●自衛官の子供だと日教組に殴られた少年時代も、1970年代で止まっている安倍さんの認識とは違う

 斎藤さんは、日教組の教師から「日陰者の子供だ」と自衛隊官舎住まいの同級生だけ殴られる理不尽を経験。その後、同じ経験をしている友人の存在を仲間内の会報で知り、その父親は、自衛官トップの統合幕僚会議議長をつとめた佐久間一さん(海将・防大1期生)だと知りました。この体験が社会を変えるために政治を志すきっかけになった、としました。

 日教組に対する思いでは、「安倍さんの場合は、1970年代の認識で止まっているのではないか」と違和感を示し、感覚は共有していないとしました。

●現在は会社員

 斎藤さんは、東京都小平市議を経て、2009年8月に静岡8区から初当選。その後、2012年12月に議席を失い、半年間の就職活動の後、中央大学辞達学会(弁論部)の先輩にあたる、宮崎岳志さん(現在は衆議院議員に復帰)の幼馴染が経営する医療ツーリズム関連会社に就職。

 国政の選挙区(母親の出身地)、市議を務めた小平市のいずれでもない、東京都内の市(奥さんの出身地)で暮し、働いています。現在は営業部に勤務。斎藤さんは、営業に回っていて、「元議員ですよね?」と言われたのは、東京大学訪問時だけだったと苦笑い。「元議員」の肩書は強みにならないが、だからと言ってマイナスにもならないとしました。

●鳩山スタンディングオベーションの真相

 斎藤さんは小平市議会議員時代に、企業が障害者を雇い入れた後に解雇する事案が複数発生したことを取り上げました。衆議院議員として最初の本会議演説で、首相(所属政党の党首)が障害者施策に言及したことに、感動して思わず立ち上がったら、与党内全員が立ち上がりスタンディングオベーションになったと真相を話しました。

 その後、市議時代の議事録を読んだとして、同じような経験をした人が斎藤議員室を訪れたこともあったそうです。

 初当選同期議員の活躍に対する複雑な思いはまったく無く、「先輩の山井和則さんら、同期の初鹿明博さんらにがんばってほしいし、同期の玉木雄一郎さんも最近は財務省寄りからやや軌道修正してくれたので、期待している」としました。

 このエントリー記事の本文は以上です。

 2016年、宮崎信行。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

27年ぶり自民党単独過半数の衆予算委で基本的質疑、農相は「米調整金を調査するが時間かかる」[きょうの国会]

2016年09月30日 17時41分00秒 | 第192回臨時国会(2016年9月から12月まで)条約・カジノ再延長国会

【平成28年2016年9月30日(金)衆議院予算委員会】

 平成28年度第2次補正予算案の審議は2日目。

 基本的質疑の1日目で、国会中継されました。

 自民党が27年ぶりに衆参単独過半数、蓮舫民進党発足、第3次安倍第2次改造内閣が発足してから、初めての第1委員室となりました。

 民進党の福島伸享さんと緒方林太郎さんは、TPP条約の承認を求めるの件(190条約8号)とTPP条約国内実施・対策法案(190閣法47号)について。

 現行の自由貿易条約により日本が一定量を輸入しなければならない「MA(ミニマム・アクセス)」であり、政府と商社が協力するSBS米について、調整金とされるリベートが存在しており、これにより、TPPの交渉で目安となった金額が違うのではないかと、民進党が連日調査チーム(福島座長)で追及している件が問いただされました。

 山本有二・新農相は、「SBS入札で調整金があったことを平成26年10月に知った」と答弁し、初めて疑惑を認めました。そのうえで、「調査をしっかりやる」と確約。ところが、「任意の調査なので時間がかかる」「(全取引を調べる)悉皆(しっかい)調査をする」と答弁。たびたびの答弁で、「この話はA社とB社の取引のうち、B社が逮捕され家宅捜索された後の訴訟の中で出てきた話であり、訴訟は継続中だ」などとしました。要するに、TPPの国会審議前に調査結果を出すつもりはない、ということを言っていることになります。

 長老不在の民進党なので、手間取りましたが、最後は緒方さんが「(補正の)採決の前に出せ」と迫ったところ、山本農相は補正には必要ないとしながら、「TPPの審議に必要なものは出したい」と語りました。

 SBS米問題は、自民党の竹下亘国会対策委員長も「私が野党ならあばれる」という趣旨の発言をしたと報じられています。おそらく、竹下先生や山本農相らも、TPPをやりたくないんでしょうが、こういう老獪なやり方で、TPPの1カ月以内での衆院通過をねらってくる国会となりそうです。

 これに先立ち、辻元清美さんと後藤祐一さんが、国連の要請にもとづき、内閣府経由で自衛隊が、11月に新しい部隊が行く、アフリカ・南スーダンのPKO(国連平和維持活動)について質問。辻元さんはNPOの情報として、首都ジュバの「UNハウス」は、反政府(副大統領)軍が制圧しており、それを、政府軍(大統領軍)が攻撃しているとの現状を披露。なので、仮に平和安保法制で解禁された、集団安全保障のための停戦時PKOによる、駆けつけ警護を発動する場合、我が国自衛隊が、政府軍と対決してしまう可能性を示唆。

 辻元さんは安倍首相に対して、仮に駆けつけ警護を解禁し、南スーダンで不測の事態が起きた場合には、内閣総理大臣の進退をかけるよう、求めました。なお、辻元さんの答弁に対する政府参考人として、統合幕僚監部総括官が答弁。この人は統幕ですが、旧防衛庁入庁の内局のようです。ただ統幕が答弁したのは私は記憶にない気がします。今後の自衛隊派遣の対処基本方針の国会審議では、統幕が迅速で率直な情報を開示してほしいところです。 

 後藤さんは稲田朋美防衛大臣の南スーダン・ジュバ視察の後、11月前に、衆議院予算委員会を開くよう、委員長に求めました。

 細野豪志さんは、蓮舫ネクスト内閣のネクスト副総理ですが、「民進党は先の通常国会で87%の法案に賛成しており、対案を42本提出している」と語りました。これらのことがまったく語られず「批判より提案」と蓮舫代表が言い続けていることに、私は強い怒りを感じていました。ただ、細野さんは「国民からは、批判ばかりの政党と思われているのは事実で、私どもも反省しなければならない」とし、現状を肯定しながらも、伝え方が下手な、民進党を蓮舫代表を先頭に変えていきたい姿勢をにじませました。

 細野さんは、「パリ協定の審議に民進党は協力します」としたうえで、「パリ協定の批准をCOP22前に間に合わせるべきだ」と「提案」しました。米中の批准方針表明により、発効は確実視されていますが、今後、「パリ協定の条約承認を求めるの件」(未提出)をCOP22前に承認しないと、政府代表団の片身が狭いという官僚の事情にも思いを寄せたものだと感じました。

 もう1年経ったのだなと思う、COP21の時の環境大臣だった丸川珠代さんは、五輪相に横滑りしましたが、上下真っ白なパンツスーツで臨んでおり、ああいうのを着こなせるのは、丸川さんか、蓮舫さん、男性では石井一先生しかいないので、すごいなあと感じました。

 午前中は、台風10号に関係して、武部新さんや、自公の政調会長が質問。公明党は「給付型奨学金に加えて大学授業料を安くすべし」と語り、来年度予算案にかけて、国会内外で大きな関心を呼ぶ政治課題に浮上しています。

 週明け、10月3日(月)にも基本的質疑があります。ただ、これが今年最後のNHK入り衆予算委になるかもしれません。

【平成28年2016年9月30日(金)参議院】

 審議はありません。

【平成28年2016年9月30日(金)付官報】

 「日独租税協定」が平成28年9月30日条約13号として、天皇陛下から公布されました。国会では「190条約4号」の議案番号で、自公民維の賛成多数で承認されていました。

 「日印租税協定」はその「改定議定書」が公布されました。

 「刑事訴訟法を改正する法律」(28年法律54号)の附則第1条第3項が定めた改正条項を、平成28年12月1日(金)に施行する、という政令が公布されました。附則第1条第3項が定めた条項が、本則中のどの条項かは、私は分からないので、関係者の方はご確認ください。


このエントリー記事の本文は以上です。

(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
(http://miyazakinobuyuki.net/)

[お知らせはじめ]

宮崎信行の今後の政治日程(有料版)を発行しています。

このブログの最新の記事は、宮崎信行公式ホームページでも読めます。

「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い 

このブログは以下のウェブサイトを活用して、エントリー(記事)を作成しています。

衆議院インターネット審議中継(衆議院TV)

参議院インターネット審議中継

国会会議録検索システム(国立国会図書館ウェブサイト)

衆議院議案(衆議院ウェブサイト

今国会情報(参議院ウェブサイト)

各省庁の国会提出法案(閣法、各府省庁リンク)

日本法令索引(国立国会図書館)

予算書・決算書データベース(財務省ウェブサイト)

インターネット版官報

[お知らせおわり]

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする