[画像]岡田克也さん、2018年1月25日、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。
岡田克也さんが「民主党代表・ネクスト総理」になってから3年5カ月。たった3年5カ月間、いったいなんだったんだ。この3年5カ月間に代表選前倒しをもくろんだのが、現在の肩書では、玉木雄一郎希望代表、逢坂誠二・予算委筆頭理事、江田憲司衆議院議員らです。肩書きは上がっていますから、本人たちには良かったんでしょうが、なぜ腰を落ち着けることができないのか。私はこの3年5カ月間の彼らの彼女らの振る舞いは国益に反すると考えます。まあ、もうどうにもならないや、といったところです。
【衆議院本会議 平成30年1月25日(木)】
政府4演説に対する代表質問の最終日が終わりました。
前回の代表質問は、特別国会が急きょ延長されたことから、11月20日と21日に行われていました。きのうの、立民、自民、希望に続き、きょうは、公明党の井上義久幹事長、無所属の会の岡田克也さん、共産党の志位和夫委員長。そして、維新は今回は下地幹郎さんが質問しました。自民党は合計1名だけでした。
井上さんは、「リカレント教育の充実など働く人の立場に立った政策が必要だ」とし、雇用保険料が財源となるリカレント教育を推進。第48回衆院選での議席減をもたらした集団的自衛権については「専守防衛を守り、日米は盾と矛の関係だと確認したい」と語りました。安倍晋三首相(自民党総裁)は、「誰もが活躍できる一億総活躍社会を実現する。猛烈社員がもてはやされる社会は根底から変えないといけない」と語りました。また、「高校の無償化を実質的に実現するために、2020年度まで公費負担を大幅に引き上げる」と答弁し、自公から拍手を浴びました。8年前は高校授業料無償化(k)をバラマキ4kと呼んでいた自公が様変わり。集団的自衛権について、首相は「日米間の基本的役割については、今後もいささかも変わらない」と答弁しました。「基本的」と強調したのが気になるところです。
岡田克也さんは、(1)財政健全化(2)原発輸出(3)憲法の平和主義(4)核不拡散(5)女性宮家(6)首相の資質ーーについて聞きました。無所属の会ということもあり、先の特別国会とは質問項目が変わりました。財政健全化について、私は最近財務省の洗脳が解け、歳出や減税を、GDPにおける家計セクター・企業セクターの流動性増加ととらえるべきだと考えており、岡田先生とは考え方が乖離しつつあります。ただ、岡田さんは民間セクターについての言及こそありませんでしたが、「主要国が金利を引き上げる中、日本だけがゼロ金利を続けられる訳がなく、今のうちに歳出改革を始めるべきだ」と語り、ものづくり補助金が0・1兆円盛り込まれた予算案を問題視。この点は一致します。
エネルギーをめぐっては、立民、希望で考え方の違いが明確になりましたが、岡田さんは「私は原発の新増設はいっさい認めない考え方だ。そうすれば、近い将来、原発はゼロになる」としました。この点は、私もまったく同じ考えです。また、岡田さんは3・11で閣外でしたが、「与党幹事長として経験した。悲劇を繰り返してはならない」と7年経って、政権幹部の一員だったことを自ら言及しました。
改憲をめぐって岡田さんは、「かつての日本は自衛のために戦争を始めた。武力行使をしないということが、日本国憲法であり限定的な集団的自衛権は憲法に憲法に反する。平和主義をあいまいにしたまま、憲法9条改正はあり得ない」と述べました。ここも、立民、希望、民進でプロセスへの考え方の違いがでています。
岡田さんは「安倍総理は国民に対して正直ではない」とし、その一例として、森友学園をめぐる不誠実な対応を挙げました。
次に、志位さんが代表質問。冒頭から、もりかけ問題に言及。これは前回の特別国会でも同様でした。昨年の通常国会で森友国有地を最初に取り上げたのは共産党の宮本岳志さんでした。この後、今国会で法案は出ませんが、生活保護の生活扶助基準の改定について、具体的な事例を挙げながら質問しました。
最後に、維新の下地幹郎さん。いわゆる3党協議は、時期がずれながらも同じ派閥出身の岡田克也幹事長と下地幹郎幹事長、そして、野党の自公の幹事長・政調会長と行ったものです。すなわち、4党協議なのですが、下地幹事長の岡田幹事長に対する信頼感から「3党」と呼ばれ続けています。タテ社会の派閥ゆえに、震災後の混乱を最小限に抑える、与党幹事長コンビでした。
きょうの本会議で下地さんは、「明治維新から150年」と切り出し、維新は地方発の政党だと強調しました。そして、否決された大阪市民の「大阪都行政区」構想にかえて、「大阪市総合区」構想の大阪市民投票を強調しました。これについては、昨夕以降、松井一郎府知事が、橋下徹前府知事・前市長から「先送りしたらどうか」と言われたと明かしており、今後の成り行きが注目されます。首相は下地さんの質問に答えて、自民党の竹下亘さんが総務会の場で提案した国会議員年金復活と地方議員厚生年金加入問題について、「地方議員の年金は地方議員の身分の根幹にかかわる問題だ」との見解を明示しました。私はそこまでのことかなと感じますが、今や地方議員の9割以上が専業議員です。ただ、厚生年金だと半額を税金が出すことになるし、地方議員は政務活動費や視察など恵まれています。とはいえ、最近は、東京に出て来て、セミナーなどの勉強会に出てくるやり手は減っています。年金の増額は必要かもしれませんが、かなり今国会での議論は必要だと考えます。
以上、自公立希無共維の合計7会派が質問。ひとつ前の任期は5会派、その前の任期は8会派でした。前回の5会派体制の方が、賛否を確認しやすかったのですが、7会派となると起立採決で賛否を確認することは難しそうです。ただ、この7会派は、そこそこ政策論争ができそうです。第48期衆議院は、東京オリンピックパラリンピックを前後する、本格論戦へと突入していきます。その先に、政権交代ある二大政党政治の新しい道が、少しずつ見えてくるでしょう。
【参議院本会議 同日】
国務大臣の演説に関する件の第一日目となりました。
民進党の大塚耕平代表は冒頭「民主党・新緑風会の大塚耕平です」と言い間違えました。憲法改正をめぐっては、まず総理の資質と国民投票法の問題点を指摘。「総理には信頼できない過去がある。強行採決する法案と全会一致できる法案を一括法案束ね法案として出してきた」と語り、安保法、派遣法などと同じやり方を、働き方改革実行法案などでもやるのではないかと牽制しました。大塚さんの持論である、戦後の公的社会資本形成が、仮にG7並みだったとしたら、日本全体の総額で1000兆円余計にかかった計算になり、国の借金と比例するとの試算を紹介。予算案について「土地改良事業に0・3兆円、補正を入れると0・5兆円になる」と問題視しました。首相は答弁で、働き方改革実行法案には、解雇の事前の金銭解決の条項は入れないことを明言しました。
通常国会冒頭ですが、参議院自民党は会長ではなく、幹事長の吉田博美さんが登場。きょう一日だけで、辛酸をなめる経世会出身者が衆参で3人登壇。報道によると、吉田参院議員が主導で、平成研究会会長の交代を求める動きがあるようです。私が野党担当だったときのキャップの日経新聞の大石格論説委員も、吉田さんが自民党最大のキーパーソンだと指摘しています。
吉田さんは「(アベノミクスによる)雇用改善があってこそ大胆な労働法の改正ができる」とアベノミクスを絶賛。そのうえで、「参議院自民党幹事長として、総理の耳障りになるようなことを言っていく。総理の慢心に一言言える自民党だ。政治に最も必要なのは信頼だ。忖度は、我々国会議員が国民に対して忖度するものでなくてはならない」と話しました。
【衆議院議院運営委員会 同日】
【参議院議院運営委員会 同日】
【衆議院政治倫理審査会 同日】
【参議院改革協議会 同日】
各々、非公開で開かれました。
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Miyazaki Nobuyuki