宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

あれから10年・・・宮田元道路局長、首都高速社長として降雪復旧遅れを謝罪、ガソリン国会で矢面

2018年01月25日 19時27分04秒 | 第169通常会(2008年1月~6月)ガソリン国会

[写真]首都高速道路社長として謝罪する、宮田元道路局長、2018年1月25日放送のNHKニュース7を筆者・宮崎信行撮影。

 あれから10年の時がたちました。

 第169回通常国会ガソリン国会から、10年経ち、宮田元道路局長が首都高速道路社長として謝罪する姿が、NHHKニュース7で報じられました。

 これは、今第196回通常国会召集日に、東京で4年ぶりの大きな降雪がありました。それから4日経っても、首都高速で凍結などで通行止め部分が複数あることを謝罪したものです。

 第169回通常国会で、揮発油税の暫定税率が、税収が直接特別会計に入り、目的税的に歳出される、特定財源として使われていることを、最大野党・民主党が問題視。特定財源が流れる、道路特別会計、治水特別会計など(民主党政権下につくられた法律にもとづき、社会資本整備特別会計に一本化され空港整備勘定を除き、廃止)の無駄遣いが衆議院国土交通委員会などで徹底的に攻撃されたのが、「ガソリン国会」「ガソリン値下げ隊」で、翌年の政権交代につながりました。

 宮田年耕さんは、たびたび答弁で立ち往生する冬柴鉄三国土交通大臣を助け、耳打ちしたり、メモを渡したり、自ら答弁したりして、大臣を助けました。宮田道路局長は、第169回通常国会閉会直後に、国交省を退職。翌年の第45回衆院選で、冬柴さんは落選し、引退。亡くなりました。

 私は、冬柴さんや宮田さんが悪かったとは思いません。ただ、首都高速も、JRも、過去の借金の重しに耐えられず、メンテナンスができなくなっているような気がします。

 やはり借金が多いと、後々響くということを感じます。

 国交省をめぐっては、さいたま新都心の出先機関で、タクシーチケットの半券を開示しない役人を、5階から18階まで歩いて追いかけた、古本伸一郎衆議院議員、大久保勉参議院議員は、政権下で政務官・副大臣をやりました。ただ、大久保さんは県連内のいじめで、立候補できず、国会からは去りました。

 一方、10年経っても、川内博史さんは、1万ページの資料を読んで、予算委で質問し、野党内から賞賛されています。

 国会議員の歳費も、与党2、野党1ぐらい、差をつけるといいのかもしれませんが、与党でも野党でも歳費は変わりませんから、現職の野党議員はのんびりしたものです。

このエントリーの本文記事は以上です。

(C)2018年、宮崎信行。

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衆院代表質問、岡田克也代表はものづくり補助金0・1兆円問題視、維新・下地幹郎さん「明治150年で地方分権を」参・本会議では自民党・吉田博美さん「雇用が改善したから働き方改革ができる」

2018年01月25日 18時28分48秒 | 第196回通常国会(2018年1月召集)働き方 カジノ

[画像]岡田克也さん、2018年1月25日、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 岡田克也さんが「民主党代表・ネクスト総理」になってから3年5カ月。たった3年5カ月間、いったいなんだったんだ。この3年5カ月間に代表選前倒しをもくろんだのが、現在の肩書では、玉木雄一郎希望代表、逢坂誠二・予算委筆頭理事、江田憲司衆議院議員らです。肩書きは上がっていますから、本人たちには良かったんでしょうが、なぜ腰を落ち着けることができないのか。私はこの3年5カ月間の彼らの彼女らの振る舞いは国益に反すると考えます。まあ、もうどうにもならないや、といったところです。

【衆議院本会議 平成30年1月25日(木)】

 政府4演説に対する代表質問の最終日が終わりました。

 前回の代表質問は、特別国会が急きょ延長されたことから、11月20日と21日に行われていました。きのうの、立民、自民、希望に続き、きょうは、公明党の井上義久幹事長、無所属の会の岡田克也さん、共産党の志位和夫委員長。そして、維新は今回は下地幹郎さんが質問しました。自民党は合計1名だけでした。

 井上さんは、「リカレント教育の充実など働く人の立場に立った政策が必要だ」とし、雇用保険料が財源となるリカレント教育を推進。第48回衆院選での議席減をもたらした集団的自衛権については「専守防衛を守り、日米は盾と矛の関係だと確認したい」と語りました。安倍晋三首相(自民党総裁)は、「誰もが活躍できる一億総活躍社会を実現する。猛烈社員がもてはやされる社会は根底から変えないといけない」と語りました。また、「高校の無償化を実質的に実現するために、2020年度まで公費負担を大幅に引き上げる」と答弁し、自公から拍手を浴びました。8年前は高校授業料無償化(k)をバラマキ4kと呼んでいた自公が様変わり。集団的自衛権について、首相は「日米間の基本的役割については、今後もいささかも変わらない」と答弁しました。「基本的」と強調したのが気になるところです。

 岡田克也さんは、(1)財政健全化(2)原発輸出(3)憲法の平和主義(4)核不拡散(5)女性宮家(6)首相の資質ーーについて聞きました。無所属の会ということもあり、先の特別国会とは質問項目が変わりました。財政健全化について、私は最近財務省の洗脳が解け、歳出や減税を、GDPにおける家計セクター・企業セクターの流動性増加ととらえるべきだと考えており、岡田先生とは考え方が乖離しつつあります。ただ、岡田さんは民間セクターについての言及こそありませんでしたが、「主要国が金利を引き上げる中、日本だけがゼロ金利を続けられる訳がなく、今のうちに歳出改革を始めるべきだ」と語り、ものづくり補助金が0・1兆円盛り込まれた予算案を問題視。この点は一致します。

 エネルギーをめぐっては、立民、希望で考え方の違いが明確になりましたが、岡田さんは「私は原発の新増設はいっさい認めない考え方だ。そうすれば、近い将来、原発はゼロになる」としました。この点は、私もまったく同じ考えです。また、岡田さんは3・11で閣外でしたが、「与党幹事長として経験した。悲劇を繰り返してはならない」と7年経って、政権幹部の一員だったことを自ら言及しました。

 改憲をめぐって岡田さんは、「かつての日本は自衛のために戦争を始めた。武力行使をしないということが、日本国憲法であり限定的な集団的自衛権は憲法に憲法に反する。平和主義をあいまいにしたまま、憲法9条改正はあり得ない」と述べました。ここも、立民、希望、民進でプロセスへの考え方の違いがでています。

 岡田さんは「安倍総理は国民に対して正直ではない」とし、その一例として、森友学園をめぐる不誠実な対応を挙げました。


 次に、志位さんが代表質問。冒頭から、もりかけ問題に言及。これは前回の特別国会でも同様でした。昨年の通常国会で森友国有地を最初に取り上げたのは共産党の宮本岳志さんでした。この後、今国会で法案は出ませんが、生活保護の生活扶助基準の改定について、具体的な事例を挙げながら質問しました。

 最後に、維新の下地幹郎さん。いわゆる3党協議は、時期がずれながらも同じ派閥出身の岡田克也幹事長と下地幹郎幹事長、そして、野党の自公の幹事長・政調会長と行ったものです。すなわち、4党協議なのですが、下地幹事長の岡田幹事長に対する信頼感から「3党」と呼ばれ続けています。タテ社会の派閥ゆえに、震災後の混乱を最小限に抑える、与党幹事長コンビでした。

 きょうの本会議で下地さんは、「明治維新から150年」と切り出し、維新は地方発の政党だと強調しました。そして、否決された大阪市民の「大阪都行政区」構想にかえて、「大阪市総合区」構想の大阪市民投票を強調しました。これについては、昨夕以降、松井一郎府知事が、橋下徹前府知事・前市長から「先送りしたらどうか」と言われたと明かしており、今後の成り行きが注目されます。首相は下地さんの質問に答えて、自民党の竹下亘さんが総務会の場で提案した国会議員年金復活と地方議員厚生年金加入問題について、「地方議員の年金は地方議員の身分の根幹にかかわる問題だ」との見解を明示しました。私はそこまでのことかなと感じますが、今や地方議員の9割以上が専業議員です。ただ、厚生年金だと半額を税金が出すことになるし、地方議員は政務活動費や視察など恵まれています。とはいえ、最近は、東京に出て来て、セミナーなどの勉強会に出てくるやり手は減っています。年金の増額は必要かもしれませんが、かなり今国会での議論は必要だと考えます。

 以上、自公立希無共維の合計7会派が質問。ひとつ前の任期は5会派、その前の任期は8会派でした。前回の5会派体制の方が、賛否を確認しやすかったのですが、7会派となると起立採決で賛否を確認することは難しそうです。ただ、この7会派は、そこそこ政策論争ができそうです。第48期衆議院は、東京オリンピックパラリンピックを前後する、本格論戦へと突入していきます。その先に、政権交代ある二大政党政治の新しい道が、少しずつ見えてくるでしょう。

【参議院本会議 同日】

  国務大臣の演説に関する件の第一日目となりました。

 民進党の大塚耕平代表は冒頭「民主党・新緑風会の大塚耕平です」と言い間違えました。憲法改正をめぐっては、まず総理の資質と国民投票法の問題点を指摘。「総理には信頼できない過去がある。強行採決する法案と全会一致できる法案を一括法案束ね法案として出してきた」と語り、安保法、派遣法などと同じやり方を、働き方改革実行法案などでもやるのではないかと牽制しました。大塚さんの持論である、戦後の公的社会資本形成が、仮にG7並みだったとしたら、日本全体の総額で1000兆円余計にかかった計算になり、国の借金と比例するとの試算を紹介。予算案について「土地改良事業に0・3兆円、補正を入れると0・5兆円になる」と問題視しました。首相は答弁で、働き方改革実行法案には、解雇の事前の金銭解決の条項は入れないことを明言しました。

 通常国会冒頭ですが、参議院自民党は会長ではなく、幹事長の吉田博美さんが登場。きょう一日だけで、辛酸をなめる経世会出身者が衆参で3人登壇。報道によると、吉田参院議員が主導で、平成研究会会長の交代を求める動きがあるようです。私が野党担当だったときのキャップの日経新聞の大石格論説委員も、吉田さんが自民党最大のキーパーソンだと指摘しています。


 吉田さんは「(アベノミクスによる)雇用改善があってこそ大胆な労働法の改正ができる」とアベノミクスを絶賛。そのうえで、「参議院自民党幹事長として、総理の耳障りになるようなことを言っていく。総理の慢心に一言言える自民党だ。政治に最も必要なのは信頼だ。忖度は、我々国会議員が国民に対して忖度するものでなくてはならない」と話しました。

【衆議院議院運営委員会 同日】
【参議院議院運営委員会 同日】
【衆議院政治倫理審査会 同日】
【参議院改革協議会 同日】

 各々、非公開で開かれました。

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【再生医療安全確保法の執行状況】意外と敷居が低いか、3・6万人が再生医療受ける、iPSも10人、格差としては東京一極集中

2018年01月25日 14時27分19秒 | 法律の執行状況

[写真]自民党本部、おととし2016年、筆者・宮崎信行撮影。

 5年前の秋の臨時国会で、当ブログも積極的に書いた再生医療安全確保法(関連エントリー「再生医療等の安全性を確保する法案」が衆院委員会で全会一致可決 参院での審議、成立はいつ?)の執行状況がまとまりました。

 同法の第21条に定める、病院から厚労省への報告によると、3万6349人が、治療および研究で、再生医療を受けました。そのうち、第1種のiPS治療は10人が受けました。

 きのう24日の「25回厚生科学審議会再生医療等評価部会」で報告したものだとして、きょう、平成30年2018年1月25日付で厚労省がホームページに掲載しました。

 山中伸弥教授のiPSは中学同級生の世耕弘成経済産業大臣がおしすすめて、安倍晋三さんも「目の見えない人が目が見えるようになる」とてぶりも含めて、成長戦略に打ち出し、自民党総裁になり、総理になりました。健康保険3割負担などが認められない自由診療が多いといっても、意外と垣根が低いのかな、と安堵しました。ただ、3・6万人のうち東京都が1・1万人と突出。福岡県がなぜか2位で、0・4万人、京大がある京都府は788人、理研がある兵庫県は1614人にとどまっています。治療を受けた人の、資産・所得格差は分かりませんが、今後も、東京の病院まで行く、新幹線・飛行機代や、家族の宿泊費まで健康保険でみることは不可能。

 まずは健康保険の積極的適用。そして、海外への売り込みを経て、だれでも、健康保険を使って、なるべく近くの医療機関で再生医療を受けられるようにしてほしいですね。21世紀日本の最大の発明、イノベーションです。

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