【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【6/5】復興庁2031年まで延長法成立、改正社会福祉法など合計8法律成立

2020年06月05日 18時53分25秒 | 第201回通常国会(2020年1月から6月)「コロナ感染症」
(13時15分公開、19時更新)

[画像]行政監視に関する総務大臣の報告への質疑に立った、立憲・国民.新緑風会・社民の吉川沙織さん、きょう、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 復興庁を2031年まで延長する法律や、重要広範議案「改正社会福祉法」など8法律が成立。但し、私から見て火急必要な法律は3本ないし5本。残りの内閣提出法案は、月曜日提出も含めて14本が成立していない状態で、安倍1強政治ではスローペースです。

●衆議院本会議は定例日ですが開催はありませんでした。

【衆議院議院運営委員会理事会 令和2年2020年6月5日(金)】

 月曜日提出の補正予算案の本会議で扱いについて。

【与野党国対委員長会談 同日】

 前日に安住淳委員長から求められた、10兆円予備費の減額の要請の回答として、森山裕国対委員長が(1)雇調金などに1兆円(2)中小企業の家賃支援などに2兆円(3)地方への医療・介護の交付金1兆円を使うとの内訳をペーパーで提示。残り5兆円は「長期戦に使う」との発言があったようです。

●衆議院内閣委員会は定例日ですが開催されませんでした。

【参議院本会議 同日】

 「改正復興庁設置法」(201閣法33号)を起立採決し、過半数で可決し、成立しました。復興庁の設置を令和13年2031年3月31日(月)まで延長。青木愛・特別委員長は「委員会で26項目の附帯決議がついた」と報告しました。必要火急な法律です。

 「聴覚障害者による電話リレーサービス法」(201閣法27号衆修正)は全会一致で衆議院修正通りに可決し、成立しました。若松謙維・総務委員長は「アベノマスク」受注業者に山口那津男代表とともにポスターが貼ってあったと指摘されましたが、今のところとくに問題ないようです。今回の新法は昨年秋の総務省内の研究会のとりまとめが法律となりました。当時、このニュースサイトは活動が減退しておりましたので、ここまで報じてきませんでした。今後は閉会中を中心に、役所内の立法準備もどんどん報じていきます

 「改正著作権法」(201閣法49号)も全会一致で可決し、成立しました。リーチサイト規制が初めて入りました。必要火急です。

 「改正自動車運転重過失処罰法」(201閣法42号)も全会一致で可決し、成立しました。公布から20日後に施行。改正道交法とともにあおり運転(直接ぶつからないけれども、急ブレーキや、進路変更で後続車を止める行為)を処罰します。警察庁の道交法と、法務省のこの法律が別々に出てくるのは、現行犯逮捕は道交法で、起訴でこの法律が追加されるということのようです。必要火急です。

 「金商法改め金融サービス提供法とする改正法律」(201閣法40号)は過半数で可決し、成立しました。

 「改正個人情報保護法」(201閣法48号)も過半数で可決し、成立しました。

 「改正電気事業法」(201閣法26号)も過半数で可決し、成立しました。きょねんの台風15号房総半島で、送電の復旧が遅れたこともあり、電力会社の広域支援で災害時に対応するものです。但し、枝野幸男代表や有識者の一部に、電気料金の対応ではなく、公共機関の役割を増すべきだとの中期的な意見があります。

 「改正社会福祉法」(201閣法43号)。重要広範議案のラスト。討論では、田村まみさんが「国民民主党の田村まみです。立憲・国民.新緑風会・社民を代表して反対討論をします」と語りました。共産党も反対討論。採決の結果、野党の反対、自民と公明と維新の賛成多数で可決し、成立しました。地方自治体の障害者施策についての国の財政措置や連携法人をつくるなどの改正。

 本会議ではこれに先立ち、「18年ぶりの快挙」がありました。

 橋本行革により、総務庁行政監察局が総務省行政評価局に衣替えした直後に成立した、行政評価法(平成13年法律86号)。その19条にある毎年の国会報告が高市早苗大臣からありました。

 自民党の島村大さんは「18回目の報告だが、初めての参議院本会議の報告と質疑になる」とし「良識の府、参議院らしさにつながる」と今後定例化していくことを強調しました。島村さんは昨夏神奈川選挙区定数4で唯一の自民党公認としてトップ当選。2位には立憲民主党唯一の公認の牧山ひろえさんがつけ、私の10名前後の立憲民主党神奈川県連の友人が応援しました。とはいえ、実は島村大さんは私の日大二高の先輩なんですね。真夏にみんながんばっているから、それは言えませんでしたが、日大二高らしい長期的視点に立った良識を見せてほしいところです。ちなみに日大二高は5月16日からオンライン授業を始めたそうです。映像が落ちて音声だけになってしまった先生がごく一部いたそうですが、順調のよう。蛇足情報ですが。

 立憲民主党の吉川沙織さんは「参議院は昭和52年から行政監視を重視している」とし、「総理欠席は残念だが、EBPM、証拠に基づく政策形成を参議院が主導していきたい」「束ね法案は議員の表決権を害する」「予備費の10兆円は立法府による財政の統制に属さぬ」「臨時会の召集をどう考えるか」と矢継ぎ早に質問。これには、国会クラスタの中心である「踊♥ウタマロ」さんは、「職場着いたら終わってたけど、3国会ぶんくらいの凄い内容だった。生涯ベストに入るレベルの素晴らしい内容だったよ… 」



 と絶賛しました。吉川沙織さんと田村まみさんは、同志社大学の同級生なんですが、吉川さんは文学部、田村さんは神学部で、交流はなかったそう。そもそも吉川さんは2期12年先輩です。記念すべき初の総務大臣の本会議報告と質疑でも一日の長があったでしょうか。

【参議院地方創生及び消費者問題に関する特別委員会 同日】

 「公益通報者保護法改正案」(201閣法41号衆修正)が全会一致で衆議院修正のとおりに可決すべきだと決まりました。本会議へ上程へ。

【参議院政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会 同日】

 衆議院から「町村選挙に公費制を導入する公職選挙法改正案」(201衆法16号)について逢沢一郎・衆議院議員が趣旨説明。質疑では、篠原孝、森山浩行両衆議院議員らが答弁しました。共産党は討論で「供託金制度を新設するのは本末転倒で抜本的な制度改正が必要だ」と主張。採決の結果、共産党反対、自民党、公明党、立国社などの賛成多数で可決すべきだと決まりました。

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