【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【岡田克也】「企業はよく踏ん張っている」休業者597万人に「人手不足は身に染みていて離すと戻ってこない」雇用調整金の支払い遅れなど「ギリギリのところに来ている」

2020年06月04日 18時57分00秒 | 岡田克也、旅の途中
[写真]国会図書館前から撮影した旧民進党本部(当時)3年前の2017年撮影。

 新型コロナウイルス感染症の拡大による失業率が2・6%と前年同月比0・1ポイントの微増に踏みとどまった背景に休業者が実に597万人という超高水準になっていることについて、経済通の岡田克也さんは「企業はよく踏ん張っている」としつつ、雇用調整助成金支給遅れなどで「ギリギリのところに来ている」と政府にはっぱをかけました。

 岡田さんは、週一回の定例記者懇談会として、国会内で記者団の質問に答えました。きょう2020年6月4日も主要メディアの記者は代理も含めて参加しました。

 総務省統計局が先週発表した労働力調査で、2020年4月の完全失業者は189万人で前年同月比7%増にとどまりました。しかし、就業者6628万人のうち、休業者が597万人となりました。これは前年同月比3・3倍、前月比2・4倍の激増で、統計局は追加資料を出して説明。高市早苗大臣はリーマン・ショック時にもなかった現象だとしました。

 これについて、記者(私)が、「良し悪し別として、量的金融緩和で内部留保が溜まりに溜まっていた成果ではないか」との問いに、岡田さんは「企業はよくふんばっていると思います。リーマンのときは、非正規の人を中心に外国人労働者も含めてバッサリ切った。企業はその後の人手不足が身に染みていて、離すと戻ってこないと思っている」としました。内部留保に関しては「少ない企業もある」としながらも、「なんとか踏ん張ろうという企業の姿勢がある。それができている間に乗り越えないといけない。時間が経てば経つほど厳しくなる。雇調金の支給が遅れたり、(持続化給付金などの)支払金が手元に届かなかったりしているあいだに、ギリギリのところに来ていると思う」と政府にはっぱをかけました。上述の数字は先々月(4月)ですから、先月(5月)はより厳しい水準だった可能性が高くなります。

 来週月曜日国会の提出の第2次補正予算案の予備費10兆円について「巨額の予算であり、憲法をすり抜けている。国民の税金を白紙委任する内容であり、事実上、脱法ならぬ脱憲と言われてもしかたない」と激しく批判。「東日本大震災のときに(与党幹事長として)予備費1兆数千億円を批判されたが、国会をは開いていた。(野党から)問題視されたが、それとはケタが違う。100兆円にして予備費にすることもできるようになる。異常なことだ」としました。

 そのうえで、臨時国会を開かないのではないかとの観測には、「秋の国会を開くかどうかは分からないが、少なくとも長い夏休みにはなりそうだ。10兆円が尽きるまで開かないと思う」としました。10兆円が尽きるのが具体的に何月ごろになるかの予測は明示しませんでした。

 昨夏の参院選三重選挙区(改選定数1)で自民現職に惜敗した、芳野正英さんが昨年末から岡田さんの政策担当秘書として記者懇談会の司会をしています。来週の予算委員会の岡田さんの登板について現時点で決定はしていないものの、その可能性はあるそうです。

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インターネット版官報

Ⓒ2020年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki

【6/4】参議院の委員会で5法案上りあす成立、野党が予算審議の抵抗の構え見せ、ハプニングで6法案・3条約が審議未了廃案がありえなくもない最終盤

2020年06月04日 17時38分14秒 | 第201回通常国会(2020年1月から6月)「コロナ感染症」
[写真]真夏の様相の国会議事堂裏の筆者、撮影日は2年前の2018年8月です。

 「予備費10兆円」「加速化給付金」「Go Toキャンペーン」で野党が来週の予算審議でやや抵抗するかまえをみせたため、与野党が継続審議で内諾した3法案に加えて、6法案3条約がハプニング的に成立せず閉会する可能性も出てきました。

 ところで、アメリカ各都市でデモが多発。不満はもとは、黒人のコロナ死比率が白人のコロナ死比率の3倍になるという命の不平等です。「オバマケア」のオバマ前大統領も含めた共和党・民主党双方のせいであり、トランプさんがツイッターで分断を煽ったから、という分析は浅薄です。アメリカの友人の政治への関心は9・11以来の高まりです。

【衆議院議院運営委員会理事会 令和2年2020年6月4日(木)】

 報道によると、内閣官房副長官が「来週月曜日8日に補正予算案を提出する」と報告。これについて、野党国対は、8日の本会議での麻生太郎財務大臣の財政演説を開くことについて抵抗するかまえ。

●衆議院本会議は定例日でしたが開催されませんでした。

●衆議院憲法審査会は定例日ですが開かれず今国会は閉幕ムード。

●衆議院農林水産委員会、参議院農林水産委員会は定例日ですがともに開かれず、種苗法改正案は審議されずに閉会へ。

●参議院環境委員会は開かれませんでした。

【参議院第1種常任委員会 同日】

 9委員会が開催されました。7法案が「可決すべきだ」と決まり、あすの本会議で成立します。

●参議院厚生労働委員会
 重要広範議案ラストの「社会福祉法改正案」(201閣法43号)は総理入り質疑がありました。安倍晋三首相は「持続化給付金の支給手続きは説明が必要だ」という趣旨の答弁をしました。その後、採決。立国社共反対、自公維賛成多数で可決すべきだ、と決まりました。

●参議院内閣委員会
 「個人情報保護法改正案」(201閣法48号)が共反対、自公立国社などの賛成多数で可決すべきだと決まりました。質疑では、マイナビによる内定辞退率予想のようなAIを活用した加工データに関する規制などが不十分だと指摘されました。

●参議院総務委員会
 「聴覚障害者等による電話リレーサービス法案」(201閣法27号衆修正)は全会一致で、衆議院修正案通りに可決すべきだと決まりました。

●参議院法務委員会
 「自動車運転重過失処罰法改正案」(201閣法42号)は全会一致で可決すべきだと決まりました。森まさ子法相がお辞儀しました。

●参議院財政金融委員会
 「金融商品取引法改め金融サービス法とする改正案」(201閣法40号)は共反対、自公立国社、みんなの党・NHKから国民を守る党などの賛成多数で可決すべきだと決まりました。

●参議院文教科学委員会
 「著作権法改正案」(201閣法49号)は全会一致で可決すべきだと決まりました。

●参議院経済産業委員会
 「電気事業法改正案」(201閣法26号)。まず参考人質疑。理事会では事前に内定していませんでしたが、与野党の話し合いがつき、きょうの質疑で採決に十分だと決まりました。採決の結果、共反対、自公立国社などの賛成多数で可決すべきだと決まりました。

●参議院国土交通委員会
 「サブリース規制法案」(201閣法44号)が趣旨説明され、質疑は次回に回して散会しました。定例日は予算委を考えると実質あと1回。まだ審議入りしていない「ドローン規制の航空法改正案」(201閣法29号)もあります。この2つの法案はともに衆議院を全会一致で通過してきました。しかし来週の補正予算案審議では国交省の「Go To キャンペーン」を赤羽一嘉大臣が不誠実な答弁をした場合は、廃案になる公算もあり、赤羽大臣にとっては綱渡りの最終盤国会となります。 

●参議院外交防衛委員会
 「日本ベトナム受刑者移送協定」(201条約14号)「専門機関特権・免除条約の付属書18」(201条約15号)「国際獣疫事務所東京事務所の特権・免除条約」(201条約16号)の趣旨説明がありました。質疑は次回ですが、上述の通り、予算審議の煽りで、会期に間に合わないこともありえます。その場合は、最長で1年遅れる場合もあります。外務省職員は、安倍晋三首相と財務・経済産業・国土交通の各大臣の誠実さに期待するしかありません。


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