渡辺恒雄の後継者、宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【6/3】必要火急の復興庁10年延長法案は小沢一郎師弟コンビの青木愛委員長・木戸口英司理事・嘉田由紀子委員(?)が可決させる、「持続化給付金」「GoToキャンペーン」火種

2020年06月03日 20時23分57秒 | 第201回通常国会(2020年1月から6月)「コロナ感染症」
[写真]国会議事堂の中央階段(衆参の中央部)、3年前2017年、宮崎信行撮影。

 このニュースサイトが既報の通り、来週月曜日から補正予算審議。与党は再来週水曜日の当初会期末当日に国会を閉じる公算。政府は今後3法案(「金融機能強化法延長法案」「toto法改正案」「労働保険法など改正案」)を追加し、政府提出法案は59本になる見通し。このうち、成立しないのは「国家公務員法・検察庁法改正案」(201閣法52号)「種苗法改正案」(201閣法37号)「地方公務員法改正案」(201閣法53号)の3本のみで、閣法成立率は94%になりそう。但し、参議院が与野党とも発奮して、国土交通委員会などで1法案を継続調査にする気配が出ており、この場合は93%。安倍官邸1強政治は続くわけで、内閣支持率が下がったからといって、権力構造はまったく変わっていません。そのことへの冷徹な分析が、現状認識として必要です。

【参議院本会議 令和2年2020年6月3日(水)】

 「公益通報者保護法改正案」(201閣法41号衆修正)が衛藤晟一・消費者庁担当大臣から趣旨説明されました。「失業者ならぬ休業者が590万人」という幸か不幸か異次元の量的金融緩和による内部留保が巨大な株式会社という妖怪が徘徊する現代日本ですが、今次改正は取締役と1年未満の退職者を追加し罰金を引き上げるだけで、不要不急の改正法案にもほどがあります。法案を出さないと消費者庁が仕事をしていないように思われて、難しい試験を合格したのに徳島市に移転させられたら困る、という考えが透けて見えてしかたありません。

 代表質問の後、採決。

 「日本スウェーデン社会保障協定」(201条約12号)と「日本フィンランド社会保障協定」(201条約13号)は全会一致で承認すべきだと決まり、両院で承認されました。日本で納めた年金保険料が接続される二国間条約です。

 「第10次地方分権一括法」(201閣法32号)も全会一致で可決し、成立しました。どういう法制執務なのか改めて読みましたが、A4判17ページ(提出理由含む)で、第1条からいきなり改め文が入っている条文。いわば究極の束ね法案といえます。地方分権一括法施行から20年間、真の地方分権が国会で審議された記憶はありません。

 「改正都市計画法を含む都市再生特別措置法などを改正する法律」(201閣法21号)は過半数の賛成で可決し、成立しました。これも不要不急の法律。法人地主が再開発をしやすくする改正ですが、私のような個人地主も4月は139万人と比較可能な2002年以降で最多。最近はよく勉強するようになってきましたから、元気です。

 この後、行政監視委員会の「行政監視に中間報告書」を聞きたいと山東昭子議長が動議を出し、全会一致で異議なしと決まりました。川田龍平委員長が自席から歩いて登壇し、報告しました。

【参議院東日本大震災特別委員会】

 青木愛特別委員長と、木戸口英司理事の「小沢一郎師弟コンビ」で運営されました。

 「復興庁を10年延長する復興庁設置法及び特別会計法改正案」(201閣法33号)は共産党反対、自民党、公明党、立憲民主党、国民民主党、沖縄の風、碧水会の賛成多数で可決すべきだと決まりました。次の本会議で成立。令和13年3月31日まで復興庁を延長。

 小沢一郎師弟といえるかどうか分かりませんが、2人の会派「碧水会」の嘉田由紀子さん(元滋賀県知事、昨夏滋賀選挙区で国民民主党公認で初当選)も賛成しました。2人会派ですが予算委員会での質問時間は得られていない現状です。沖縄の風の高良鉄美さんも賛成しました。

【参議院地方創生及び消費者問題に関する特別委員会 同日】

 「公益通報者保護法改正案」(201閣法41号衆修正)が本会議散会後に趣旨説明され、参考人質疑をしました。

【衆議院経済産業委員会 同日】

 4月30日に成立した「第1次補正予算」に盛り込まれた「持続化給付金」を受注した、「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」が電通、パソナ、トランス・コスモスのトンネル会社だとの疑惑について追及が続きました。デロイトトーマツの名前も出ました。

 「割賦販売法改正案」(201閣法39号参先議)が趣旨説明され、審議入りしました。これも3年に1回開催されていますが、不要不急です。

【衆議院国土交通委員会 同日】

 第1次補正予算案に盛り込まれた「Go Toキャンペーン」の事務委託費が3000億円になることから、どこが受注するのか野党の追及が続きました。一般社団法人サービスデザイン推進協議会が受注できるのかどうかも問われました。

 「マンション管理適正化法及びマンション建替円滑化法改正案」(201閣法30号参先議)が趣旨説明されました。4月10日に参議院から送付されされており、2カ月近くたってから衆議院で審議入り。そもそも、分譲マンション管理組合の決議でマンションが建て替わったことなどあるのでしょうか。国交省も住宅金融支援機構を手放して、総務省や厚労省に集合住宅を所管してもらった方がいいのではないか。

【衆議院内閣委員会 同日】

 一般質疑がありました。

【参議院国際経済・外交に関する調査会 同日】

 鶴保庸介会長が参考人に「コロナウイルスのこんなときにご出席いただきありがとうございます」と感謝。海を通じて世界で生きる日本について、東大院教授、日本造船工業会副会長、舞鶴市長から話を聞きました。

●あすの予定

 参議院では法案がない環境委員会と、種苗法の見送りが決まった農林水産委員会以外の各委員会が開かれます。重要広範議案ラストの社会福祉法改正案で、午後3時から午後4時まで安倍晋三首相への質疑が厚生労働委員会で行われます。衆議院は審議がありません。木曜日は衆参とも農林水産委員会の定例日ですが、種苗法見送り決定のため、衆参とも開催されません。

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秋の臨時国会開かない公算浮上、麻生太郎財務相「臨時国会を開くとなるとものすごい時間がかかることになる」

2020年06月03日 08時52分40秒 | 第49回衆院選(2021年10月 岸田続投 枝野辞任)
[写真]夏の終わりの財務省、おととし2018年8月下旬、宮崎信行撮影。

 東京オリンピックが延期された、令和2年2020年の秋の臨時国会が開かれない可能性が浮上しました。

 麻生太郎財務大臣(副総理)はきのうの参議院財政金融委員会で、来週月曜日に国会に提出する令和2年度第2次補正予算案に「新型コロナウイルス感染症予備費」が10兆円計上されていることについて、次のように答弁しました。古賀之士さんへの答弁。

 「今回の新型コロナウイルス感染症対策は収まりつつあるということになっているが、最終的なワクチン、薬ができあがっていないので、また(感染第二波が)起きるということも考えるのは当然」「予備費というものは予見しがたい予算の不足に充てるため国会の議決にもとづいて設けることができます」「(第三次補正)予算(案)を迅速にやるためには、臨時国会を開いて、天皇陛下のご臨席をいただいて開会式をやって、それからなんやかんやとなると、ものすごく時間がかかる」「予備費を持っておかないと迅速に対応できないし、終った後に事後の審査を(衆参の)決算(委員会)でやるので、予備費を積んでおいて迅速に期すことを理解してほしい」と語りました。

 人事院の民間事業所給与実態調査のストップで、令和2年度人事院勧告が遅れ、実施のための給与法案が秋からずれ込むことも考えられます。

 安倍内閣は7年経っており、2013年特定秘密保護法、2015年平和安全法制、2015年改正労働者派遣法や民法債権編改正など大きな立法作業は完了しています。再来週17日までの今国会では、金融機能強化法、労働保険特別会計雇用保険勘定、スポーツ振興くじtoto、東京オリンピック特措法の1年延長と祝日法の改正立法が成立するはこび。マイナンバーと銀行口座の紐づけは今国会で議員立法されるかどうか微妙な公算で、総務省などのとりまとめは来年になってから提出へ。全世代型社会保障会議の6月の最終報告は延期が決定しています。条約もきょねんの日米FTAはもともと大きな協議は無いし、世界的なコロナ騒ぎで、バイ・マルチとも外交交渉は停滞すると考えられます。

 このため、2020年秋の臨時国会で審議する必要性のある議案はほとんどなく、第202回国会は2021年1月にずれ込むことも考えられます。

 森山裕国会対策委員長は予備費10兆円の実施に関する衆参予算委員会の閉会中審査でのテレビ入り集中審議を数回開くことを提案している、とみられます。但し、自民党則で9月末には幹事長以下は全員いったん辞表を安倍晋三総裁に提出するため、これに前後した人事が、入閣待望組にとって今の衆議院の任期や安倍総裁の任期中のラストチャンスになることが考えられます。この人事があった場合は、その3週間後に、所信表明演説、予算委員会、各委員会での大臣所信とそれに対する一般質疑、与野党の常任委員長人事異動などがされることも考えられます。

 結論としては、2020年後半に臨時国会は開かれるでしょうが、小ぶりになることも考えられます。与野党とも、選挙が近いので、院外政局が注目されることになるかもしれません。

 筆者・宮崎としては、もちろん、9月後半には開いて、第3次補正予算案と、本当に必要火急なシンプルな法改正はしてほしいところです。

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