【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

第49期衆議院と第206回特別国会スタート、向こう3年半は政党構成の膠着の官邸主導で存在感薄いかも、落選の川内博史前議員「東京は晴れて、鹿児島は雨だが晴れ間が見える」とツイート

2021年11月10日 15時49分29秒 | 第206回特別国会
[画像]川内博史・前衆議院議員のツイッターから宮崎信行がスクリーンショット。

 明治29年。維新からかなり遅れた第1回衆院選・帝国議会開設から131年。

 第49期衆議院がスタートし、第206回特別国会がスタート。1期生は97名で、4年前より41名多いとのこと。今回衆院選はいつも以上に意欲的に取材した私・宮崎信行が立候補しない1つの理由は誰でも知っていることですから書きませんが、いつも政治ジャーナリスト仲間から嫉妬される「どうせ仲良いセンセイ、みんな当選するし」の体制で続けられます。

 1期生97名中、前から知っている人10名が初当選しましたが、うち4名は元参議院議員。もちろん「総理を目指して」ではなく落選後に衆院選に転じたかっこう。ふらっと訪れるより、アポとって挨拶しておいて、では4年後というのがいいようです。

 前回は辻元清美さんと懇意の早稲田大学卒業の企業家2名が枝野幸男さんに5億円を融資して最大野党ができましたが、良い時代は過ぎ、早稲田同士でなれ合いの応援演説をしていた人は落選しました。川内博史さんは本会議開始20分後のツイートで「東京は晴れ。鹿児島は雨。 仲間達と共に登院出来ず無念。 でも、雨の中に晴れ間も見えている」と強がりました。

 私の曾祖父は第1回総選挙から10年後の明治39年、村会議員兼村助役在任中54歳で亡くなりました。徳川領のため明治維新で冷や飯を食いながらも人口1000名で3000石を誇った村史80年で在職中に死亡した三役が一人だけで私の曾祖父。その前後、家督も6年間で3人が担っていますが、祖父の代から100年以上磐石になり戦争にもいかなくていいから誰も死なずました。真面目な人だったのでしょう。

 また、日本政治は院より政党で、衆院選で負けた政党ではなぜか参議院の政策秘書が追い出されて。衆院政策秘書の勤め口を探しています。古今東西の様々な嫉妬の中、初登院した465名の衆議院議員。おそらく3年半近く参院の構成が激変することはなさそうで、当面、名前・年次がかわった官邸官僚主導政治が続き、衆議院の存在感は2015年平和安全法制以降は緩やかに下がりつつある議会政治となるでしょう。

【衆議院本会議 きょう令和3年2021年11月10日(水)】

 岡田事務総長が黒いネクタイで着席しました。衆では事務総長が議長・副議長選挙を取り仕切ります。参では事務総長が議長選を取り仕切り、新議長が副議長選挙を取り仕切ります。

 議長選挙は細田博之さんが463票で、無効が1票。「細田君」が複数いるため按分ではなく無効となりました。副議長選挙は海江田万里さんが464票で満票でした。細田議長と海江田副議長が登壇して挨拶。麻生太郎さんがお祝いを述べました。これも英国では「ファザー・オブ・ハウス」と呼ぶ役回りですが、衆では第一会派最年長、参では全体の最年長。本来なら二階俊博さんのはずですが、固辞したのか、麻生さんになり「両君ともに議会政治において豊かな経験を持つ」と語りました。


[写真]細田博之・衆議院議長、2020年9月、宮崎信行撮影。

[写真]海江田万里・衆議院副議長、2014年7月、宮崎信行撮影。

 細田議長が着席し、「会期は11月12日(金)までの3日間としたい」と諮り、起立採決。初当選の山本太郎代表が「反対」と叫びましたが、れいわ新選組の反対、自公立維国共社の賛成多数、460対3で、議決されました。

 細田議長は議院運営委員を各会派の指名通りに決め、議院運営委員長選挙。4回生で「党風刷新の会」で副会長に甘んじ、会長の福田康夫さんに総務会長の座をとられた山田賢司さんが4期生では異例の議事進行係として緊急動議を発声して議長に一任。山口俊一議院運営委員長が決まりました。山口さんも連続当選11期、31年、71歳ですので、立憲民主党のなら岡田克也さんが同じ連続11期68歳ですので、自民党だと大臣1回と新・議運委員長という段階だということになります。

 そして、内閣総理大臣指名選挙(首班指名)。欠席者なく投票総数465。岸田文雄さん297、枝野幸男さん108、片山虎之助さん41、玉木雄一郎さん11、吉良洲司さん5、山本太郎さん3。造反なく、岸田文雄さんが第101代首相になりました。

【参議院本会議 同日】
【参議院各特別委員会 同日】

 山東昭子議長が首相指名選挙の議事。岸田文雄さんが141、枝野幸男さん60、片山虎之助さん15、玉木雄一郎さん15、山本太郎さん3、嘉田由紀子さん2、渡辺喜美さん2、伊藤孝恵さん1、伊波洋一さん1、白票2。

 衆参とも全く何かが変わるワクワク感がまったくない特別国会初日で、選挙対策と、アメリカの量的金融緩和手じまいの動向以外では、しばらく膠着状態の国会・選対が続きそうです。

 これに先立ち、静岡補選の山崎真之輔さんが紹介されました。皮肉ですが、補選で野党の健闘が1週間後の衆院選での与党の引き締めにつながりました。

 次に弔詞として、橋本敦さん。共産党参議院控室は国会内閣議室と極めて近く、私は首相番記者時代に、橋本参・共産国対委員長を、山一證券の野沢社長と誤認してびっくりしたことがあります。私が勝手に誤認しただけです。梶山静六国家公安委員長が初めて拉致問題を認めた答弁でも知られる橋本さんですが、国対が長かったためか、共産党出身ながら、参議院懲罰委員長も務めました。

 そして委員長人事では野党が代わりました。石橋通宏・経済産業委員長、斉藤嘉隆・国土交通委員長、徳永エリ環境委員長、上田清司・国家基本政策委員長、吉田忠智・行政監視委員長になりました。

 特別委員会では、災害対策特別委員長が佐々木さやかさんに代わりました。公明党内での副大臣人事の内定に基づくものと思われます。

【繰り下げ閣議 同日】

 定例翌日のけさ、繰り下げ閣議があり、第1次岸田内閣が総辞職しました。

●内閣府規制改革会議は存続

 未来投資会議は菅内閣発足時に、成長戦略会議は第1次岸田内閣発足時に廃止されましたが、規制改革会議は存続することが固まりました。「養父市の農地の企業所有の全国恒久化」「ホクレンなどの巨大JA派生団体の解体」の2つの政治日程が進むことになります。

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