宮崎信行の「新・夕刊フジ」

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

【法案提出】第211通常国会に「在外公館位置・名称・給与法改正案」提出へ「国連食糧計画大使」「NATO大使」を新設する「情報戦」予算に関連した法案

2022年08月31日 23時51分45秒 | 第211回通常国会(2023年1月)
[写真]外務省、きょねん7月、宮崎信行撮影。

 ことしは提出が先送りされた「在外公館位置・名称・給与法改正案」が、来年2023年1月召集の第211回通常国会に提出されることになりました。

 外務省は締め切りのきょう令和5年度予算の概算要求をし、発表しました。この中で、日本がオブザーバーで今年初めて首相・外相が会議に出た「NATO北大西洋条約機構の日本代表部大使」と「マルタ常勤駐在事務所」を新設し、「ローマの国連機関大使」を兼務の形で新設し、セーシェルの大使館格上げの4つを要求しました。


[写真]林芳正外相、先月2022年7月4日、都内で、宮崎信行撮影。蛇足だが、後ろに移っている警視庁警護官はこの写真の4日後に奈良県で暗殺された安倍晋三さんの首相在任時にキャップをつとめていたSPで、ベテランが配置された首相番よりも柔軟性を要求される「遊軍」のSPだったと思われる。


[写真]外務省、きょねん7月、宮崎信行撮影。

 このうち、「ローマの国連機関」ですが、筆者は知らなかったので調べたところ、「FAO国連食糧農業機関」「WFP国連世界食糧計画」「IFAD国際農業開発基金」となります。半年たったも収束見えない、ロシアによるウクライナ侵略による、小麦が全く輸入できない国もありますので、大変重要です。

 現行の在外公館位置・名称・給与法は、その別表第一で、ウクライナ大使館の場所を「キエフ」としていますが、ロシアの蛮行に抗議しウクライナとの我々国際社会の連帯を示した「キーウ」への改正する条項も束ねた改正法案となりそうです。

 令和5年概算要求で外務省は「情報戦を含む新しい戦いへの対応の強化」を柱建てしていますが、きょねんまでは「戦」という言葉を使っていなかったようで、「勇ましい外務省」「戦う外務省」の様相を呈してきました。省内の権力関係は分かりませんが、「知日派の育成」「SNSでの情報収集・発信」も新規項目として財務省に要求しました。

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国民不在の8月末政局ことしも続く、早稲田国対「首相・官房長官・国対」で岸田文雄首相国会出席決定、国葬・統一教会問題

2022年08月31日 18時38分45秒 | 自民党
[写真]8月末でも、資本の立場では兼業だが、人間の立場では事実上専業ジャーナリストなので、精力的に取材する筆者、おととし。

 最近変わりましたが、私の世代ですと、8月31日というと異様に忙しい日という心理的イメージがあります。選挙による間接民主主義の我が国でも、おととしの8月28日の金曜日の午後3時直前に、安倍晋三首相が突如辞任し総理大臣レースが始まり、当日夜の衆議院赤坂議員宿舎の菅義偉・二階俊博・森山裕3者会合で後継首相が決まってしまいました。

 きょねんの8月下旬は、横浜市長選挙という良い意味で特殊な選挙の結果を世論と誤解した与党議員によってまた首相が変わってしまいました。

 きょうは岸田文雄首相が新型コロナウイルス感染症の自宅療養から明けたという理由で午前11時から記者会見。おととしの8月末の総理記者会見では、「産経新聞の記者が赤いポロシャツを着ていた」と批判されるという、ばかばかしいほどどうでもいいことが話題になりましたが、きょうの岸田首相は、国葬問題で国会出席するということと、統一教会問題で自民党内で調査して関係があれば離党を迫ることを強調しました。

 ところで、首相はNHK入りで国会審議にのぞむと強調しましたが、あれは理事会が「NHK中継要請をすること」を決議しているかたちなので、3代目代議士の感覚がマヒしているように感じます。

 きのう、維新の遠藤敬国対委員長が、自民の盛山正仁国対副委員長に議運への首相出席を要請する「高木毅委員長外し」が始まり、きょうは安住委員長が野党全会派国対委員長会談の後に、直接松野博一官房長官に電話。これに前後して、首相が記者会見で国会出席を明言しました。高木さんは青山学院大学で、岸田さんは早稲田大学法学部、松野さんも早稲田大学法学部、安住さんは松野さんと同時期に早稲田大学社会科学部卒業となります。この早稲田ラインは、小渕首相・青木官房長官(参議院議員)・森幹事長のときにも機能し、早稲田ラインで経世会から清和会にレジームが変わり20年以上続いています。ちなみに、世耕弘成・参議院自民党幹事長(清和会)も同じ時期に早稲田大学政治経済学部に通っていますが、あまり仲が良いという話を聞いたことが無いので、2000年の「自民党内の衆参と経世会・清和会」のレジームチェンジと違って、「衆議院内の自民党と立憲民主党」という国民に見える世界でのレジームチェンジにつながるかもしれません。松野官房長官としては、安倍派を継承して松野派となりつつ、岸田派程度の規模にまでダウンサイジングして、自分の身を持たせて、首相になるという道を選ぶのが当然だと思います。今後、安住・松野ラインが機能することで、両者とも地位が上がりそうです。

 岸田・松野・安住・世耕各氏は全員高校卒業から大学卒業まで4年を超えて過ごしており、バブル期の東京で私立大学に通うため、ある一定の収入があった世代だと推測されます。岡田克也さんは、東大法学部を4年間で卒業していますが、兄・父・祖父が全員早稲田大学法学部卒業です。早稲田大学の教授・准教授・専任講師が互選して「早稲田大学総長」を選びますが、これは、学校法人早稲田大学理事長となり、民法上の対外的代表者になります。実はこの仕組みが機能している私学は日本でまれで「私学の雄」を保ちつつ規模を拡大できている秘訣といえます。早稲田大学には商議員会議長という地位があり、「同窓会長兼理事会議長」のような地位で、岡田さんのお父さんはこの地位にいたことがありますので、内部では総長を優越する唯一の地位といえます。無理やりこじつけていますが、バブル期を前後した早稲田国対で、向こう2年ないし3年間政治が動くことになるかもしれません。

 国民民主党は両院議員総会で、役員室長に浜口誠参議院議員を選びました。玉木雄一郎代表の名代は、同期当選で東大・大蔵省の先輩の岸本周平さんがつとめてきましたが、今後は浜口さんが窓口になるのかもしれません。

 碧水会が3年間、一度もNHKに出られないまま解散し、嘉田由紀子さんは国民民主党・新緑風会の会派に移るようです。私の理解が正しければ嘉田さんはもともと国民民主党員だと思います。

 この辺も無理矢理岡田史観にしてしまうと、浜口さんは三重県民で「自宅から近いからトヨタ自動車に就職した」人であり、嘉田さんの滋賀県は川端達夫元幹事長のように参議院選挙制度も労働運動も政治も三重県と似ている傾向があります。

 泉健太代表、岡田克也幹事長、安住淳国対委員長、長妻昭政調会長の新執行日は、きょう、衆議院議長、衆議院副議長、自民党、共産党、有志の会、れいわ新選組、公明党の順であいさつ回りをしました。この後に、連合本部で芳野会長・清水会長にあいさつに行きました。立憲民主党の新役員が、連合会長よりも先に、国会内でのあいさつをするのは異例。

 国政選挙がない黄金の3年間に入ったことから、連合本部にあいさつする組織政党型から、衆議院議員同士で国会内・官邸を連絡し合う議員政党型の政治に移ったようです。

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