【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

「防衛財源確保」「LGBT」「性犯罪」議了しあす成立、一つ頭の体操を提示したうえで、衆議院あす「岸田65歳」解散へ

2023年06月15日 16時15分34秒 | 第211回通常国会(2023年1月)
[写真]国会議事堂正門側、向かって左は衆議院第一議員会館、4年前、宮崎信行撮影。

 「防衛財確」「LGBT」「性犯罪」の順に議了し、あす10時からの参議院本会議で可決し、成立のはこび。立憲民主党は単独で「岸田内閣不信任決議案」を衆議院に提出し、首相は7条解散に踏み切る公算となりました。

 私・宮崎信行の収支は、短期でも長期でも増減しませんので、解散総選挙どんとこいといったところです。

 まず頭の体操を先に提示しますが、委員会議了順に本会議で採決するので、「防衛財確」「LGBT」「性犯罪」になります。万が一、性犯罪の前に立憲が決議案を出した場合は、そちらが先決議案になります。採決前に7条解散をしようとしても、政府(審議会委員も含んだ概念)の都合で提出が遅れた性犯罪が秋以降になってしまいます。そこで、首相が記者会見を開いて「きょうは決議案を粛々と否決して来週性犯罪が成立次第、来週解散」とすると、抜き打ち感が薄れてしまいます。過去の早期解散で与党・自民党が圧勝した「2005年8月8日午後7時過ぎ」の郵政解散は抜き打ちで、小泉純一郎総裁が前年の参院選改選第一党の岡田克也代表を破りました。

 この頭の体操は、参議院内の誰かは必ず分かっているはずですので、読者諸賢は頭の片隅に入れていただたいと思います。但し、最後は衆議院与党だけで明日すべて決まりますから、これ以上考えても意味はありません。

●岸田首相の心のうちは「65歳総選挙」か

 安倍晋三元首相はおじいさん、お父さん、本人とも67歳で亡くなりました。岸田文雄さんのおじいさん、お父さんは65歳で亡くなっており、本人は今65歳です。7月29日の誕生日より前に解散総選挙をしたいというダンディズムがあるのかもしれません。内心を完全にうかがうことはできませんが、仮にその内心が総理の判断に強く影響したなら、警察は頑張ってくださいと、私も内心からエールを送ります。

【参議院財政金融委員会 きょう令和5年2023年6月15日(木)】
 重要広範議案「防衛財源確保法案」(211閣法1号)は、立維国共・参政党が反対し、自公のみが賛成して可決すべきだと決まりました。「1号」が6月成立は史上最も遅いかも知れません。
 ●衆議院財務金融委員会は「211閣法1号」の採決直前に決まった福島県での意見聴取会を、きのう開きました。
 ●廃案の見通し「金商法改正案」(211閣法56号)「社債株式振替法改正案」(211閣法57号)「休眠預金活用法案」(211衆法25号)は審議未了廃案となる見通し。

【内閣委員会】
 「LGBT理解増進法案」(211衆法13号衆議院修正)が付託され、新藤義孝衆議院議員から趣旨説明されました。これに先立つきのうの議院運営委員会では、立憲が欠席し、共産が反対する異例の採決で、この法案を議長が内閣委員会に付託することを決定していました。きょうの審議では、対政府質疑と並行して、各質疑者が一人ずつ民間人参考人を呼びました。質疑が終局して採決。立共れ反対、自公維国賛成多数で衆議院修正通りに可決すべきだと決めまいた。あす成立のはこび。

【法務委員会】
 「性犯罪刑法改正案」(211閣法58号衆議院修正)と「リベンジポルノ消去法案」(211閣法59号)を審議。採決で、衆から送付された通りに可決すべきだと決まりました。

【衆議院憲法審査会】
 今国会15回目の開催となりました。衆議院法制局長の論点整理があり「各会派の中では1番目に発言した会員を優先した」としました。昨秋の臨時国会では、1週休んで与野党幹事懇談会が確認しましたが、今回は連続で開催されました。今国会最後の見通しで、国民投票法改正では法案の審議はされませんでした。昨年以来の緊急事態条項が中心の議論となりましたが、4月には突然自公維国・有志の会が「9条」の話が中心となり、立憲が牽制する場面がありました。ウクライナ視察を紹介した公明党の北側一雄さん、立憲の調査会長の中川正春さんが次期衆院選小選挙区不出馬が決まっており、情勢は変化しそうです。

【参議院経済産業委員会】
 「北朝鮮経済制裁の延長」(211承認3号)で対政府質疑をしました。その後に採決して、承認すべきだと決まりました。

【環境委員会】
 一般質疑。

【衆議院地域・こども・デジタル特別委員会】
 一般質疑。

 以上です。

参政党も反対に回り足並み揃う「防衛増税反対で野党全党一致」あす成立のはこび、神谷宗幣「防衛費増には賛成だが、増税には反対だ」

2023年06月15日 14時08分02秒 | 第211回通常国会(2023年1月)
[画像]神谷宗幣参議院議員(2022年比例選出)、きょう2023年6月15日の参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 参政党も「防衛増税法案」反対し、自公以外のすべての党が反対で揃う展開となりました。同法案は「令和5年度以降10年間増額が必要だ」と規定しつつ令和5年度だけの財源確保策しか書いていない法案で、解散総選挙の結果にかかわらず、政権与党は今後も苦労しそうです。

 参議院議員は省庁別の第1種常任委員会に必ず一つずつ入らなけばならず、参議院出身の大臣は委員会をさしかわり続けてでなくていいかたちなっています。参政党事務局長で唯一の国会議員の神谷宗幣参議院議員は「財政金融委員会」に所属しています。

 「防衛財源確保法案」(211閣法1号)は2月3日(金)の閣議で決定しており、成立まで4カ月以上かかる超スローペースの審議。ようやく採決となったきょう、神谷さんは採決前に討論演説しました。

 神谷さんは「参政党は防衛費増には賛成だ」としつつ「法案に増税がふくまれている。参政党は減税を主張している」と簡潔に説明しました。それに加えて「参政党は情報分野などソフト面の充実を主張している」としきょねん12月の防衛3文書は「ハード面に偏り過ぎている」と述べました。

 参政党は「新しい国づくり10の柱」を主張し、そのうち6の柱で「宇宙、サイバー、電磁波、情報戦を含むオールドメイン戦で侵略と攻撃を断固許さない先手防衛へ」と打ち出しています。それに先立つ3の柱で「豊かさ上昇曲線の“経済づくり(令和の所得倍増戦略を実現する)」としていることから、法案に反対することになりました。

 法案は最近では異例の、自公のみの賛成多数で可決すべきだと決まりました。あす成立のはこび。

 今国会の冒頭で、立憲民主党の安住淳国対委員長が打ち出した「野党は防衛増税反対で一致する」という「昭和の国対文学」がすっきり通ったかたちです。

 以上です。