【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

ついにこの日が、「経済的徴兵制法案」が来年2024年通常国会に提出へ 迫られる「17歳の決断」

2023年06月24日 03時25分02秒 | 【法案】今後提出される法案
[写真]平和安全法制を実現した安倍晋三元首相(故人)、4年前の2019年、宮城県内で、宮崎信行撮影。

 岸田文雄首相が安倍内閣の外相として取り組んだ「平和安全法制」で、山本太郎議員が追及して学生支援機構幹部(経団連出身)が辞任した、「経済的徴兵制」を実現する法案が来年の通常国会に提出され、来年度中に予算がつく見通しとなりました。

 けさの日経新聞は、防衛大学以外の一般大学の3年・4年の理系学生40名に月5・4万円融資する「貸費学生」を全面的に改め、1年生からの文系・理系に現行より多い金額・人数の新名称制度を導入するための「自衛隊法改正案」が来年令和6年2024年1月召集の通常国会に提出され、来年4月にも予算が実施されるとの見通しを初めて報道しました。

 2015年の平和安全法制国会では、山本太郎・参議院特別委員(現・れいわ新選組代表)が元経団連専務理事である日本学生支援機構幹部が「それから、延滞者が無職なのか、低収入なのか、あるいは病気なのかという情報をまず教えていただきたい」「前も提言したのですが、現業を持っている警察庁とか,消防庁とか、防衛省などに頼んで、1年とか2年のインターンシップをやってもらえば、就職というのはかなりよくなる。防衛省は、考えてもいいと言っています」とし奨学金延滞者を自衛隊に「1年とか2年のインターンシップ」で送り込むべきだと提案していたことを暴露。この幹部は更迭されました。
  平和安全法制は成立。岸田外相はやがて自民党総裁・首相となりました。この間、平和安全法制の「切れ目のない安全保障」で、陸海空とも日米軍軍指揮所が新設されるなど過剰労働が指摘されています。外務省も日米豪英仏印と「ACSA」(物品役務相互融通協定)条約を署名し、改正自衛隊法の100条の後ろあたりの条文として国内法制化(ただし日印に限り弾薬の提供は対象外)。地球の裏側に送られる不安感から、海上自衛官が過去最多の年6人ペースで海上保安庁に転職したり、新規就職者が減ったりする現状となりました。定員充足率を高めるため、任期満了しているのに説得され、やめない隊員も多いようです。

 先々月の統一地方選でも、経済的理由だけで防衛医科大学に進学し、卒業後に自衛隊に入った者の早期退職し、負債が返済できずに、AV女優に転じた女性が政治家女子48党公認で世田谷区議選に立候補(落選)し、一石を投じました。


[写真]拳を握り締めた岸田首相、きょねん2022年、宮城県内で、宮崎信行撮影。

[写真]平和安全法制を実現した安倍首相(故人)。

[写真]経済的徴兵制の検討を暴露し幹部を辞任に追い込んだ特別委員だった、山本太郎・れいわ新選組代表、きょねん2022年、国会内で、宮崎信行撮影。

[写真]海上自衛隊の主力護衛艦「しらね」に乗艦して取材する筆者・宮崎信行、今から26年前の1997年、東京湾上で。

 現在、東大卒業生が統合幕僚長となっており、「一般幹候」(防衛大学校卒業生ではない四年生大学卒業の幹部候補生)でも出席できるとして、17歳ないし18歳に対して、大学1年生の4月から月6万超の融資をすることで囲い込みたい意向のようです。

 日本国憲法第18条は「何人も、いかなる奴隷的拘束を受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない」と定めています。芦部信喜・東大教授(故人)は「徴兵制は、本人の意思に反して強制される労役であることは否定できないであろう」との学説を示しており、借金で首を縛る経済的徴兵制による解釈を、防衛省・財務省・内閣法制局が理論武装することになりそうです。

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