【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

極楽浄土のウィシュマさんに届け、斎藤法相問責決議案提出さる、入管採決先送り、防衛財源「1号」審議続く

2023年06月06日 17時56分42秒 | 第211回通常国会(2023年1月)
[写真]ウィシュマ・サンダマリさんのご遺体、おととし2021年5月23日、「JNN報道特集」放送画面から宮崎信行撮影。

 参議院立憲民主党は単独で「斎藤健法相問責決議案」を提出し、「入管難民法改正案」(211閣法48号)の採決を阻止しました。

 スリランカの人口0・2億人強のうち7割が仏教徒ですので、極楽浄土のウィシュマさんに届け、としました。

 残り会期は15日間あるなか、必ずしも展望は開けていないと思われます。

 9年前、小川敏夫元法相が法務委筆頭理事で、趣旨説明後に法案の順を入れ替えたことがあるので参考にしてほしいと思います(会社法改正案に「強制買取された少数株主への代金受渡無し」と小川敏夫さん 修正し衆回付か 参・法務委 - ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記)。

 また、石川大我さんらが大阪入管を直接訪れた女性常勤医師飲酒問題。3か月前に、私が共同通信きさらぎ会で、法務省の新規採用ルートが複雑すぎるという同省に限った問題を指摘しています(【法務省】斎藤健大臣は職員の新規採用ルートについて「法務省は他の役所とちょっと違う」「マネジメントはなかなか難しい」と認める - ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記)。この問題は、大臣官房長でもある検察官のG7唯一の起訴便宜主義と、東京一括採用の問題もからんでくるので、国会議員で問題だと感じたことがある人はほとんどいないと思いますが、与野党とも関心を持ってほしいところです。

●参議院法務委員会は取り止めとなりました。

衆議院本会議 きょう令和5年2023年6月6日(火)】
 「活火山対策特別措置法改正案」(211衆法20号)と「国土強靭化法改正案」(211衆法21号)が可決し、参議院に送られました。
 「民事訴訟デジタル化法」(211閣法60号参先議)が可決し、成立しました。

【参議院財政金融委員会】
 「防衛財源確保法案」(211閣法1号)で、連合審査会や鈴木俊一財務大臣への質疑が続きました。議案番号「1」が6月も審議されているのは極めて異例なことです。野党参国対の考え方は私にも分かりませんが、この法案は「5年で43兆円の防衛財源のために令和5年度の羊頭狗肉の埋蔵金取り崩し策」が書かれています。仮に成立すると、政府は「令和6年度の防衛財源の確保を必ずしなければならないプログラム」が法定化されます。ということは、政府自民党にとっては、増税しなければならない道理となります。なら、参議院自民党としては解散で廃案でもいいだろうと考えると思います。さて、どうなるでしょうか。

【外交防衛委員会】
 「211閣法1号」の兼ね合いで長期審議となった「防衛装備品基盤強化法案」(211閣法20号)が採決されました。共産・沖縄の風が反対し、自民・公明・立憲・維新・国民が賛成して可決すべきだと決まりました。
 そして、「調停に関するシンガポール条約」(211条約8号)「国際コーヒー協定」(211条約10号)「WTOマラケッシュ協定の改定」(211条約11号)が審議入りしました。211条約8号の国内実施法は既に成立しました。

【厚生労働委員会】
 「旅館業法改正案」(210閣法6号衆修正)を衆修正通りに可決すべきだと決めました。「ノーマスク拒否規定」については「拒否理由を丁寧に説明する義務」が必要だとする修正だったようです。

【経済産業委員会】
 「不正競争防止法などを改正する法案」(211閣法54号)が全会一致で可決すべきだと決まりました。不競法だけでなく、知的財産関係についても広く議論され、経産官僚が知財の法整備に自信を持っていることをうかがわせるやりとりもありました。

【国土交通委員会】
 「空家対策推進法改正案」(211閣法43号)を全会一致で可決すべきだと決めました。

【衆議院沖縄・北方特別委員会】
 6/13(火)に参考人質疑を開くと決めました。

●総務省統計局
 解散観測がありますが、4月の家計調査が出ました。名目で収入が前年同月比2・6%増なので、岸田文雄首相・芳野友子連合会長らの公約を達成しているかのように思えます。ところが、「世帯主である男性」の収入が名目で同マイナス4・1%となっています。気になって調べたら、4年前の統一地方選の時期と比べ「月728円」しか増えていないようです。定年再雇用シニア嘱託の給料が安いということでしょうが、建設業及び小売業の正社員の所定外給与なども減少しているようで、蟻地獄のようにじわじわ苦しくなるなか、いろいろと工夫をしているようです。幸せの形は、家族それぞれ。

 アベノミクスの量的金融緩和の円切り下げで、「チープ・ジャパン」にはコロナ明け、白人を中心とした外国人観光客のみなさんが殺到しています=先月5月5日、宮崎信行撮影=。東京・歌舞伎町「トー横」は、高齢男女も0時前後まで無秩序な雑踏の中「チープ・ジャパン」を楽しんでいます。さはさりながら大久保公園前の立ちんぼと交渉している白人男性はさすがに見かけません。私の台湾人の友人(日本語が話せない配偶者)も観光業のビジネスで来日中とのこと。日本から出るのも、日本に来るのも共通していると思いますので、入管難民法の審議を通じて島国日本の共生社会の触媒になるとよいと思います。

 以上です。