【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

入管法改正案あす成立で、自民・公明・維新ら「令和の世論見誤り」か、金商法改正案が衆議院通過も当初会期内成立の可能性は半々か

2023年06月08日 18時04分27秒 | 第211回通常国会(2023年1月)
[画像]連休前の入管法改正案に反対する国会議事堂裏の集会、宮崎信行撮影・加工。

 2年ぶりに、締め切りギリギリの3月7日の閣議で決定し提出された「入管難民法改正案」(211閣法48号衆議院修正)が参議院法務委員会で、立憲・共産が同意しない「強行採決」され、混乱のなか可決すべきだと決まりました。あす成立のはこび。が、審議を気にした出入国在留管理庁が「難民認定員の偏在」「入管医師の飲酒診察」を隠蔽した疑惑も出てきて、法務省のガバナンスに影響しそうです。

 「昭和の国対」としては、法案通過後に補充の一般質疑をするなど与野党とも精彩を欠く国対でした。

 一方、連休前の4月25日(火)午後4時15分、衆議院第二議員会館前で大規模集会が開かれていました。この際、私はとくに考慮せず写真を撮ったら、おそらくクルド人女性から「写真やめてください」と言われました。公道なのになんでだと思いましたが、公立学校に通うクルド人生徒・学生が授業を休んで抗議運動に参加していたのではないかと後から報道されました。けっしてほめられたことではありません。しかし、仮放免の人など、生死をかけた国会審議に並行して、共生社会の実現を求めた日本人も共鳴し、国会正門前の抗議運動は6月上旬の現在も続いています。

 2年前に廃案になる前の抗議運動。

[写真]おととし2021年5月撮影。

 入管法改正案の抗議運動を、立ったままみる人たち。私が長年批判している「ブラック労働の霞が関はいけないが、法務省公安調査庁職員は暇すぎる」との見立て通り、公安調査庁職員が単に見ていただけだと思います。抗議運動の高まりで衆議院段階で上川陽子法相・森山裕国対委員長が廃案を決断しましたが、今回のコロナ明け抗議運動の方が人が多いと思います。それでも、あす成立のはこびとなったのは、この2年間に、衆参の国政選挙が終わったから。しかし、異次元の円安における共生社会を実現する人々の考え方の変化を、維新・自民・公明などの国会議員らが「令和の世論見誤り」をしているのかもしれません。私も謙虚に修正していきたいと思います。

【参議院法務委員会 きょう令和5年2023年6月8日(木)】
 議題は「入管難民法改正案」(211閣法48号衆修正)と「立・共対案」(211参法8号・9号)ですが、「閣法48号」の質疑終局が宣言されました。討論は、立憲と共産のみ。採決の結果、立共反対、自公維国賛成多数で衆議院修正通り可決すべきだと決まりました。この後に、補充的な意味合いでの一般質疑がありました。5月末に衆から送付された「性犯罪刑法改正案」(211閣法58号衆修正など2法案)は当初会期内に成立する見通し。

【衆議院本会議】
 「認知症基本法案」(211衆法20号)は全会一致で可決し、参議院に送られました。
 「金融商品取引法改正案」(211閣法56号)は自公のみ賛成で、「社債株式振替法改正案」(211閣法57号)は全会一致で可決し、参議院に送られました。当初会期内の成立の可能性は半々か。
 「休眠預金活用法改正案」(211衆法25号)は全会一致で可決し、参議院に送られました。前回の最初の法律に「5年後見直し」があり、2度目の改正案となっています。

【憲法審査会】
 今国会14回目の開催で、国民投票法改正をめぐる自由討議がありました。自公維国の「改憲与党4党」側から見て、今国会での国民投票法改正法案の成立は絶望的。

【情報監視審査会】
 特定秘密保護法や改正国会法にもとづく「年次報告書」の概要説明を受けて、採決しました。

【地域・こども・デジタル特別委員会】
 「第13次地方分権一括法案」(211閣法44号参先議)を可決すべきだと決めました。質疑では、第1次から第13次までに内閣府に意見を述べた地方自治体は全体の半々ぐらいだったようです。また、既に速報記事を出した通り、屋根のブルーシート張りで建設会社の費用全額を災害救助法に基づきすべて国費から出すことを内閣府防災が答弁しました。公明党の中川宏昌氏に対する答弁。
 「令和5年3月予備費の低所得世帯給付金の差し押さえ禁止法案」(211衆法 号)を可決すべきだと決めました。

【参議院財政金融委員会】
 「防衛財源確保法案」(211閣法1号)の対総理質疑がありました。今国会の重要広範議案4本の対総理質疑は衆参合わせて8回になりますが、これですべて終わりました。が、午後に外交防衛委員会との連合審査があるため、採決は次回以降となりました。

【外交防衛委員会】
 「調停に関するシンガポール条約」(211条約8号)「国際コーヒー協定」(211条約10号)「WTOマラケッシュ協定の改正」(211条約11号)をすべて全会一致で承認すべきだと決めました。今国会の条約承認案件はすべて議了しました(署名遅れで提出しなかった条約1本)。

【厚生労働委員会】
 「良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案」(211衆法18号)。れいわ新選組の重度障害者、天畠大介輔委員が修正動議を出し「ゲノム情報を理由とする差別を禁止する規定が書き込まれていない」と批判しました。題名そのものを変える案で、修正案はれいわ新選組のみの賛成で否決。原案は、れいわ新選組のみの反対で、可決すべきだと決めました。
 「戦没者の遺骨収集の推進に関する法律の一部を改正する法律案」(211衆法19号)は全会一致で可決し延長規定が認められました。

【経済産業委員会】
 「商工中金民営化法案」(211閣法51号)が趣旨説明されました。

【国土交通委員会】
 「北朝鮮船舶入港禁止の延長の承認案」(211承認2号)が趣旨説明され、質疑・討論はなく、ただちに採決され、全会一致で承認すべきだと決まりました。斎藤鉄夫大臣がコロナ感染のため副大臣が対応しました。

【衆議院総務委員会】
 一般質疑があり、令和5年度予算で認められていない、衛星BS波放送番組のインターネット・スマホアプリ再配信のための設備投資費用支出について、NHK会長らが答弁しました。

【原子力問題調査特別委員会】
 一般質疑がありました。

●衆議院農林水産、環境委員会が理事懇談会を開きました。もちろん、衆議院の議院運営委員会の理事会・委員会も開かれました。

●あすも定例金曜日午後1時の衆議院本会議は開催されません。与野党当選1回のセンセイ方にとって、あすは初当選以来最大のサボり時かもしれない。都内の原宿駅から表参道にかけてウィンドウショッピングでもしてほしい。地元の知り合いと会ったら与野党とも「日本看護連盟の本部ビルに行こうとしている」と話せばうそにはなりません。

 以上です。 

東京新聞・望月衣塑子記者がヤジを飛ばしたとして理事会協議事項に 鈴木宗男委員が指摘し杉久武委員長がひきとる 参議院法務委員会

2023年06月08日 11時37分33秒 | マスコミ批評
[写真]東京新聞社、千代田区、きょねん2022年9月、宮崎信行撮影。

 日本維新の会の鈴木宗男・参議院法務委員は、きょう2023年6月8日(木)の一般質疑で、委員会冒頭の「入管難民法」の採決の際に、東京新聞の望月衣塑子記者がヤジを飛ばしたと杉久武委員長(公明党)に語り、理事会協議事項として、今後調査することになりました。鈴木さんは「委員ではない傍聴議員は発言できない」としたうえで、望月記者にも言及しました。

 きょうの委員会は、参議院分館2階にある「第23委員会室」で開かれました。参議院は委員長の指示が無い限り、9割9分、前後の扉は開けたまま議事をします。望月記者が入室した記章は不明。

 取材活動については、2004年年金国会で、衆議院分館のエレベーターホールで、カメラを移動させながらぶら下がり取材をするのが危険だとの指摘が出て、衆議院議院運営委員会の理事会協議を経て、親委員会でも発言があり「分館内のエレベーターホールで、カメラは移動できない」との原則が先例として議事録に残り、現在も守られ、新人スタッフを含めて、トラブルはまずありません。

 以上です。

【重大】自民党元都議の子が交通安全協会長である「板橋署」の佐藤良一前生安課長が匿名垢で立憲女性若手足立区議新人候補予定者の情報を選挙前に漏洩か

2023年06月08日 11時25分56秒 | 自民党
[写真]警護対象要人の「人間の盾」であるジャーナリストである横田一記者の「石破茂さんがぶら下がり取材に応じてくれた(から岸田文雄次期首相にもぶら下がり取材したい)」との発言に対して、あろうことか、先行暴行でこたえた警視庁本部警護課若手警護官、東京オリンピック終了直後の2021年9月、宮崎信行撮影。

 警視庁板橋警察署の佐藤良一生活安全課長が、立憲民主党足立区議会議員の情報を匿名アカウントで発信していたことが、一部報道で分かりました。
 佐藤氏は、2023年5月8日の新課長の発令よりも前に警視庁職員を依願退職したもよう。
 板橋警察署の民間人協力組織である「交通安全協会」の篠連一郎会長は、篠佐太郎元自民党都議会議員の子ですので、自民党との関係もありそうです。篠民間人は、佐太郎元自民都議の時代から「東新町(とうしんちょう)」の大地主で早稲田大学政治経済学部卒業。

 6年前の都議会自民党と都民ファーストの会の暗闘の勃発で顕在化した旧来地主と新興地主の23区のみ固定資産税課税官庁の「東京都レベル」での暗闘が桜田門捜査2課と所轄生安でねじれている職員のうっぷんが噴出したのかもしれません。

 佐藤氏は、2021年2月22日付で、荒川警察署生活安全課長から、板橋警察署生活安全課長に横滑り。
 戦後の「闇市」の関係で古物営業法は警視庁(正式には東京都公安委員会)の所管となっています。但し、本庁の場合は、生活安全部でなく、刑事部捜査2課が出てくることが通例。公職選挙法は主に捜査2課ですので、立憲女性足立区議候補の古物営業法に関する案件で、署の生安課長が知っていても、できることは限られると思われます。


[写真]交通安全協会員や古物商防犯協力会員など所轄署民間人協力団体の会員などが持つ警視庁の茶封筒(右)、きょう2023年6月8日、東京・北区内で、宮崎信行撮影。

 以上です。

【速報・追記あり】入管法改正案、参議院法務委員会で強行採決さる、石川大我「審議が尽くされた、そんなわけはありません」れいわ舩後靖彦、木村英子両議員らも詰め掛ける

2023年06月08日 10時21分00秒 | 第211回通常国会(2023年1月)
[画像]強行採決に反対する立憲・共産・れいわ議員ら、参議院法務委員会、きょう2023年6月8日の参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 大阪入管女性医師の飲酒診察、難民審査民間人の仕事の片寄りと件数の虚偽答弁、収容施設のカメラ部分消去、大臣の記者会見事後修正など、隠蔽体質とマスコミ機能の低下から、審議中に新しい情報が噴出した「入管難民法改正案」(211閣法48号衆修正)は、さきほど10時8分からの参議院法務委員会で野党が承諾しないなか強行採決。

 きょう2023年6月8日の審議がない総務・農林水産・環境委員らも応援にかけつけ、れいわ新選組の舩後靖彦、木村英子両議員らも抗議しました。

 立憲の石川大我さんは反対討論で「審議が尽くされた。そんなわけありません」として「数千人単位の命がかかっている」とし、3回目で強制送還される難民認定審査の改悪を批判しました。

 共産の仁比聡平さんは立憲・共産2党が提出した「難民保護法案」など2つの対案を審議するよう求め、「次のウィシュマさんがうまれてしまう」と主張しました。

 まもなく採決。
 あす午前10時からの本会議で可決し、成立する公算。




[画像]強行採決に反対する立憲・共産・れいわ議員ら、参議院法務委員会、きょう2023年6月8日の参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

[追記 10:30]
 杉久武委員長は午前10時26分頃に討論終局を宣言。
 神奈川選挙区で4選の牧山ひろえさん、政党党首を長くつとめる福島みずほ「立憲・社民」議員らが詰め寄るなか、賛成多数で可決すべきものだと決めたと宣言しました。

[追記おわり]
 以上です。



[災害][予算]被災した屋根のブルーシート張りの建設業者の施工を全額国費に、政府答弁、今年度から災害救助法で

2023年06月08日 09時44分49秒 | 法律の執行状況
[写真]首相官邸と内閣府、きょねん2022年、宮崎信行撮影。

 政府は、風雨で被災し破損した屋根にブルーシートを張る作業を、建設業者が実施した際、費用を全額国費負担するように、災害救助法の運用を今年度から変えることを答弁しました。きょう2023年6月8日の衆議院地域・こども・デジタル特別委員会での公明党の中川宏昌氏への答弁。

 内閣府大臣官房審議官は次のように答弁しました。
 「近年地震や台風等によりまして、屋根や外壁等が損傷し、その後の降雨による浸水被害により、住家の被害が拡大したり、高齢者等が屋根で作業中に誤って転落したりするなどのケースが起こってきていることから、ブルーシートの展張を補助する必要性が高まっていると認識しています」と語りました。

 そのうえで「本年度から住宅の応急修理の一類型として、雨漏り等による住家の被害の拡大を防止するため、ブルーシート等の必要な資材費および建設業者団体等による施工経費、施工費用につきまして、災害救助法の負担の対象となるよう検討をしております」と述べました。

 内閣は「現在パブリックコメントを実施している」としつつも「速やかに実現を図ってまいりたいと考えております」と明言しました。

 以上です。