【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

児童手当の所得制限を撤廃、首相、1月の茂木幹事長提言から5カ月遅れ、立憲「失われた10年」と批判再燃へ

2023年06月13日 18時52分21秒 | 政権交代ある二大政党政治の完成をめざして
[写真]岸田文雄首相・自民党総裁、先々月2023年4月、千葉県内で、宮崎信行撮影。

 岸田首相は、きょう令和5年2023年6月13日(火)午後6時半から記者会見し、「児童手当の所得制限を、令和6年10月から撤廃する」と明言しました。同日閣議決定した「こども未来戦略方針」の内容として説明しました。

 民主党が2007年参院選「3つの約束」や2009年衆院選「マニフェスト」も目玉として、年少扶養控除廃止を財源とした「こども手当」を創設。その後小沢一郎幹事長が「全国民からの要望として所得制限をつける」という意味不明な要望をしましたが、鳩山由紀夫首相が、可部哲生・厚労担当主計官らを説得し、継続。しかし、2010年参院選のねじれで、バラマキ4kと批判され、こども手当法の成立が2011年3月下旬まで難航し、玄葉光一郎政調会長ら民自公3党合意で、所得制限を見返りとした特例公債法成立へと追い込まれました。今世紀初頭から民主党の支持が厚い傾向があった都市在住の高所得サラリーマン世帯からの批判もありました。

 今国会3日目の茂木敏充幹事長の代表質問で、所得制限撤廃が浮上。当初、総裁と幹事長が事前に示したあわせたやりとりと思われましたが、加藤勝信厚生労働大臣らが批判。立憲民主党は、かつてのマニフェストの正しさが証明されたとして「失われた10年プロジェクト」を立ち上げましたが、成案ではないと分かり、中断していました。

 首相が閣議決定にもとづき、児童手当の所得制限撤廃に10年ぶりに追い込まれたことから、今後は、所得税の控除をめぐる税制改正議論や、立憲民主党による「失われた10年批判」の再燃が予想されます。

 以上です。

「荒井案件」のLGBT差別解消法案は自公維国主導の法案が可決、防衛財源法案は採決見送り

2023年06月13日 18時30分48秒 | 第211回通常国会(2023年1月)
[写真]衆議院第一議員会館から見た第二議員会館(左)と国会議事堂中央部の裏側、3年前2020年6月、宮崎信行撮影。

 会期は来週水曜日までですので、参議院の第1種常任委員会の定例日は、きょう、今週木曜日、来週火曜日の合計3回となりました。

【衆議院本会議 きょう令和5年2023年6月13日(火)】
 北村誠吾さんの追悼で、上川陽子さんが「魂の政治家であり続けた。二十一世紀クラブで長崎を訪れた。自民党本部内の会合にはすべて出て資料を持ち帰った」と故人をしのびました。二十一世紀クラブで連続当選している人たちはその後、岸田派(宏池会)に入ったようです。
 情報監視審査会年次報告がなされました。
 「第13次地方分権一括法」(211閣法44号参議院先議)が可決し、成立しました。
 「令和5年3月予備費に係る低所得者給付金に係る差し押さえ禁止法案(211衆法26号)が可決し、参議院に送られました。
 「北朝鮮経済制裁の延長」(211承認3号)が承認されました。
 西村ちなみさんらが提出した「性的指向及び性自認の多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案」(211衆法14号)が否決され、衆議院段階で廃案となりました。
 自公維国が主導した「性的指向及び性同一性の多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案」(211衆法13号衆議院修正)を採決し、賛成多数で修正議決し、参議院に送られました。今国会での辞任案件わずか2つの一つ、荒井前事務秘書官(経産省)の更迭をきっかけに首相が指示しましたが、G7には間に合わない不首尾なプロセスとなっていました。
 平成30年度、令和元年度決算が承認されました。

【参議院第1種常任委員会】
 ●財政金融委員会は「防衛財源確保法案」(211閣法1号)を審議しました。立憲参国対が採決前に酒井庸行委員長解任決議案を提出するかまえを見せたため、採決せず、木曜日に持ち越しました。
 ●法務委員会は「性犯罪刑法改正案」(211閣法58号)と「リベンジポルノ消去法案」(211閣法59号)の参考人質疑と対政府質疑がありました。一つ気になったのが、閣法59号で、人物の下着等を撮影しようとして記録が残る前でも未遂罪として防犯カメラを証拠に逮捕されうるとのこと。今、法案を読んだらこの新法(案)の第2条第1項のようです。で、要件は「本人が自ら露出したもの」に限りますが、全身を撮ろうとし、スカートの中が映そうとしたとし、防カメの画像だけを証拠とし「未遂」と立件されかねないので、配信者・ジャーナリスト等は念の為頭に入れておいた方がいいかもしれません。
 ●経済産業委員会は「商工中金民営化法案」(211閣法55号)を賛成多数で可決すべきだと議決しました。今国会は「GX原発60年超」の難航も予想されましたが、追加で提出した法案まで成立することとなりました。
 ●厚生労働委員会は「認知症基本法案」(211衆法24号)を可決すべきだとしました。
 ●国土交通委員会は「貨物自動車運送事業法改正案」(211衆法19号)を可決すべきだとしました。
 ●総務委員会と文教科学委員会は一般質疑。
【衆議院沖縄・北方特別委員会】
 午前中は沖縄の部、午後は北方の部で参考人質疑がありました。橋本行革までは、沖縄は総理府沖縄開発庁、北方は、総理府北海道開発庁と総務庁北方対策本部でしたが、今は沖縄は内閣府沖縄総合事務局、北方は国交省北海道局と内閣府北方対策本部に分かれています。
 以上です。