【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

岸田文雄首相(65歳)広島サミット解散弄びけっきょく解散せず、防衛財確法で毎年3兆円確保プログラムで岸田自公は首が締まる公算

2023年06月16日 16時18分31秒 | 第211回通常国会(2023年1月)
[写真]岸田首相と西村明宏環境大臣、きょねん6月、仙台市内で、宮崎信行撮影。

 100年前に正力松太郎がデマを流した朝鮮人虐殺なみに、マスコミに叩かれ続けた衆議院立憲民主党ですが、現職たちは選挙に自信があったようで、解散機運が一気に高まりましたが、岸田文雄首相はゆうべ午後6時半ごろ、7条解散を断念することを示しました。
 けさの参議院本会議は防衛財源確保法が成立。これから10年間防衛費増額が必要だと法定化しつつ令和5年度の財源しか具体策を示さない無責任なプログラム法で、令和6年度以降、岸田自公の首は締まり続けることになります。

【参議院本会議 きょう令和5年2023年6月16日(金)】
 「令和5年3月予備費に係る低所得者給付金に係る差し押さえ禁止法」(211衆法26号)が可決し、成立しました。
 「北朝鮮経済制裁の延長」(211承認3号)が両院で承認されました。
 「防衛財源確保法」(211閣法1号)は自民党・公明党・政治家女子48党が賛成し、立憲民主党・日本維新の会・国民民主党・共産党・れいわ新選組・沖縄の風が反対して、可決・成立しました。1月に安住淳国対委員長が掲げた「野党全党は防衛増税反対で共闘」の昭和国対文学が成功したように思えましたが、最後の政治家女子48党が賛成に回るという不首尾な展開となってしまいました。
 「LGBT理解増進法」(211衆法13号衆議院修正)は自民党から造反者が出つつも可決・成立しました。サミットには間に合いませんでした。
 「改正性犯罪刑法」(211閣法58号衆議院修正)と「リベンジポルノ消去法」(211閣法59号)は全会一致で可決し、成立しました。

【衆議院本会議】
 立憲民主党が単独で「岸田内閣不信任決議案」を提出しました。

 趣旨弁明は「予算委員会は得意でない」と側近に話している泉健太代表が登壇しました。

 ところで、決議案は「理由を付けることができる」が先例です。

 泉さんは「まず、今回の解散騒動は何だったんですか。総理は全く自覚がないんじゃないでしょうか。周りがなぜ騒いでいるのか。俺にはそんなつもりはないというかもしれません。しかし、総理の発言が総理の含み笑いが周囲を挑発し、自民党を混乱させ、今回の大きな解散騒動となりました。総理は自らの権限と影響力を理解していないと言わざるを得ません。与党には、ずいぶん影響をこうむった方も多いんじゃないですか。野党でもあまりに国会の権威、議員の身分を軽んじた総理の発言に怒りを覚えた議員も多いのではないでしょうか。全国の自治体を混乱させ、政治行政経済にも大きな影響を与えかねない解散を軽々しく振りまわす。総理にその迷惑をかけたという自覚がない。だからこそ、私は議場の見識のある皆様に訴えたいと思います。岸田内閣を退陣させる内閣不信任案に賛同いただきたい」とおとといからきょうまでの騒動を総括しました。

 泉さんは「岸田総理が策定した今年度予算では、防衛費が他の歳出の伸びを大きく上回る予算でありました。5年間では43兆円。日米同盟を基軸とした安全保障政策を進めてきた日本が、今後自ら何をして、米国とどういった協力役割を担って総合的な抑止力を高めていくのか。そういった地道な議論がほとんどないままに、5年で43兆円の言葉が躍り、2%の言葉が躍り、計画の詳細は、委員会で議論もされる採決にまでいたろうとしたのが財源確保であります」と批判しました。

 日本維新の会の堀場幸子さんは選挙区内に「堀場製作所」がありますが、全く関係ないそうです。

 堀場さんは「私はスーパーでよく買い物をしますが、あらゆる商品が一斉に値上げしている現実を目の当たりにしています」とし「国民負担率は約47%にも達していますが、やがて防衛費の財源確保のための増税も待ち受けております。このため、最近、地元の有権者の方々から私達の暮らしは厳しくなるばかりなのに、国会議員はいいご身分ですねと言われたことが枚挙にいとまがありません。こうした国民の皆様の悲痛な声に胸が痛みませんか。どうして平気でいられるのですか」と語りかけました。

 そのうえで会期を延長してでも旧文通費改革をすべきだとしつつ、「滑り込みで決めた委員長手当の廃止でお茶を濁すようなことは、断じて許されません」「6月9日に大阪市議会では、大阪維新の会主導で議員定数を81から72に削減する条例を可決しました。大阪府議会では、この10年間、議員定数を109から79に減らしました」「民主党政権、平成24年当時野田総理と、安倍自民党総裁が党首討論で、議員定数の大幅な削減で合意したのに、その後10年余り定数の削減は遅々として進んでいません。これも国会の怠慢、国民との約束の不履行です」「議員バッジを着ければ上流階級になるんですか。そんな大いなる勘違いをしている方は、ここには誰1人いないと信じております。ぜひ行動で示してください」と語りました。

 採決は、投票総数449、賛成107、反対342の圧倒的多数で否決されました。

 委員長手当こと議会雑費は、日6000円で、国会会期中は月18万円。閉会中でも、常任委員長には支払われます。地方議会では委員長どころか副委員長にも手当があります。今国会で、全党が委員長手当を全廃する歳費法改正案に賛同しています。ところが、来週水曜日までの今国会で、きょう金曜日に衆議院で不信任議決案否決で終戦モードとなりました。このままだと残り会期中に、議会雑費廃止程度の身を切る改革すらお茶を濁すことになるかもしれません。

 立憲民主党の岡田克也幹事長は、党所属議員に対して旧・文通費の領収書をすべて保存するよう指示しました。領収書を保存したところで、それは何ら身を切る改革ではありません。インターネットの時代、ごく1%程度の人間は、ごまかしに気づいています。委員長手当廃止を議運で決めた以上は、残り会期で衆参で法律にすべきだし、立憲民主・社民は歳費返納法にもとづき月7・7万円を返納すべきだし、していれば「一級品の行政文書はもう飽きた」と教えてくれる人がいたかもしれません。

 以上です。

 




政治家女子48党は賛成、自・公・政の3党が賛成「防衛財源確保法」

2023年06月16日 14時54分23秒 | 第211回通常国会(2023年1月)
 けさの参議院本会議で可決成立した「防衛財源確保法」(議案番号211閣法1号)で、政治家女子48党が賛成したことが分かりました。自民党・公明党・政治家女子48党の3党のみが賛成したかっこうとなります。

 以上です。