宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

政調会長をはずれた渡海紀三朗さんことしも年末に張り切る「政治資金規正法に関する政党間協議」をテレビ公開

2024年11月26日 18時13分47秒 | 第216回臨時国会
[写真]渡海紀三朗・自民党政調会長(当時)を囲む国民民主党の大塚耕平さん(左、おととい名古屋市長選落選)、公明党の高木陽介さん(右、先月不出馬で政界引退)の「自公国政調会長会談」、きょねん12月28日、常任委員長室で、宮崎信行撮影。

 政界地図が変わり、新しい政党間協議体がどんどんできています。

 あさっての召集を目の前にして、立憲、国民は執行役員会を開きましたが、自民党は総裁らが出席する三笠宮妃の斂葬の儀のため、役員会・役員連絡会を開きませんでした。あさっては午後1時から衆議院本会議。しあさっては午後3時から衆参で所信表明演説をし、衆の代表質問は週明け月曜日の午後1時から始まるという、最も「質問通告日」が短い日程となりました。石破茂首相は記者会見でまとまりがないので、本会議もぐだぐだな展開となるかもしれません。

【両院・政治資金規正法に関する政党間協議 第1回】
 政策活動費の10年以上温存を決めた改正政治資金規正法の再改正を行うことで与野党が合意し、渡海・前自民政調会長、西田・公明幹事長、大串・立憲代表代行、 藤田・維新幹事長、古川・国民代表代行、れいわ新選組の高井幹事長、塩川・共産国対委員長の7党派が集いました。なお、座長だった自民党の鈴木さんは法相に「栄転」しました。

 立憲の野田佳彦代表が「熟議と公開の政治」をとなえており、常任委員長室開催ではおそらく初といっていい全編テレビ中継が1時間以上されました。この中で、30年前の政治改革4法で、企業献金の5年後廃止検討条項がいまだにないがしろにされていることを念頭に、古川さんが「佐々木毅さんが、悪魔は細部に宿ると言っている」と発言し、年内決着のために結論を急ぎすぎないようくぎをさしました。渡海さん、大串さんの鼻息の荒さとはうらはらに、次回の日程は決められないまま、散会しました。

 ところで、今と違ってきょねんは「自民1強」でしたが、渡海政調会長は、暮れも押し迫った12月28日に「自公国政調会長会談」を開催し「トリガー条項凍結解除の3党実務者協議会」の設置を決めました。会議後、大塚耕平さんにしたがう党職員が「国民民主党は、(事後)レクチャーを行いません」と話し、渡海さんを信頼する姿勢を示しました。ところが、実務者協議はわずか1ヶ月ではしごを外され、国民は大恥をかきました。そして、大塚さん、高木さんは永田町を去り、渡海さんが、同期の石破首相のもと、ことしも暮れの政党間協議の晴れ舞台に登場。30年前「みなさん、私がどうして早稲田大学理工学部卒業だかわかりますか。親父の後をついで政治家になりたくなかったからです」とし「私のような不幸な世襲議員を増やすな」との渡海さんの発言は政治改革のムーブメントにつながりました。

 一方、当時から既に石破さん同様に目立っていた政治改革の闘士・岡田克也さんは、1期上で清和会の渡海さんを当時からよく知らない、としています。渡海さんは「新党さきがけ」が消滅してしまったので、やむなく自民党に復党したので石破さんらとは違います。人が良ければ政党間協議がまとめるわけではありません。職業政治家による間接民主制では、時間がない有権者に説明する能力があることが、「熟議と公開の政治」をする前提条件です。

【参議院・議院運営委員会理事会 きょう令和6年2024年11月26日(火)】 開かれました。

【官邸・自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する関係閣僚会議】石破茂さんの総裁選の公約実現のために開かれています。法案提出につながるかもしれません。
【官邸・経済財政諮問会議】開かれました。
【自民党・資産運用立国議連】総辞職直後として異例の岸田文雄会長の議連が新設され、さっそく首相に官邸で申し入れをしました。

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【提出される条約承認案及び法案】「日イタリアACSA条約承認案」と「自衛隊法第100条の20改正法案」を第217回通常国会で審議へ

2024年11月26日 17時44分03秒 | 【法案】今後提出される法案
[写真]遠藤敬・衆議院安全保障委員長、おととし2022年12月、常任委員長室で、宮崎信行撮影。

 日本外務省は、イタリアと「日本・イタリアACSA(物品役務相互交換)協定」の条約に署名しました。来年の通常国会に、「条約の承認案」と「自衛隊法の第100条の20を挿入する改正法案」が提出されることになります。両院議長は、勝俣孝明・外務委員長、遠藤敬・安全保障委員長、小野田紀美・外交防衛委員長に審査を付託することになります。

 2015年9月の「平和安全法制」に先立つ同年4月の「日米防衛協力のための指針いわゆるガイドライン」を雛型にして集団的自衛権を前提にした各国との弾薬・食糧等の相互融通に関する国際約束です。

 自民党内で、1998年ガイドラインから一貫して、ACSAにかかわっている中谷元さんが防衛大臣に返り咲きました。答弁は安定しない傾向にありますが、この間の経緯をもっと知る大臣となりました。日本維新の会で長年国会対策委員長をつとめた遠藤敬さんは、大阪府内選出なのに「東京組」と呼ばれ、川崎選出の金村龍那さんらと行動をともにしています。外務、防衛両大臣が出席する安保委員長としての手綱さばきで、当面は影響力を維持しそうです。

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32ある1人区「香川県選挙区」で国民公募も玉木「4倍増とはいえ、正直極めて限定的」と他の擁立しない見通し

2024年11月26日 16時33分52秒 | 第27回参院選(2025年7月)
[写真]香川県内における国政選挙のようす、3年前の2021年10月、宮崎信行撮影。

 来年7月は、「政権交代をかけた参院選」が第27回にして初めて行われます。ある報道機関では、32ある1人区で野党が一本化すると与党が3勝29敗となる試算もあります。この試算は甘いところがあります。野党支持が強い夫婦でも、建設・金融・保険・製薬は連合が候補者を立てないので、自民党公認の業界出身者の個人名を夫婦で書くことにためらいがありません。ですから、私の試算では、石破茂さんは(鳥取・島根合区など)2勝30敗ぐらいでないと、日本保守党を連立に入れても過半数を割ることはないと思います。野田佳彦さんらにとっては高い壁です。

 さて、国民民主党の玉木雄一郎代表や、香川県連幹事長(高松市選挙区の県議)らは香川選挙区の候補者の公募を始めました。香川は裏表とも自民候補が過半数で圧勝しています。が、衆での全3区のうち1・2区は野党幹部なので、参でも勝てる公算はあります。2016年は、ここだけ共産公認が立ち、残りの31は民進公認でした。32ある1人区で「市民と野党の調整候補」の一本化が完成しました。第27回参院選では、香川・奈良・滋賀を見渡すと、立、維、国、共の4党の調整が必要だと考えられます。が、完全一本化は可能だと思われます。

 玉木さんはきょうの定例記者会見で次のように語りました。

 「参議院選挙は比例復活がないので、その意味では1人区っていうのは一定の調整が必要になることは私も理解をしています。ただ我が党としてですね、正直申し上げて、(先月の衆院選で)議席を増やしたとはいえですね、今の体力と実力で、1人区にどれだけ立てられるのかということを考えますと極めて限定的ではないかなと思っています。ですから調整の必要性はもちろん理解をするものですね。調整の必要となる対象選挙区が果たしてどれだけあるのかということも現実的に考えながら、一方で、全国比例はもちろん自公とも戦えますけど他の野党とも戦うということになってますし、また東京などが典型ですけれども、6議席も(蓮舫氏の欠員分も含む東京の)7議席も通るところはですね、もうもちろん与党とも戦えますけど他の野党とも戦いながら議席を取る選挙区でありますのでその意味では1人と考えるとできるだけ調整となりますけど、複数とか全国比例になると、できるだけ他の野党とも一定の差別化をしながら戦っていかなければいけないという複雑なゲームを戦うことになっておりますので、そういった我が党のあのサイズ規模、実力そういったものも踏まえながらですね、1人区での調整をどこまでするのかしないのかこれは今後考えていきたいと思います」と語りました。

 山形、香川に限られそうです。

 玉木さんはまだ明示していませんが、同党は結党以来一度も達成していない「全国比例4議席」を全党一丸の最大の目標とすることは、間違いないでしょう。

 32ある1人区の調整ができるかどうかが、立憲民主党の野田佳彦・小川淳也執行部にかせられた最も優先順位が高い課題といえそうです。

 老婆心ながら付け加えると、どの党にかかわらず「政治塾」に参加した若い優秀な人は、たとえ地元であっても、1人区公認候補の誘いには慎重にしたら、よいでしょう。

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