[写真]衆院予算委員長の中井洽(なかい・ひろし)さん
(このエントリーの初投稿は11月15日午後9時15分)
[衆院本会議 2010年11月15日(月)]
午後9時過ぎに開会し、議事進行係が「内閣官房長官、仙谷由人君不信任決議案」を緊急上程しました。提出者は佐藤勉さん(自民党国対委員長代理)ら5名。閣僚の不信任決議案は堂々巡りで採決されます。最新の情報は、入っておりませんが、この後、馬淵澄夫国交相の不信任決議案も提出されると思います。採決の結果、否決される見通し。この後、補正予算案の採決などのため、衆・予算委が再開することになると思います。また、歳入関連法案を審議する衆・総務委はすでに流会になっています。最終的には補正予算は衆院を通過しますが、参院の補正審議の最終局面で、仙谷、馬淵両大臣の問責決議案が提出された場合、可決される可能性が高く、今国会のヤマ場となります。ただし、補正予算そのものは、衆院での再議決(予算案に関しては過半数でオーケー)され、可決し、真水で5兆1000億円に流れるようになる見通しです。
きょうからあすにかけてが、衆院でのヤマ場、来週が参院でのヤマ場となります。ただし、繰り返しますが、補正予算そのものの成立は確実な情勢で、国会では一般法案審議と政府では本予算案の編成に重点が移っていくと思われます。岡田克也幹事長は15日の記者会見で、「走りながら考える。走りながら協力関係を構築していく」と述べ、与野党幹事長会談、政調会長・国家戦略相による事前説明などのねじれ対応プロセスを微修正することを示唆しました。
自民党の塩谷立・元文科相は、仙谷氏を「司法試験と学生運動だけの学生時代を送った」「国会をディベートの場だと勘違いしている」と激しく批判しました。一方、反対討論に立った民主党の大島敦さんで、この人は人間的に立派な方ですが、演説の冒頭から「けんけんがくがく」という誤った日本語、よくあるんですが、小姑のようですが、僕としては気になるミスから始まりました。どうして、こういうところのチェックが入らないのか、そのプロセスが気になります。
仙谷、馬淵両大臣への尖閣問題での、検察の処分保留、ビデオの非公開措置、第5管区海上保安官による動画のYouTube流出(警視庁・東京地検が逮捕せず任意の聞き取りを継続中)などが理由のようです。仮に参院での問責の可能性が出てきた場合は、責任問題以前に、国政の遅滞を招かないための自発的な判断も求めたいと思います。
岡田克也幹事長は15日の記者会見で、馬淵大臣の責任について問われ、「不信任に値するとは考えていない」との認識を示しました。また、補正審議については、「これ以上にていねいなやり方はあるんだろうかという気がする。(衆・予算委の)集中審議をやればやるほど、野党が攻勢に出た」として、政府案を組む段階から、野党の要望を聞くという異例のやり方をしながら、採決に反対する姿勢を示している自民党ならびに公明党ら野党を批判しました。
[追記 2010年11月15日(月)午後10時5分]
仙谷由人官房長官不信任案は、およそ1時間の審議のうえ否決。引き続き、馬淵澄夫国土交通大臣の不信任案が緊急上程されました。
[追記 2010年11月15日(月)午後10時55分]
馬淵国交相不信任案は、投票総数467、賛成151、反対316で否決されました。この後、横路孝弘議長は、「ただいま議場内交渉係が協議中ですのでしばらくお待ち下さい」と発言し、議員は本会議場に張り付いたままとなっています。衆議院ネット中継にちらりと映った場面では、議長席の画面左の交渉スペースに、野党の議場内交渉係(議運委員の一部)が集まっていますので、投票のプロセスに何か瑕疵があるというようなことを井上茂男・事務次長に行っている可能性が高いように思います。このような件はそんなに長引かないと思います。
[追記 2010年11月15日(月)午後11時5分]
タイヘン珍しいことがありました。本会議場での議場内交渉係(各党の衆・議員運営委員)が相談し、鬼塚誠・事務総長、井上茂男事務次長らが横路議長の下に行き、ペンを持って議長が「これでいいの」などと確認した後、「お諮りいたします。日程第1、日程第2は後回しにすることにご異議ありませんか?」とマイクで問うと、どよめく議場が「異議無し」と全会一致。日程第1、日程第2はそれぞれ補正予算案と予算関連法案(地方交付税法案)だったんだと思います。これを後回しにし、日程第3の「民事訴訟法改正案」について、奥田建・法務委員長が報告し、全会一致で可決。日程第4の「雇用・能力開発機構法廃止法案」について、牧義夫・厚生労働委員長が報告し、起立採決の結果、賛成多数で可決。2つの法案が参院に送られました。これは野党側の協力もあったということで、“法律工場”がうまく回りました。その後、「後回し」だった日程第1、日程第2について、議事進行係の小宮山泰子さんが後日にすることを発議し、了承されました。午後11時5分、横路議長は「本日はこれにて散会します」と宣言しました。思ったより早く終わりました。この後、衆・予算委をやるのかは分かりませんが、おそらく流会すると思います。衆・総務委は早い段階ですでに流会しており、補正予算・関連法案の衆院通過はあす以降となりました。
民主党の鉢呂吉雄さんは「オープンな国対委員会」を掲げていますが、55年体制のシナリオ通りの国会運営と違い、ハラハラしながらも、きっちり国民にオープンな国会運営は続いています。オープンで、透明な議事進行のために費やされる若干のムダに見える時間は、これは“民主主義のコスト”と呼ばれます。時間がもったいないなら国会をやめて明治時代前半のように、内閣独裁に戻せばいいだけの話です。
[追記 2010年11月15日(月)午後11時25分]
衆・予算委の再開を中井洽委員長が宣言しました。自民党の馳浩さんから「予算の撤回のうえ編成がえを求める動議(組みかえ動議)」が提出され、提案理由説明がありました。続いて、みんなの党からも浅尾慶一郎さんが「予算の撤回のうえ編成がえを求める動議(組みかえ動議)」を提出し、提案理由説明をしました。公明党は提出しませんでした。早口の中井さんは、自民党動議、みんなの党動議の別々の案をひとまとめにして討論することを宣言。両案に反対する立場から、
民主党の金森正さん(比例単独東海)がお歳には思えないほどの若々しさで、地方議会経験を生かしたなめらかな滑舌でスピード討論。続いて、自民党の小里泰弘さんが、「政府案反対・自民党組みかえ動議賛成」で討論をゆっくりとした口調で始めました。
[追記 2010年11月15日(月)午後11時30分~59分の間]
次に組みかえ動議は出していない公明党から遠山清彦さんが討論。「中小企業に冷たい、地方に冷たい、農業に冷たい」として政府案に反対しました。このフレーズは公明党で統一されています。自民党案、みんなの党案は「賛同できる部分はあるが、反対だ」と述べました。なお、遠山議員は極めて早口で、与党に協力的でした。公明党の対応「したたか」という表現しかありません。続いて、共産党を代表して笠井亮さんが討論。政府案、自民案、みんな案に反対。ただし「早口協力」は評価できます。続いて、社民党の1期生・服部良一さん。
政府案「賛成」自民案「反対」みんな案「反対」と述べ、拍手がわきました。ちょっとたどたどしい服部さんですが、「最後に菅総理、小泉・竹中弱肉強食路線からの転換をめざして政権交代の原点に戻って下さい」と1期生らしい意見でしめくくりました。続いて、みんなの党の浅尾慶一郎さんがゆっくりとした口調で討論に立ちました。「菅内閣は政権の体をなしていません」との厳しい切り出し。「みんなの党は日銀法改正を準備しています」と政府案ではなく、減税措置を盛り込んだ編成替え動議で設備投資を促進する金融・税制面を促した上で、「政府案に反対」と述べました。この後、「国民新党・新党日本」の統一会派を代表して、下地幹郎さんが「政府案に賛成、自民案・みんな案に反対」として討論しました。日をまたぐまで、あと15分です。なんとか間に合いそうです。
午後11時43分。中井委員長が討論終局を宣言。まず、自民党組みかえ動議(武部勤君ほか2名提出)は起立少数で否決。つづき、みんなの党の組みかえ動議(浅尾君提出)も起立少数で否決。そして、11時44分、平成22年度補正予算3案(一般会計、特別会計、政府関係予算)を起立採決し、起立多数で可決しました。11時45分、委員長は衆・本会議への委員長報告書作成の一任をとりつけたうえで、散会を宣言し、「ご苦労様でしたー」と大声で叫びました。
というわけで、政府案に堂々と組みかえ動議を提出した自民党、みんなの党。そして、公明党は反対しながらも、審議には協力という風に、以前とは徐々に違った緊張感と実質審議のある衆院予算委員会でした。
今後の日程ですが、報道をご参考にしていただきたいですが、あす午前9時半からの衆・総務委で予算関連法案を可決の上、午後1時からの衆・本会議に予算と関連法案を議題にし、可決のうえ、参院に送付。参・本会議での代表質問はすでに終わっていますので、参・予算委で趣旨説明のうえ基本的質疑が2日間程度NHK入りで行われると思います。そして週明けにも参院の予算委や本会議で採決の上、「否決」されます。繰り返しますが、「否決」です。それを衆院に回付。衆・本会議でふたたび採決し、過半数の賛成で可決・成立する運びとなりそうです。このエントリーはこれで終わりです。