[写真]下野後トップバッターで質問した大串博志さん。左は民主党最年少衆院議員となった3期の鷲尾英一郎さん。2013年1月24日(木)、衆議院農林水産委員会。
民主党下野後、初めての質問に大串博志さんが立ちました。
これは前の国会の最終日に衆議院農林水産委員会で閉会中審査が認められていたからです。
委員長は、「次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。(略)農林水産関係の基本施策に関する件(略)以上の各件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。(略)御異議なしと認めます。よって、そのように決しました」と述べています。
ですので、正式には前の国会の会期のカテゴリーに入れたいところですが、国会の流れから年明け通常国会の新スタートの前奏曲として扱います。
大串さんは佐賀2区で比例復活しました。与党期では、初代の財務政務官や野田佳彦首相補佐官を務めました。
大串さんはのっけから地元の話。といっても、佐賀・長崎両県の有明海の国営諫早湾干拓事業について。開門調査が司法から命令されていながら、それに向けて対策工事の予算が、今年度補正予算(閣議決定、国会未提出)に入っていないし、新年度予算案の概算要求でも金額が示されていないとただしました。
「ギロチン」こと諫早湾干拓を受けて、民主党は立党大会を開いた第140回通常国会に「公共事業コントロール法案(公共事業の長期計画の透明化等を図るための関係法律の整備に関する法律案」(第140衆法32号渡辺周君外三名提出)。これが、「議員立法による対案路線」、「コンクリートから人へ」の理念のもと、民主党が国会でつよくなり、政権獲得につながった、改革の原点だからです。
佐賀県連も地方議員団では、自民党に後塵を拝しているでしょう。しかし、私の認識では、国営諫早湾干拓事業入植者30数農業者のうち、少なくとも1人は、自民党国会議員の親族ではないかと思います。そのように、自民党は地域に根を張っているけれども、逆にそれは、しがらみとなり、改革を不可能にしてしまいます。
改革の原点を継続する大串さんが、地元の話から入ったのは、そうやって国会も地方組織も民主党が鍛え直していく第一歩になる感じがしました。まあ、地元の話もしっかりとやらないといけないです。そもそも国営事業ですし。
衆院文部科学委員会の閉会中審査には、笠浩文・前文部科学副大臣と泉健太・元内閣府(子ども子育て担当)政務官の2人が登場。政務三役を経験し、小選挙区で再選した落ち着きを見せました。この中で、下村博文文科相、自民党の馳浩さん、民主党の笠さんらが「教育委員会制度の改革が必要だ」との趣旨の発言で一致しており、これに関しては超党派で速やかな改善を期待したいところです。
参院農林水産委員会では、中谷智司委員長(徳島、今夏改選)の名さばきの下、小川勝也さん(北海道、今夏改選)と徳永エリさんの北海道コンビが質問しました。
「木曜3時」といえば、民主党代表定例記者会見ですが、海江田万里代表は、衆院での代表質問には自らが立ち、衆院予算委員会には「若手の論客を立てて、安倍内閣へしっかり質問していく」と述べました。
ロケットスタートではなく、ていねいにしっかりと説明していくことが大事だと考えます。公共事業コントロール法案から、15年経って、民主党の時代認識が自民党のそれより正しかったのです。だから、要はそれをいかに血として肉として、そして何よりも「説明・説得」できるか。それがすべてです。
[国会会議録データベースから引用はじめ]
第182回特別国会 2012年12月28日(金)
衆議院農林水産委員会
本日は、これにて散会いたします。
(後略)○森山委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。
(前略)
農林水産関係の基本施策に関する件
食料の安定供給に関する件
農林水産業の発展に関する件
農林漁業者の福祉に関する件
農山漁村の振興に関する件
以上の各件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○森山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次に、閉会中審査案件が付託になりました場合の諸件についてお諮りいたします。
まず、閉会中、委員派遣を行う必要が生じた場合には、議長に対し、委員派遣の承認申請を行うこととし、派遣の目的、派遣委員、派遣期間、派遣地その他所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○森山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次に、閉会中、委員会において、参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じた場合には、その出席を求めることとし、日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○森山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
本日は、これにて散会いたします。
(後略)
[引用おわり]
[国会会議録データベースから全文引用はじめ]
第140回国会 本会議 第45号
平成九年六月十二日(木曜日)
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平成九年六月十二日
午後一時 本会議
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○本日の会議に付した案件
公共事業の長期計画の透明化等を図るための関
係法律の整備に関する法律案(渡辺周君外三
名提出)の趣旨説明及び質疑
午後一時四分開議
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
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公共事業の長期計画の透明化等を図るための
関係法律の整備に関する法律案(渡辺周君
外三名提出)の趣旨説明
○議長(伊藤宗一郎君) この際、渡辺周君外三名提出、公共事業の長期計画の透明化等を図るための関係法律の整備に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。提出者鳩山由紀夫君。
〔鳩山由紀夫君登壇〕
○鳩山由紀夫君 ただいま議題となりました公共事業の長期計画の透明化等を図るための関係法律の整備に関する法律案について、民主党並びに御賛同いただいた方々を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
公共事業は、国や地方公共団体が中心となって行う社会資本整備のための事業であって、そこから生み出されるサービスが、市民の健康で文化的な生活を充足させるために重要な役割を果たすものです。政府は、すべての市民がそのような生活を享受できるように、効率的に社会資本を整備することが求められております。
ところで、国と地方の借金が総額五百十二兆円に達する今日の危機的な財政事情の中で、昨年閣議決定された各五カ年計画は、効率性が考慮されることもなく、軒並み四〇%近い伸びとなっております。このように、公共事業は、財政再建が至上命題とされる中でも、大幅にその事業費がふえ続けております。このままでは、日本の財政はいよいよ破綻し、将来の世代に大きなツケを残すことになります。
特に問題なのは、公共事業関連の十六本の長期計画であります。そもそも、これらの長期計画は、その多くが緊急措置法とされ、一時的な法律であったはずのものが、見直されることもなく今日まで続いてきております。社会基盤が未成熟な時代はともかく、今日ではその役割が問われているところでございます。
この長期計画の問題点は、計画目標を次々と高くし、予算を獲得するにしきの御旗として機能してきたところにあります。それは、閣議決定のみにゆだねられ、議会のチェックが及ばない仕組みとなっているためでございます。計画について外部からチェックができないことから、何十年も前に計画をされ、本来の目的を失った事業までも、そのまま惰性で続けられております。
政府は、先般の財政構造改革会議における財政構造改革の推進方策において公共事業の削減を提言しておりますが、五カ年計画の計画期間を単に延長するだけで、個別の計画についての見直しや中止が全く考えられておらず、本質的な解決にはなっておりません。
公共事業とりわけ長期計画には以上述べたように多くの問題があり、これらの点を改善しなければ公共事業の効率的配分はなし得ず、国民も納得しないばかりか、際限なく膨張し財政赤字を肥大化させることになります。唯一国会のみが、行政とりわけ官僚をコントロールできるのであります。したがって、国民生活によくもあしくも大きな影響を与える公共事業について、国民の代表である国会が実質的に関与できない現行制度が異常なのです。そのような視点に立って、公共事業コントロール法案は策定されたのであります。
そこで、公共事業の長期計画の透明化等を図るための関係法律の整備に関する法律案について御説明いたします。
第一に、道路等の公共事業関連の長期計画につき、その開始年次を統一し、計画を国会承認事項とすることによって、国会が優先順位を判断することとしております。
第二に、公共事業が、国民生活や経済、環境に重大な影響を及ぼすものであることにかんがみ、審議会における資料を公表するなどその策定手続を透明化し、加えて公聴会の開催を義務づけるなど国民や自治体から広く意見を聴取する機会を設けることとしております。
第三に、公共事業関連の長期計画につき、事業の有効性を検証するために、計画終了後に報告書を策定させ、各事業の及ぼした影響を評価することとし、その報告書が新たに策定される計画へと反映される制度といたしております。
第四に、揮発油税などのいわゆる道路整備特定財源制度を廃止し、公共事業の優先順位をその時々の必要性に応じて弾力的に判断できるようにしております。
これに関連して、公共事業を国民の必要としているものから優先的かつ効率的に実施するために、各議院に常任委員会として公共事業委員会を増設し、公共事業関連長期計画の審議を公共事業委員会において一括して審議することとする国会法の一部を改正する法律案についてもあわせて提出しているところでございます。
公共事業については、国民からの負託を受けた国会において十分に審議されてしかるべきと思います。その優先順位や配分を国会の場で正々堂々と議論を尽くし、国民の判断を待つことが、真に責任ある政治の姿であると確信しております。議員が役所に働きかけを行ったり陳情合戦を繰り広げるようなことは、これで終わりにしようじゃありませんか。
行政が一度決めたことが、時代が変わり環境が変わっても、永遠に正しいという話が幻想である
ことは、諫早湾や中海の干拓事業の例からもまことに明らかでございます。にもかかわらず、肥大し続ける膨大な国債を発行して、いたずらに公共事業を肥大化させ、私たちは今、当面の財政危機のみならず、未来へさらに大きなツケを残そうとしております。
私は、民主党の代表として、未来への責任を掲げて今日の政治にチャレンジしたいと考えています。未来にツケを回すのではなく、たとえ今苦しみを伴うものであろうとも、正しい決断をすることによって未来に明るい展望を切り開こうではありませんか。だから、今、公共事業コントロール法なのです。
議会人として、というよりも一国民として、党派を超えての力強い御支持をいただけるものと確信をいたし、私の趣旨説明といたします。
ありがとうございます。(拍手)
――――◇―――――
公共事業の長期計画の透明化等を図るための関係法律の整備に関する法律案(渡辺周君外三名提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。田野瀬良太郎君。
〔田野瀬良太郎君登壇〕
○田野瀬良太郎君 ただいま説明のありました公共事業透明化法につきまして、自由民主党を代表いたしまして、質問をいたします。
御承知のとおり、我が国の社会資本の整備水準は先進諸国に比べていまだに大きく立ちおくれており、今後本格的な高齢化社会が到来する前に、着実に公共事業を実施し、社会資本の整備を図っていくことが急務であります。このため、それぞれの社会資本の役割や目的、その整備状況を勘案して、五カ年計画等の長期計画という形で中長期的な整備目標を立てて計画的に整備が進められているところであります。ただ、この五カ年計画の事業量、予算規模というものはいわば一つの目安であって、毎年度の予算の執行については当然国会の承認を要するところであります。
ところで、公共事業の実施に当たっては、厳しい財政事情も踏まえ効率的に事業を実施するとともに、その実施方法も公正かつ妥当なものでなければならないことは当然のことであります。このため、国会においても、これまでも個別具体の事業についてさまざまな議論を行い、行政のチェック機能を果たしてきたところであります。
さて、この法律案は、公共事業の優先的かつ効率的な実施ということをうたっておりますが、その内容には多くの問題点があり、私といたしましては、公共事業の円滑かつ効率的な実施にとってかえって障害となるのではないかという懸念を禁じ得ないのであります。
以下、主な問題点のみに絞って指摘をさせていただきます。
まず、この法律案では、公共事業の実施に係るすべての長期計画を国会の承認に係らしめることとしておりますが、毎年度の予算は、当然のことながら、その時々の経済情勢、社会情勢等を反映して、国会で審議、議決するものであります。したがって、国会としては、公共事業のあり方も含めて毎年度の予算を真剣に審議することが何よりも重要であります。
しかるに、これに加えて、長期計画を国会で承認し、計画期間の事業費を決定するということになると、毎年度の予算の議決とはどういう関係になるのか、毎年度の予算の議決に対応して計画を変更していくのか、あるいは計画に合わせて毎年度の予算を決めていくのか。いずれにしても国会の議決が国会自身を縛ることになり、財政の硬直化を招き、そのときそのときの効率的な資源配分や機動的な公共事業の実施の妨げになるのではないかと考えます。この点についてどうお考えか、お尋ねをいたします。
次に、この法律案では、すべての長期計画の計画期間を五カ年とした上で、開始年次を平成十年度に統一することといたしておりますが、現在でも、相互に関連する、例えば治山と治水、漁港と沿岸漁場整備といった長期計画は同じ計画期間で策定されているところであります。また、先ほど申し上げましたように、公共事業のあり方を含めて、毎年度の予算を真剣に審議することが何よりも重要であり、さらに、今回のように長期の計画期間自体も変わり得るものであることを考えますと、計画的に進捗しているそれぞれの計画を途中で中断してまで、あえて長期計画の開始年次を統一することにどれほどの意味があるのか、お尋ねをしたいと思います。
次に、公共事業の実施に係る長期計画を一律に五カ年とすることについてお尋ねをいたします。
十六本の長期計画の計画期間は多くは五年でありますが、土地改良長期計画については、農政の基本方向がおおむね十年後を展望して策定されており、これに即して土地改良長期計画の計画期間は十年となっています。このことからも、他の長期計画との横並びで機械的に五年とすることは適当ではないと考えますが、見解をお尋ねいたします。
また、この法律案では、長期計画の策定に当たってはそれぞれ審議会の意見を聞かなければならないこととしておりますが、そもそも審議会については、行政判断の際に、必要な場合に意見を聞いて判断の一助にするものであります。しかるに、この法律案のように、すべての長期計画について審議会の意見を聞くことを義務づけ、審議会のないものについては新たに審議会を設置するというのは、行き過ぎであり、行政改革にも逆行するのではないかと考えます。また、審議会の意見を聞く場合にも、審議の公開や公聴会の開催など審議会の運営については、一律にではなく、それぞれの審議会において決定すべきことであると考えます。これらの考え方についてお尋ねをいたします。
最後に、この法律案では、道路整備緊急措置法及び道路整備特別会計法の改正により、揮発油税等に係る道路特定財源を廃止するといたしておりますが、道路特定財源は、我が国の立ちおくれた道路整備を緊急かつ計画的に進めるため、受益者負担の考え方に基づいて、自動車利用者に負担を求めているものであります。これを廃止し一般財源化するというようなことは、到底納税者の理解を得られるものではなく、絶対に容認することができないことを強く申し上げておきたいと思います。
以上、質問とさせていただきます。(拍手)
〔渡辺周君登壇〕
○渡辺周君 田野瀬議員にお答えをいたします。
本法案が公共事業の円滑かつ効率的実施にとってかえって障害になるのではないか、あるいは効率的な資源配分や機動的な公共事業実施の妨げになるのではないかというお尋ねがございました。
現在の建設国債及び特例公債、さらには借入金の残高から見ましても、バブル崩壊後、五年間で六十兆円の追加投資が膨大な財政赤字をつくっただけでなく、我々に公共事業依存、補助金依存の心理を植えつけてしまったことを自己批判的に考える必要があると思っております。
確かに、私たちは、まだまだ日々の生活に真の豊かさを実感できる公共空間、社会資本が整備されているとは思っておりません。効率的、重点的な生活関連社会資本の整備は急がなければならないと御指摘のとおり思っておりますが、高度経済成長とともに拡大してきた公共事業の役割とプライオリティー、その規模も、時代時代の中で変わってきていると信じるところであります。
この法案は、国民の代表たる私どもが、住民ニーズに限りなく近い視点で、効率的な公共投資が行われているかどうかをチェックする法案であり、資源配分のうち公共事業という公的部門による投資、配分を行政のみに任すことなく、議会の権威と議会の良識が責任を持つその第一歩であると考えております。
また、公共事業の長期計画については、両院に新たに設置される公共事業委員会で一括して審議をし、その目標と事業量を承認することとしております。承認内容は計画の目標と事業量であって、計画期間内に実施すべき目安の量を定めております。したがいまして、各年度の予算がその計画と異なるような形で決定をされましても、それは予算の決定が最終的な決定ということで優先されるということになります。計画と各年度の予算が乖離する場合には、計画の見直しや変更が必要になることもあり得ると考えているところでございます。
ただし、国会が計画を承認するということについては、何ら無意味な行為ということではなく、内閣との関係でいえば、国会の承認は政治的な意味で内閣を拘束する形となり、国会の承認内容と明らかに異なる予算案が決定された場合には、内閣は政治的な責任を国会に対して負うこととなります。したがいまして、御指摘のような財政の硬直化を招くことはなく、逆に、閣議決定で縛られている現行制度の方が、公共事業シェアの固定化をもたらし、個別事業の中止や見直しを事実上不可能にしているという点で、効率的な資源配分や機動的な公共事業実施を妨げていると我々は考えるところでございます。
次に、公共事業長期計画を一律五年とすることについてのお尋ねがございました。
現状の公共事業の問題は、計画が個別に策定される結果、計画相互の整合性や優先順位の判断ができないということであり、例えば交通関係の五カ年計画も開始年度が統一されておらず、道路と空港、港湾を総合的に判断して整備するという視点に欠けているものと言わざるを得ません。
さらに、関係性の薄い計画間についても、国の財政等の総合的な観点から総額や優先順位を判断しなければならないにもかかわらず、それがなされていないという現状を改善する必要があることから、開始年度の統一と計画期間の統一を行っているところであります。また、総合的な政策判断の必要性から、両院に公共事業要員会を設置して、一括して計画の審議を行うこととしております。
田野瀬議員御指摘の土地改良長期計画につきましても、国際社会を迎え、情勢が目まぐるしく変化する中で、十年の計画では逆に時代の変化に的確に対応できなくなる危険性があることにかんがみまして、これを五カ年としたところでございます。
次に、審議会についてのお尋ねがございました。行政改革に逆行するのではないかという御指摘でございました。
行政改革は、だれのために、何のために行うかという視点で考えなければなりません。行政改革とは、主権者たる国民の多様な物質的、精神的ニーズにこたえ、その意見を踏まえながら、限られた財源の中で効率的かつ機動的な行政システムをつくり上げることであります。公共事業長期計画を審議する審議会を公開し、国民や自治体の意見を幅広く聴取する手続を設けることで、官僚機構主導、かつひたすら拡大する公共事業をチェックすることができ、かえってコストの節減が可能であると考えております。審議会の設置と公聴会を含めて、私どもは年間五千百万円程度のコストを試算しております。しかし、これは公共事業の効率化によって補うことができるものと信じております。
続いて、審議会の公開についてでありますが、公共事業長期計画は莫大な予算支出を伴うものであり、財政、国民生活、自然環境に重大な影響を与えるものであり、当然公開するべきものと考えております。なお、各審議会の公共事業長期計画以外の案件については公開することを義務づけてはおりませんので、審議会の自主性を著しく損なうことはないと考えております。
残余の質問につきましては、担当提案者より答弁をいたします。(拍手)
〔川内博史君登壇〕
○川内博史君 渡辺議員に引き続きまして、田野瀬議員の質問にお答えをいたします。
審議会の設置についてのお尋ねに補足して御説明を申し上げますが、国民は、計画の策定過程に参加をすることを通じて、公共事業を十分に評価することができる。例えば、国道と一緒に並んで走っている狭い高速道路、あるいは使われることのない農道空港、そしてまた年間に数隻しか入らない港湾、環境に大きな影響を与えながらしかし食糧自給に寄与することのない干拓事業など、私たちが謙虚に反省すべき事例はたくさんあるということは否定をできないわけでございます。審議会の設置を行うことにより、莫大な税金の使い道を決める計画の策定に国民が参加をする、そのことに積極的に費用をかけることこそが、行政改革の趣旨に沿うことであるというふうに考えております。
次に、田野瀬議員が意見を表明されました道路特定財源制度について、私どものスタンスを明らかにさせていただきます。
確かに、この道路特定財源制度が制定をされました昭和二十年代、我が国の道路状況は大変に貧弱で、アメリカの調査団からは、この国に道路行政はないとまで言われたのでございますが、しかし、それから三十年以上にわたって道路整備は常に公共投資のトップを走り続け、その総額は平成七年度までに百九十四兆円にも達しているのでございます。
確かに、まだ道路整備がおくれている地域があることは私たちも存じております。しかし、今後、国民負担の増大が予想される中で、道路だけが特別の地位にあり、道路特定財源制度によってその整備が保障されるということは、許されることではないと考えております。国民の貴重な税金をいただく中で、公共投資のみならずさまざまな行政ニーズとの比較の中で、なおかつ道路整備の優先順位が高い地域や町があるとするならば、今の道路特定財源制度の枠を超えてでも道路整備は行うべきであり、まさに本法案の予定する公共事業委員会の論戦に基づくことになるのでございます。
財政危機が叫ばれる中、住民ニーズに沿った事業への重点的な投資は、国民全体の要請であると考えております。この要請にこたえるためには、むしろ道路特定財源制度は若干の障害になるのではないかと考えられております。私たちは、本法案によって、この道路特定財源制度の一般財源化を提案させていただいております。
以上です。(拍手)
○議長(伊藤宗一郎君) 辻第一君。
〔辻第一君登壇〕
○辻第一君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題になりました公共事業の長期計画の透明化等を図るための関係法律の整備に関する法律案について質問いたします。
公共事業をめぐる現在の中心問題は、財政危機を招いた最大の原因である公共事業のむだと浪費構造にメスを入れることであります。その最大の問題点は、一たび決定されると、当初の目的を失っているのに事業を継続し、むだと浪費を拡大再生産していることであります。
そのため、後は野となれ山となれで原野になっている苫小牧東部など巨大な拠点開発、利用されないのに増設工事をする港湾整備、農民にも歓迎されないのに巨額の費用を投資する土地改良事業などが全国各地で行われています。このような工事のための工事の際限のないむだ遣いに抜本的にメスを入れることこそ焦眉の課題であり、今国民は強く求めているのであります。
以下、質問をいたします。
第一の問題は、初めに総額ありきで公共事業の浪費の大もとになっている六百三十兆円という途方もない巨額の公共投資基本計画は、最近、期間を十年から十三年に延長することを決めましたが、これは浪費をなくすどころか、十三年間浪費
を続けるだけのことであります。この計画を撤廃しない限り、住宅、公園、下水道などの国民生活に必要な事業ではなく、大手ゼネコン奉仕型の大型プロジェクトばかりを優先させる公共事業のゆがんだ現状を是正できないことは明白であります。現在のつかみ金方式をやめ、本当に必要な事業を積み上げる方式に抜本的に転換すべきではありませんか。答弁を求めます。
第二に、現在十六ある公共事業の長期計画は、縦割り行政による予算獲得合戦の産物であり、官僚組織と族議員を横行させ、政財官の癒着構造を温存させてきました。我が党が追及したように、農水省官僚が多数ゼネコンに天下り、農業関連公共事業を独占的に受注し、橋本首相も度が過ぎていると言わざるを得ませんでした。建設、運輸官僚のゼネコンへの天下りと、道路・港湾建設事業の独占的受注も周知のことであります。なぜここにメスを入れようとしないのですか。
さらに、計画の根拠法となっている各緊急措置法は、大企業本位の経済政策のもとで、産業基盤優先の社会資本整備予算の確保を目的としたものであります。しかも、国民生活に密着した福祉・教育施設は公共事業の枠外とされております。提案者は、その点どうするのでしょうか。十六の長期計画という枠組みそのものについて抜本的に再検討すべきではありませんか。お答えをいただきたい。
第三に、本法案による五カ年計画の内容は、事業の目標とその量を示すのみで、個別の事業計画を定めることとはされていません。これではむだな事業をとめることはできないのではありませんか。むだの典型であり、政治の焦点になっている首都機能移転や東京臨海部開発こそ中止すべきであります。明確な答弁を求めます。
今こそ、アメリカの圧力でつくられた六百三十兆円という公共投資基本計画を廃止し、十六に及ぶ長期計画を白紙に戻して抜本的に見直す、首都機能移転など巨大プロジェクトの中止、公共投資膨張の根源である道路特定財源を改める、アメリカに比べて三割も高いという公共事業単価の水増しにメスを入れる、このことこそ緊急不可欠の課題であることを強調して、質問を終わります。(拍手)
〔仙谷由人君登壇〕
○仙谷由人君 辻第一議員の質問にお答えをいたします。
政財官の癒着の構造、天下りにメスを入れることになるのかという御質問でございますが、我々が提出いたしておりますこのような公共事業コントロール法案が成立いたしますと、公共事業委員会が設置されますので、その中で事実を明らかにすることによって、そしてその公共事業委員会の審議によって、十二分にメスを入れることができるようになると考えております。
そしてまた、公共投資基本計画のようなつかみ金方式をやめるのか、あるいはむだな計画を廃止することになるのかというお尋ねでございますけれども、当然のことながら、この公共事業委員会の審議によりまして計画がむだであるとの判断に至った場合には、そのような計画は廃止することになると考えております。
次に、必要な事業を積み上げる方式へ抜本的に見直すことになるのかという御質問でございましたが、市民や住民のニーズに合致する社会資本の整備がなされるようにするためには、権限あるいは財源の分権化、地域主権のシステムの確立を待たなければならないと考えております。しかし、その第一歩として、本法案により公共事業の策定過程や実態が国民の眼前にさらされることによりまして、国民の批判と関心が高まり、辻議員のおっしゃるように、本当に必要な社会資本の効率的整備に向けて前進するものと確信をいたしております。
次に、長期計画の対象事業につきましては、民主党が中心になった政権をつくることができましたならば、ハードよりソフトを重視する、土木よりシステムへ比重をかける、そういうつもりでございます。福祉に関しましては、新ゴールドプランやエンゼルプランあるいは障害者プランをより充実させ、その確実な実行を図ることが肝要だと考えております。
もう一つ、個別計画を長期計画の中に定める必要があるのではないかとの御質問がございましたが、長期計画の具体的な中身を吟味することができるようにすることがまさに本法案の目的でございます。
最後に、大規模公共事業の典型である首都機能移転や東京都臨海副都心を見直すべきと考えるが、どうかという問いがございました。
大規模公共事業については、見直すべきものは見直さなければならないと考えているところでございます。
なお、首都機能移転につきましては、公共事業としての金額あるいは工事量及び工事の種類などが現在ささやかれておるわけですが、そうした問題以前に、新しい首都が必要か、必要であればいかなる機能を持ったものであるべきかという観点に立って国民的な議論がもっと必要だと考えているところでございます。(拍手)
○議長(伊藤宗一郎君) これにて質疑は終了いたしました。
――――◇―――――
○議長(伊藤宗一郎君) 本日は、これにて散会いたします。
午後一時四十二分散会
[引用おわり]
[お知らせ1 はじめ]
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[お知らせ1 おわり]
[お知らせ2 はじめ]
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今後の政治日程 by 下町の太陽
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[お知らせ2 おわり]
[お知らせ3 はじめ]
このブログは次のホームページを参考にして、記事を作成しています。
衆議院議案(衆議院ホームページ)
http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_gian.htm
最近の法律・条約(内閣法制局ホームページ)
http://www.clb.go.jp/contents/
今国会情報(参議院ホームページ)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/kon_kokkaijyoho/index.html
衆議院インターネット審議中継
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php
参議院インターネット審議中継
http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php
国会会議録検索システム(国立国会図書館ホームページ)
http://kokkai.ndl.go.jp/
民主党ニュース(民主党ホームページ)
http://www.dpj.or.jp/news
予算書・決算書データベース(財務省ホームページ)
http://www.bb.mof.go.jp/hdocs/bxsselect.html
goo ニュース
http://news.goo.ne.jp/
[お知らせ3 おわり]