日産のマーチというクルマは、可愛らしくも見飽きないそのスタイリングが素晴らしい。
歴代のマーチはすべて長寿である。
特に私が好きなのは、この2代目(K11型)。
インテリアも明るく、けれんみ無く、各操作系も使いやすそうだ。
この、リモコンキーのカタチが、また可愛らしく小粋である。
そんなマーチだが、この時期のコンパクトカーや軽自動車に流行したレトロチックなお面の「ルンバ」と「ボレロ」というヤツには、当時の私は閉口していた。
そもそもその流行を作ったのが、他ならぬ「スバル」の「ヴィヴィオ・ビストロ」であるということも、歴史上の悲しい事実ではある。
そして、マーチの派生車の真打ちは、やはりこの「BOX」といえましょう。
荷物室拡大のため、リヤのオーバーハングを26cm延長したリヤスタイルが愛くるしい。
ちなみに、ホイールベースは素のマーチと共通である。
リヤシートの可倒方法については、素のマーチは背もたれを前倒しするだけの「シングルフォールディング」だったが、マーチBOXのエライところは、それを「ダブルフォールディング」に改めた点である。
だが、ホイールベースをいじっていないのにコレが採用できるということは、そもそも素のマーチも最初からダブルフォールディングにするべきだったのではなかろうか・・・ま、需要が少ないこととコストダウンの両方の理由なのだろう。
そのほかにも、「BOXならでは」の特別装備が満載!
「マーチA♯(1.3L:4AT)」の当時の車両価格は129.5万円。
そして「BOX(1.3L:4AT)」は139.5万円。
たったの10万円で広大な荷室が得られるのは悪くないし、きっとBOXの実用性は高かったと思われる。
加えて、リヤエンドの後付け感も、外野で見る分にはフランス車チックで面白いと思うのだが、やはり、一般には受けなかった。
さらに2001年になってマーチBOXより13cmも短い全長でスペースユーティリティーを徹底追求した「ホンダ・フィット」が登場するに至ると、このBOXはその珍妙で愛らしいリヤスタイルを除いて、存在意義を全く失ってしまった。
最近、このクルマをまったく見かけなくなってしまった・・・
あと何十年かすると、歴史に残るカルト・カーとして、おそらくは珍重され、崇め奉られることであろう。
合掌。