5ドア車には、なぜかその名に「スポーツ」という単語を含むクルマが多い。
「アウディA3/A5スポーツバック」「アクセラ/アテンザスポーツ」そして、「ギャラン・フォルティス スポーツバック」・・・
今から16年前に、三菱からリリースされていたこの「ギャランスポーツ」が、「元祖5ドアスポーツ」だといっても過言ではないだろう。
「GTRV」・・・GTの走りとRVの楽しさを併せ持つということから与えられたこのキャッチフレーズ。
安直さを感じずにはいられないが、かつて豪州から逆輸入されていた日産ブルーバード・オーズィーの「豪ing」よりは、まだマシかもしれない。
斜め後ろから見たその姿は、なかなか流麗である。
ターボモデルの「SPORTS GT」のインテリアには、ホワイトメーターや革巻ステアリングホイールが奢られている。
「ファジィTCL」というトラクションコントロール機能や、「ファジィシフト」という名の4AT。
「ファジィ」という単語が、当時の世相を彷彿とさせる。
また、搭載エンジンがV型6気筒2000ccであることも、特記すべき事項であろう。
高さ方向の余裕はないが、実用上は十分と思われるラゲッジスペース。
RVらしく、リヤシートは6:4の分割で可倒でき、
座面を起こすと、フラットで広大なラゲッジスペースが!
バンパーガードやルーフレール等を纏い、当時でいうところの「RVらしさ」を演出したエクステリア。
「SPORTS GT」はフルタイム4WD&DOHCツインターボで武装。
ツートンカラーもこのグレードのみの仕様である。
なおかつ5MTも選べる。
対して「SPORTS」は、FFのSOHCエンジンで、ファジィな4ATのみの設定。
いずれのグレードでも、基本的なボディカラーは「キルダーグリーン」「ムーンライトブルー」「クタニレッド」の3種のみと、やや淋しい。
「SPORTS GT」(5MT)のスリーサイズは、全長4705mm×全幅1730mm×全高1460mmで、車両重量1450kg。
ちなみにBPレガシィGT(5MT)のそれは、4680mm×1730mm×1470mmで1460kgなので、ほぼ同じサイズのクルマといっていいと思う。
ただし、10・15モード燃費は、「SPORTS GT」の5MTで10.2km/Lで、SOHCの「SPORTS」でも10.6km/Lと、やや物足りない数値。
ちなみにBPレガシィ2.0GTのそれは、13.0km/Lである。
設計年度の違いもあるが、このことは近年のスバル車の燃費が、決して悪くないことを如実に示している。
ギャラン・スポーツ・・・これの直接の祖先といっていい5ドア車の「エテルナ」も販売的には低迷し、結局「エテルナSAVA」という4ドアセダンを追加せざるを得ない状況に追い込まれていた。
欧州では受け入れられていたのかもしれないが、この当時の日本では、5ドア車というカテゴリーそれ自体がファジィな存在だったのだ。
ファジィなギャラン・スポーツに、合掌。
結婚した年に購入以来、17年間働き続けてきたこのママチャリだったが、先日の新車購入に伴い、とうとう引退する日がやってきた。
コンビニへの買出し。保育園への送迎。家族でのサイクリング。さまざまな思い出が、頭の中を駆け巡る。
その日の朝。大型ごみ処理手数料シールを貼られ、じっとたたずむ彼。
私が仕事から帰宅した時には、当然のことながら、彼の姿はそこに無かった。涙こそ出なかったが、若干の喪失感が、私の心を覆い尽くしたのだった。