新型シビック(FK型)に試乗させていただいた後。
我々取材班2名が向かったのは、スズキのお店だった。
ターゲットは、もちろん、最近リニューアルした「スイフトスポーツ(ZC型)」である。
試乗させていただいたのは、今や稀少な6MT車(FF:税込車両本体価格1,836,000円)だった。
試乗車のカラーは、イメージカラーである「チャンピオンイエロー」だったが、それはこのクルマに本当に良く似合っている。
いま、現状として、「黄色いクルマ」は、一般的には選ぶのを躊躇してしまうと思うのだが、このスイフトスポーツの場合は、積極的に黄色を選びたくなる。
この21世紀。黄色が似合うのは、このクルマ以外には、「ルノー・カングー」と「ホンダS660」くらいしか、私には思い当たらない。
そのシューズは、まだ夏タイヤだった。
195/45R17のそれは、ContiSportContact5の「スイフトスポーツ専用サイズ」とのことである。
黒を基調にしながらも、随所に赤が散りばめられたインテリアに、否が応にも血中濃度は高まる。
脳梗塞を起こさないように、心を落ち着かせて、エンジンに火を入れる。
3連ダイヤル式の空調コントロールは、手探り操作性抜群で、大いに私好み。
加えて、今や希少なMTの試乗車という点に、涙がちょちょぎれる。
クラッチミートにも気難しいところはなく、MT免許を持っている人なら、発進時に緊張する気遣いはないでありましょう。
走らせて嬉しいのが、その軽快感&ダイレクト感!
特に、車重の軽さ由来の俊敏な感じは、同社のアルトに一脈通じるモノがある。
エンジンをしっかり回して走れることの、歓び。
いわゆる「NVH」については、ほとんど配慮されていないと思われるこのクルマだが、運転しての愉しさは、群を抜いている。
それこそ、私が学生時代だった頃のシビックの立ち位置にあるのが、現代ではこのスイフトなのだと、強く思った。
カタログ上のJC08モード燃費は16.4km/Lのこのクルマだが、今回の試乗タイムにおいては、9.7km/Lに、とどまった。
まあ、調子に乗ってエンジンを回して走ったがゆえの、数字なのでありましょう。
あくまでも想像だが、普段使いであれば、リッター12kmは堅いと思われる。
カラーの「マルチインフォメーションディスプレイ」は、ドア毎の半ドア表示も兼ねている。
小さなお子さん・あるいはご老人のいるご家庭には、実用上便利でありましょう。
幅が3.5cmほど5ナンバー枠をはみ出し、3ナンバーとなった、スイフトスポーツ。
だが、それはまったく実用上のネガにはなっていない。
スイフトスポーツは、相変わらず、愉快痛快なクルマであった。
200万円以上する軽自動車を買うくらいなら、このクルマを買った方が、青春を延長できる。
肉体的には衰えたが、気持ちは青い果実である私は、そんなことを強く思ったのだった。