すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

「難解な絵本」は,まったくもおだ

2014年09月03日 | 読書
 「2014読了」91冊目 ★★

 『難解な絵本』(いとうせいこう 角川書店)


 どなたかが評していた。
 まさに「奇書」。

 そもそも題名からして、奇抜である。

 これは「難解な」絵本なのか。それとも、「絵本」とはそもそも難解なものなのか。
 著者は序にこんな文章を記している。

 もともと絵本は難解であることが多い。
 意外なことだが、それが幼児向けであればあるほど難解度は増す。



 この言葉を額面通りに受け取る気持ちがあれば、この絵本にはまるかもしれない。

 幼稚園児の革命宣言

 子供の新興宗教

 非転校生声明



 これらの見出しを見ただけでも、その特異さがわかるだろう。

 部分的な引用では、その貌が想像できない。
 比較的わかりやすい「子供の警句(アフォリズム)」より、2つほどメモしておこう。

 人生の悲劇とは牛乳瓶の口が母親の乳首より冷たいことだ

 人生への期待は、砂場への期待に似ている。においたつ場所を掘り進めば、埋もれているのは猫の糞ばかりだ。だが、それは必ず新しい。


 
 まさしくこれらの警句を読んだだけでも、著者に対する警戒を感じないか。

 人類学にも習俗などにもほとんど素養はないが、「柳田くんと折口くん」と題された、「熊楠」の日記には笑ってしまった。
 まったくどこに嵌まるか予測不能の絵本である。

 ちなみに「Toshi」と記名されている絵は、個人的に西原女史を連想させ、これもまたまったくしょうがないと思うしかなかった。