「2014読了」90冊目 ★★★
『想像ラジオ』(いとうせいこう 河出書房新社)
昨年話題になった小説だ。
芥川賞の候補作となったことも聞いたが,文学的にどうなのか正直よくわからない。
ただ,混沌と見える話題の中にも作者の思いはよく伝わってくる話だ。
第4章は一組の男女の会話で構成されている。
このやりとりは,例えば風に波打つ湖面のように変化があって面白い。
いつからかこの国は死者を抱きしめていることが出来なくなった。
どきりとする。
それは「声を聴かなくなった」からだという。
『想像ラジオ』という題名は,そこに直結する。
感受性だけ強くて,想像力が足りない
二人の会話の中で「最悪」と評価された,そんな生き方をしている人が増えてきたようだ。
感受性の行き場所はいつも自分であり,それゆえに苦しみ悩み,他者を思いやる余裕に欠ける。
死者を悼む気持ちがどんどん痩せていることに,時々苦いものがこみ上げてくる。
そしてそれをいつも社会や周囲のせいにして,自分から目を背けているのだ。
「DJアーク」が選曲しアーティストの半分以上は,自分も若い頃に聴いた音楽だった。
そこからずいぶん離れてしまったが,もう一度耳を澄ませて聴き入る夜があってもいい。
そういう時間を持った方がいい。
『想像ラジオ』(いとうせいこう 河出書房新社)
昨年話題になった小説だ。
芥川賞の候補作となったことも聞いたが,文学的にどうなのか正直よくわからない。
ただ,混沌と見える話題の中にも作者の思いはよく伝わってくる話だ。
第4章は一組の男女の会話で構成されている。
このやりとりは,例えば風に波打つ湖面のように変化があって面白い。
いつからかこの国は死者を抱きしめていることが出来なくなった。
どきりとする。
それは「声を聴かなくなった」からだという。
『想像ラジオ』という題名は,そこに直結する。
感受性だけ強くて,想像力が足りない
二人の会話の中で「最悪」と評価された,そんな生き方をしている人が増えてきたようだ。
感受性の行き場所はいつも自分であり,それゆえに苦しみ悩み,他者を思いやる余裕に欠ける。
死者を悼む気持ちがどんどん痩せていることに,時々苦いものがこみ上げてくる。
そしてそれをいつも社会や周囲のせいにして,自分から目を背けているのだ。
「DJアーク」が選曲しアーティストの半分以上は,自分も若い頃に聴いた音楽だった。
そこからずいぶん離れてしまったが,もう一度耳を澄ませて聴き入る夜があってもいい。
そういう時間を持った方がいい。