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言葉の外にある思い,景色

2014年09月23日 | 読書
 「2014読了」98冊目 ★★
 
 『言葉の力を鍛える俳句の授業 ~ワンランク上の俳句を目指して~』(山口昭男 ERP)


 著者は、教科書(三省堂、光村図書)に載っている作句の例を紹介しながら、こう述べている。

 俳句の言葉の取り出し方や何を中心に見て俳句にしていくのかということまで突っ込んだ内容にはなっていません。


 そして、俳句を作らせる学習の中で、教師の多くが抱くであろう思いをこう断言した。

 自由に作句させて楽しむだけでは、言葉の力を鍛えることはできません。


 そこをどう打開していくか、著者のいろいろな実践からのアプローチが示されている。

 私も結構いろいろなことをしてきたつもりだが、ははあ、こういう方法も面白いと刺激をうけた。

 指導の基本形は、一斉指導の中で発想をやりとりしながら、例示を豊富にすることだ。
 それを一連の流れで示すとこうなる。

 ・季語を示す
 ・イメージできる出来事をたくさん出させる
 ・使いたい、使わせたい言葉を選びだす
 ・定型に落とし込む文字、言葉を探させる
 ・出来上がった句のよさを話す
 ・語順の変更などについて検討したことを示す


 当然ながら一度や二度の実践では「言葉の力を鍛える」地点には届かない。
 しかし、いずれ教師が取り上げることによって「言葉の外にある思いや景色を十分に想像させる」ことを積み重ねていくしかない。

 後半の句会のあれこれや個別指導の具体的な手順は、実践を積んだ方の持つ自信と重みが感じられるものだった。


 勤務校では来週の学習発表会に向けて、俳句の取り組みも始まっている。
 校内報で多少、実践的なことを書いた後だったので、もうちょっと早く読めば、いい紹介になったのに、とちょっと悔んだ一冊となった。
 もちろん、今後どこかの学年で実践にかけてみたいとは思っている。


 窓の外にあった光景を見ながら駄句をひねり出してみた。

 秋高し雲梯わたる一年生