すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

108円のメイサクを読む

2014年09月15日 | 読書
 「2014読了」94冊目 ★
 
 『ハル,ハル,ハル』(古川日出男 河出書房新社)

 P154
 わかりづらいよな。この語り。おれの語り。でもな。しかたないんだよ。おれは発熱してるから。


 爆笑問題の太田光が天才という古川の単行本を初めて読んだが,本当に「わかりづらい」。
 読み進めていくと,ははあ,これは「わかる」という類いのものではなく,「感じる」系であるな,と気づく。
 作者がいうところの「世間との対決姿勢」を根本に持っていないと,感じ得ない文章なのかもしれない。
 いくらかのシンパシーは持てても,四人目の「ハル」(注:自分の名前にもハルがつくので・笑)にはなれない。


 「2014読了」95冊目 ★★

 『17歳のポケット』(山田かまち 集英社)

 話題になったところ,その作品を断片的に読んだことはあったけれど,まとまったものは初めてである。
 わかるかわからないかと問われれば,それはわかると答えられるだろう。
 それは誰しもが少なからず見覚えのある風景だから。
 この「才能」は,独白によって培われたのだが,オッサンが読むにはきつい部分が多い。
 前書きを寄せた俵万智の書いた「反歌」のように,放つ光も見ることはできるのだが。

 ただ鳥が飛ぶようにただぼくは十七歳であることを飛ぶ


 「2014読了」96冊目 ★★★
 
 『寺山修司名言集 身捨つるほどの祖国はありや』(PARCO出版)

 いわば,寺山ワールドの風景写真集のように,警句が並べられている。
 いくつもいくつもページの端を折ったし,またいつか開くだろう。
 自分の問題意識も結構拡がっているんだなと思ったりもした。
 しかし,それは焦点化できないことの証しでもある。
 では,特にということで,二つだけ引用して噛みしめてみよう。

 P71
 子供というのは「もの」ではなくて「事件」であるということが重要なんです。
 P131
 書きことばには政治性があり,話しことばには社会性がある。