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桜と絵本と豆乳と

我が読書との交際宣言

2014年12月12日 | 読書
 「2014読了」132冊目 ★★★★

 『多読術』(松岡正剛 ちくまプリマー新書)


 数年前だったが、ネットで著者の「千夜千冊」というサイトを見たとき、いやあ世の中には凄い人がいるものだと圧倒された記憶がある。私程度の読書などは百分の一いや千分の一にも及ばないと感じさせられた。
 そして今、この新書を読むにつけ、その「読書の巨人」ぶりに改めて畏れ入るばかりである。

 著者がこの本で繰り返し使っている言葉は「編集」である。
 例えば、この一文は要約の大きな一部を占めるだろう。

 読書は「自己編集」であって、かつ「相互編集」なのです


 こういう切り口は新鮮であった。
 その手法として「マーキング読書法」などの紹介もあるし、「読み方」に関しても実に多様な提案がある。
 それは、提案が多様であることと同時に、多様さを提案していることなのである。
 「○読」という熟語の形で示したことばが25個。「感読」「耽読」・・・「乱読」「吟読」・・・・・・そして「熟読」「逆読」まで、こんなふうに縦横無尽に読めるということは、やはり意識的でなければならない。

 自分の読み方にもいくつかのパターンはあるが、その数種類から抜け出せないのは、読書ジャンルの偏りも一因だろう。
 かといって、苦手な古典や外国文学に手を伸ばすには遅すぎる。

 せめて興味の湧く分野においては、一言語れる存在になりたいものだ。そんなふうに考えると、実際の本の選び方に節操もないし、量的にもまだまだだなあと思う。

 著者はこうも書いている。

 読書は交際である


 「交際」などと聞くと、どこかドキドキしてしまうのは世代的なことかもしれないが、そのドキドキ感を求めて、本を手にするのではないだろうか。

 年間100冊以上を広言してから16年目。多くの方と交際させていただいた。
 この後も新しい人との出会いを求めつつ、やはりつきあいの深い人とも交友を温めるのだろうか。

 「あとがき」に、いい本の評価について記していることが面白い。
 その程度を知ると、今のペースぐらいが自分にはちょうどいいのかもしれない。

 著者三割、読者三割、制作販売三割、のこり偶然が一割という相場だろう。


 まだ読み終えていない文庫等がたくさんあるのに、また昨日も『PK』(伊坂幸太郎)と『マスカレードイブ』(東野圭吾)を買ってしまった。