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冬に蔵すのは,何のためか

2014年12月10日 | 雑記帳
 全校集会で「冬」のことを話そうとして、漢和辞典を使い少し調べた。語源、字源は以前調べた通りなのだが、ちょっとずれて熟語に目がいった。そこが紙辞書のいいところである。児童用(チャレンジ小学漢字辞典)だと、次の7つの熟語があった。「冬季」「冬期」「冬至」「冬眠」「冬将軍」「冬物」「冬山」。


 これが大人用(学研漢和大辞典)だと、当然ながら16に増える。しかし上の言葉以外だと、意味を問われてもぱっと答えられない語がかなり多く,ちょっと驚いた。自分があやふやと思った語を列挙してみる。「冬月」「冬日之温」「冬冬」「冬官」「冬狩」「冬扇夏炉」「冬営」「冬温夏清」「冬裘」「冬節」「冬蔵」である。


 児童用にあった熟語以外で知っていた熟語は「冬瓜」「冬日」ぐらいだった。上に挙げたものでは「冬狩」の意味は想像通りだったが、他はかなり予想と反していた。例えば「冬月」は「トウゲツ」と読み、「月」のことではなく冬の時節を表す。「冬冬」は「トウトウ」であり、門などをたたく音の形容とされているのだ。


 四字熟語はある程度想像通りだ。特に「冬扇夏炉」は楽しい。意味は「時節に合わない無用なもののたとえ」である。つまり冬の扇と、夏の火鉢。「冬日之温」とは、冬の日光の温かさから「君主の温愛が日光のように温かい」喩えだそうだ。組織にいる者からすると、二つは対照的であり、自分を振り返させられる。


 「冬」の字義は「作物をしまいこみたくわえる季節」。「春には生じ、夏には長じ、秋には収め、冬には蔵す」という言葉もある。何事を蔵すか…月並みだけれど、体重ばかり蔵すでは笑えない。蔵すのは,新しい春に芽ぶかせる準備である。もしくは,不測の事態が起きたときに底力を出すため,この二つしかない。