(20180102 今年も簡単には矢印通りに進みません)
今年の一字は「感」と決めた。誰もがわかりよく使う字の一つだろう。学校に勤めていた時に、教育目標の候補としてこの「感」を考えたことがあった。それは「感動」「感謝」「実感」などをキーワードにできるし、知育や体育を作りあげていく大切な要素と思ったからだ。結局使わなかったが、今もその思いはある。
そんなことも思いつつ選んだこの「感」。書き終わってから、念のためと調べてみると、ちょっと意外な広がりも見えてきた。つくりとなっている「咸」(カン)は「口をとじさせること」を表していて、打撃や刺激によって「心を強く動かす」という会意&形声文字になった。一面では「とじる」ことにもつながるのだ。
「感」が字の一部分になっている語を探してみた。「撼」「憾」「轗」の三つがあった。いずれも読みは「カン」。撼の意味は「うごかす。揺りうごかす」。これは手偏なのでわかる。次の憾の意味は「うらむ。残念に思う」。んっ?轗にいたっては、意味が「車がでこぼこにつかえて、うまく進まないさま」。えっ大丈夫かあ。
実は久しぶりの毛筆を持った時、ふと「『感』は、『惑』に似ていないか」と思ってしまった。いやいやそんなに惑ってはいけないと雑念を振り払い書くには書いたが…。仕上げてからこんなに調べたら、また惑うばかりだ。いや、「情報」に振り回されれば「感激」にたどり着けないという教訓を得たと無理矢理締めよう。