すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

新潮社の「波」は今

2018年10月01日 | 読書
 定期購読している『』10月号が届いた。例の『新潮45』の騒動があったのでなんとなく穿ったような見方になりそうだが、実際は全てそれ以前の稿であり関係ないだろう。出版社の情報誌なので、半分は書評や案内的な内容だが、特集や連載は読みごたえがある。今回の対談は「養老孟司×土井善晴」。面白かった。


 強調されたのは「身に付くことをしよう」ということ。養老先生なので「脳」との関わりは必須だが、ここでも身体の優位性を話している。最近どうしてもこの手の情報が入り込んでいる。脳だけで分かってもしようがないのだが。今回の騒動も、共生や平等の意識が身に付かないから生じているのではないと思う。


 ブレイデイみかこの連載「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」は、英語しか話せない息子を連れて日本へ帰省した様子が語られていた。行く先々で向けられる目や投げつけられる言葉に悲嘆する著者。外国人の移住、訪問は増えているが、本当に歓迎するという心が身に付いていないことを提起している。



 「新潮文庫 わたしの5冊」という企画が数か月前から載っている。今回はなんと「新潮社社員が選ぶ」である。二十数名が愛読書やお薦め本などコメントを添えてあげていた。このラストがなんと(「新潮45」編集部 若杉良作)とある。かの編集長だ。紹介本は5冊中2冊が「新潮45」編集部編。なんだかと思う。


 あまり文庫を読んでいない証拠か、それとも愛社精神、セールス貢献か。この真っ直ぐさ、ある意味視野の狭さが騒動を呼んだか…。さて、いつも一番に読むのは「やっぱり残るは食欲」という阿川佐和子の連載。実は今回の内容は食べ物のことではない。しかしこれがまた面白かった。懸命に語るあの姿が浮かんだ。(明日へ)